第2話 自覚は有るよ

シルフィーユさんがふと我に戻り、ギルドに来た理由を聞いてきた。

「それはそうと今日はどんなよう?」


「はい、折角Dランクになったのでダンジョンに入りたいと思っています。それで何時でも有る依頼など何か無いかなと思って来ました」


「レモンド君、絶対深入りは禁止。良いわね」シルフィーユさんが何時に無くて怖い顔をしている。


「も、もちろんです。絶対に無理はしません」


シルフィーユさんがダンジョンの地図を準備してくれる。その他に必要な物を教えてもらう。


「これが地図ね、階層ごとにいるモンスターが書かれているから、チェックしてから行ってね。

後、回復ポーションも忘れたら駄目だからね。

武器と防具の手入れをしてね。後、後ね。う~ん、無理はしない、良いね!

そるから! 絶対帰って来る。これだけは約束して、必ずだよ」

シルフィーユさんが仕事どころでなく俺を心配している。


それからシルフィーユさんが依頼表をみて話し始める。

「一応、年中有る依頼だけど、まだ早いかな。オークの肉は需要が有るけどまだ無理そうだし、後は魔石。わりとどんなモンスターも買い取りしているから取ったら持ってきて。オークは1人で無理だろうから止めてね」


「わかりました、今日は本当にダンジョンの事を聞きたかっただけなのでこれで帰ります」


「あっ、待って。今日は私も一緒に行きます」

シルフィーユさんが奥に行くと誰かに声をかけて出てきた。


ギルドの制服を来ていないと本当に綺麗な大人の女性だ。思わず見とれてしまう。

「なに、何かついてる?」


「いえ、すみません。見とれてました」


「ちょっと、大人をからかうんじゃ無いの。

レモンド君、お父さんとお母さんは今年は帰って来るの?」


「手紙見たけど。まだ難しい見たいです。何か相変わらずお父さん怒られているみたいですよ」


「そう、お母さんが厳しいだけな気もするけど」


シルフィーユさんは昔、お母さんとお父さんとパーティーを組んでいた。それにカトレーゼ夫婦をくわえ、5人でパーティー、黄金の剣をやっていた。


パーティー 黄金の剣はこの国、マンチェタ国で唯一のSランクパーティーだ。

俺が生まれた事でパーティー活動を止めて結局パーティーは活動休止となった。その後カトレーゼは宿屋を初め、シルフィーユさんはギルドの職員として生活を始めた。そしてカトレーゼの奥さん

モルジップさんはギルドの副マスターを勤めている。


シルフィーユさんと話しをしながら鷹の宿についた。


シルフィーユさんが宿に入る。

「いらっしゃいッ」リアルが固まる。

「ただいま。リアル、カトレーゼさんは?」


「レモンド、ちょっと」そう言って引っ張られて奥に連れて行かれる。


「ちょっと、あの綺麗な人、誰よ」


「だれよって。レアルってシルフィーユさん知らないの?」


「え、あのギルドの人? あの人が?」


リアルを連れて宿の食堂に戻り「シルフィーユさん

やっぱりギルドの制服着てないと回りが誰だかわからない見たいですよ」


「え、嘘」


「いや、リアルもシルフィーユさんと気付かなかったし。もしかするとカトレーゼさんも気付かなかったりして」


「大丈夫よ。もしそんな事が有ればゴリラの丸焼きができるだけよ」


シルフィーユさんが言うと冗談に聞こえ無い。シルフィーユさんは攻撃魔法と、槍の名手。1人で武術大会に出場。様々な大会を制覇してきた強者だ。


食堂のお客さんもシルフィーユさんを見てひそひそと話し始める。そんな中カトレーゼが来た。


「なんだ、シルフィーユ? お前ギルド辞めたのか?」


「ふん、そんな訳無いだろう。今日はお前に話しがあって来た。

お前、レモンド君に何をした?今日来たときモンスターと素手で戦ったのかと思う位酷い顔していたぞ」


「あ、あれか!! それはそのだな、そのリアルがレモンドの事を俺より大事だと言うから、ちょっとやり過ぎた」カトレーゼが小さくなっている。


「お前そんな事で?」


「そんな事って。だけど父親としてはだな…」


「カトレーゼ! お前のことモルジップにちゃんと報告しておくぞ、来月には帰って来るからな」


「シルフィーユさん、お母さん帰って来るの?」


「そうよ、もう少し待ってね」シルフィーユさんが優しくリアルを抱き締める。


コン!  カトレーゼがエールを置く。

「さ、飲め。昔のよしみだ今日はおごってやる」


「カトレーゼさん、俺ももらって良いか?」


「ああ、レモンドも特別だ。久しく懐かしい顔も見たしな」


「リアル、お前レモンドの飯作ってやれ。ミートミノの肉残ってたろ、あれで、からあげでも作ってやんな」


「カトレーゼさん、俺そんなお金持って無いですよ。ひょっとして出世払いを認めてくれるんですか?」


「出世払いは却下、お前はどう頑張っても出世しそうに無いからな」


「私も同じ意見だな。レモンド君に出世は似合わない。地道に頑張りなさい」シルフィーユさんまでもが同じ事を言う。


「そんな、でも俺、絶対に最強の冒険者になってみんなを見返してやりますからね」


「レモンド、できれば俺の生きてる間になってくれよ」カトレーゼが馬鹿にしたように言ってくる。


「なら私が見届けよう。私はカトレーゼより長生きだからな。リアルの子供に本当のカトレーゼがどういう奴だったかをきちんと教えてやらんとな」


シルフィーユさんも、俺の事馬鹿にしてるでしょう。

カトレーゼさんより長生きって、そこまでたっても俺はなれないのかな、いや、絶対に最強の冒険者になってやる。


「シルフィーユ、お前レモンドの事で根に持ったな」


「当たり前だ。レモンド君は私の夫になる男だぞ。顔は大事だ。その顔をボコボコにしおって、怒って当たり前だ」


「シルフィーユさん、何時から俺シルフィーユの旦那になることこが決まったの?」思わず突っ込んでしまった。


「そうですよ、シルフィーユさん。こんな出来損ないなんてシルフィーユさんには似合わないですよ」

リアル、お前もか!


「決めたのは今だ」シルフィーユさんが真面目な顔でこっちを見る。思わずドキッとしてしまった。


しかしリアルよ、こんな出来損ないで悪かったな。なあ、その通りだけどね。

俺も自覚はあるよ、そりゃあね、でもね。自分で言うのと、人に言われるのは違うよ。いくら最強の冒険者の俺でも、そんなはっきり言われたら傷つくよ。

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