第7話 銀之縦操息-ギンノジュウソウソク Part2(ゲーム)
岳積 vs ヨロイ
TURN1
ヨロイのターン
「私の先攻。【
青色の剣士が召喚される。剣を振ると、一瞬だけ霧が現れた。
【
固有希少値:銅 攻撃力300 耐久力200
効果:自分ターンに1度、発動可能。
指定したプレイヤー1人の累積ダメージを1500回復する。
(攻撃においては目立った活躍をしていない『湿度戦士』。剣から放たれる『ミスト』にはリラックス効果がある)
「ターン終了」
手札
岳積:5枚
ヨロイ:4枚
TURN2
岳積のターン
「私のターン。【
灰色をした狼が現れた。両手を広げてうなる。
【晴れる闇に喚く狼‐バーク】
固有希少値:銀 攻撃力1100 耐久力500
効果:自分ターンに1度、発動可能。
相手モンスター1体を選び、そのモンスターの攻撃力と耐久力との合計分のダメージを相手に与える。
ただし、この効果で与えるダメージは、現在のターン数×100分少なくなる。
(
「効果発動。相手モンスターの攻撃力と耐久力との合計値から現在のターン数×100を引いた分のダメージを与える」
【バーク】の咆哮は【
【晴れる闇に喚く狼‐バーク】の効果によるダメージ:300(300+200-TURN2×100)
ヨロイの累積ダメージ:300(0+300)
「バトルフェイズ――」
【晴れる闇に喚く狼‐バーク】攻撃力1100
vs
【
狼が爪を尖らせて走り出す。
ヨロイは手札を一枚放った。
「
ジューという音を立てて、青色の剣士が
「自分モンスターの耐久力を0にする代わりに、2枚ドローする――」
【加圧】
発動条件:自分モンスターの迎撃中。
効果:攻撃を受けた自分モンスターの耐久力を0にすることで、2枚ドローする。
【
ヨロイはデッキからカードを二枚手札に加えた。
【バーク】が腕を一振りすると、【
ヨロイの受ける戦闘ダメージ:1100
ヨロイの累積ダメージ:1400(300+1100)
手札
岳積:4枚
ヨロイ:5枚
TURN3
ヨロイのターン
「私のターン――」
ドローフェイズ
手札:5枚
場:0枚
総出場枚数:5枚
2枚ホールド(3枚デッキの下に戻す) 3枚ドロー
手札:5枚
「【
銀と水色の龍が召喚された。槍を構えている。恐らくそれで攻撃するのだろう。攻撃方法こそ異なるが、どこか
【
固有希少値:銀 攻撃力1200 耐久力900
効果なし
(『銀の霧』を吐いて、視界を遮る。竜の背に乗って戦う『
岳積の【ギャランティ・レイピア】と同じく、効果を持たないモンスター。それらのモンスターは、単体では劣るものの、その専煌カードは強力な効果を持つカードが多い。そのことを熟知している岳積は身構えた。
「さらに専煌カード【
銀の龍は、もくもくとした白い息を吐く。それは岳積とヨロイ、モンスターたちを包み込む。
濃い霧が立ち込めた。わずかに場の様子は確認できるが、ほとんど見えない。
霧を裂くように、ヨロイの声が聞こえた。
「手札を見てみて」
そう言われ、岳積は手元に目を向ける。
手札のカードが霧に包まれている。先ほどまで、はっきりと見えていた手札のカードたちは、霧でかくれんぼでもするかのように、姿を現したり、消したりしていた。
「これが【
【
専煌カード
指定
効果:このカードを従えているプレイヤーは、自身のターン開始時に1500ダメージを受ける。
このカードが場にある限り、
・自身の手札からカードを発動する場合、カード名を指定し、手札からランダムに1枚を選ぶ。
そのカードが指定したカードなら、通常のように発動する。
異なるカードなら、選ばれたそのカードは墓地に送られる。
そのターン、この効果で指定したカード名は、再度指定することはできない。
「そして一度指定したカード名を同一ターンで再度指定することはできない」
「つまり、私が一枚のカードを発動できるチャンスは、各ターン一度きりということか」
「そういうこと。理解が早くて助かるわ。もちろん私にもリスクはある。このカードがある限り、私は毎ターン1500のダメージを受ける」
それは彼女がダメージを防ぐ手立てを用意しているか、早々に決着をつけようとしていることを表しているのだと、岳積は解釈した。
「モンスターの召喚なら通常どおりできるから、気にしないでね」
モンスターカード以外のカードを制限されただけで、こちらにとっては手痛い。それに相手の場には
「バトル。【
【
vs
【晴れる闇に喚く狼‐バーク】攻撃力1100 耐久力500
岳積の手札には【ステレオアウト】がある。
【ステレオアウト】
解煌カード/消滅型
指定
効果:自分の場の
1体以上:相手の攻撃中に、発動可能。
その攻撃を無効にする。
2体以上:相手の攻撃中に、発動可能。
その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手モンスターを全て破壊する。
3体以上:相手のモンスターを全て破壊して、最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力分のダメージを与える(場での攻撃力を参照)。
このカードを使えば、攻撃を止めることができる。だが……。
「私は、手札の【ステレオアウト】を発動――」
手札のカードは相変わらずよく見えない。岳積は意を決して一枚を選び、前方へ投げた。
カードが投げられた位置の霧だけが晴れる。現れたのは解煌カード【陽動の痕跡】だった。
「残念。違う名前のカードだったから、【陽動の痕跡】は墓地にいくよ」
【陽動の痕跡】が消滅し、霧が元に戻る。
ヨロイの声が聞こえた。
「戦闘再開――」
何かを貫く音、その後でモンスターのうめく声がした。【バーク】が破壊されたのだろう。
同時に、岳積の体も痛んだ。
岳積の受ける戦闘ダメージ:700(1200-500)
岳積の累積ダメージ:700(0+700)
手札
岳積:3枚
ヨロイ:3枚
TURN4
岳積のターン
「私のターン――」
ドローフェイズ
手札:3枚
場:0枚
総出場枚数:3枚
1枚ホールド(2枚デッキの下に戻す) 4枚ドロー
手札:5枚
岳積は三体のモンスターを召喚した。
【ギャランティ・レイピア】
固有希少値:銀 攻撃力1300 耐久力800
効果なし
(『銀の鎧』を纏った『細剣士』。強者の『代替』として活躍できるほど、会得している技の種類が多い)
【
固有希少値:銀 攻撃力900 耐久力300
効果:このモンスターが戦闘する場合、勝敗判定が終了するまで、このモンスターは相手の効果を受けない。
(蛇を模した鎧を纏う戦士。目が良いので、『夜行性』の敵の『狙撃』はお手の物)
【
固有希少値:銅 攻撃力400 耐久力900
効果:このモンスターはステルスモードの時、以下の効果を適用する。
・このカードが場にある限り、自分のモンスターが与える戦闘ダメージは1.5倍になる。
(山吹色の『
銀の剣士、蛇の格闘戦士、山吹色の龍が現れる。
「バトルフェイズ。【ギャランティ・レイピア】で攻撃――」
【ギャランティ・レイピア】攻撃力1300
vs
【
「鉄槌カード【
ヨロイがカードを発動した。【ノウサーム】の攻撃力を上げるつもりなのだろう。
場には羽のついたペンが現れる。
【
鉄槌カード
発動条件:場にモンスターがいる場合。
効果:場のモンスター1体の攻撃力または耐久力を、上げるか下げる。
その数値は、そのモンスターの固有希少値によって異なる。
・銅:100
・銀:300
・金:500
・その他:700
「【
岳積はカードの発動を宣言する。
二枚の手札のうち一枚を、一か八かで放る。
カードを投げた先の霧が晴れると、巨大な鉄の拳がそこにあった。
岳積の願いは叶った。
【鉄槌の増援】
鉄槌カード
発動条件:自分ターンで効果が発動した場合、それに対して発動可能。
効果:その効果を無効にする。
「よし! 【鉄槌の増援】の効果で【上下方修正】の効果を無効にする!」
拳がペンに向かう。しかし、激突する寸前、銃声が聞こえ、拳はバラバラに砕けた。
岳積に何かが当たり、鋭い痛みが体を走った。
岳積の累積ダメージ:1700(700+1000)
「鉄槌カード【
ヨロイの場では銃が煙を上げていた。あの銃で【鉄槌の増援】を無効にし、その流れ弾が岳積に当たったのだろう。
【
鉄槌カード
発動条件:「効果を無効にする」効果の発動に対して、発動可能。
効果:その効果を無効にして、相手に1000ダメージを与える。
「【上下方修正】の効果で【ノウサーム】の攻撃力は300上がる!」
宙に浮いて見えている攻撃力表示が、ペンで修正される。
【
長い攻防が終了し、戦闘が再開された。
【ギャランティ・レイピア】攻撃力1300
vs
【
銀の龍は槍を振り下ろすと、銀の剣士の剣を弾く。銀の剣士が転倒すると、鎧の上から槍が容赦なく突き立てられた。
悲鳴が聞こえ【ギャランティ・レイピア】が破壊される。立ちこめた霧により一部始終を確認できないことで、恐怖が増したような気がした。
「私が反撃してくることを読んで、【鉄槌の増援】の成功率を高めるために、モンスターを三体も召喚したんだね。そこに気づくとは、
その点は気になっていた。人間の姿になることができるとはいえ、彼もモンスターであることには変わりない。モンスターは
「聡情から聞いたけど、あなた、昔Laboにいたんでしょ?」
「それがどうした?」
「そしてそこで、先輩研究員を失ったあなたは傷つき、Laboを去ることになった――」
辛い記憶が蘇る。
あの人――トレックは、優しい人だった。研究に不慣れな自分をいつも気にかけてくれた。夢を討つ夢を追い、一人家を出てきた自分が、あの人にどれほど救われたか。
しかし、バーストがLaboを襲ったあの日。トレックは自分を庇って――どこかへ行ってしまった。
「Laboを襲撃したのは、私たちじゃない。でも、バーストがLaboを襲撃する計画を立てているという情報は掴んでいた。だから、
「何が言いたい?」
「あなたが探している男は、もうこの世にはいないわ」
「どういうことだ!」
信じられない。岳積は反射的に言い返した。
「私は
岳積の体が熱くなる。
「
「まさか、トレックさんから……。助からない人間になら、何をしてもいいと言うのか!」
「私のことが憎いなら、私をその人と同じ目に遭わせればいい。あなたになら、それができるでしょ?」
なんてことだ。この女があの人の
「ターン終了だ……」
手札
岳積:1枚
ヨロイ:1枚
TURN5
ヨロイのターン
「私のターン。【
ヨロイの累積ダメージ:2900(1400+1500)
ドローフェイズ
手札:1枚
場:1枚(専煌カード【
総出場枚数:2枚
0枚ホールド(1枚デッキの下に戻す) 4枚ドロー
手札:4枚
「バトル。【ノウサーム】で【
【
vs
【
「霧を
蛇の格闘戦士は槍を正面からくらった。
岳積の受ける戦闘ダメージ:1200(1500-300)
岳積の累積ダメージ:2900(1700+1200)
「ターン終了」
手札
岳積:1枚
ヨロイ:4枚
TURN6
岳積のターン
「私のターン――」
ドローフェイズ
手札:1枚
場:1枚
総出場枚数:2枚
0枚ホールド(1枚デッキの下に戻す) 4枚ドロー
手札:4枚
「【
愛らしい獣が現れる。尻尾を振って岳積に近寄ってきた。岳積が撫でてやると嬉しそうにした。
【模写の精霊 ミミ】
固有希少値:銅 攻撃力100 耐久力1000
効果:1ターンに1度、発動可能。
互いの場・墓地のモンスターの中から1体を選ぶ。
このカードの
(形態『模写』が得意な獣。『訓練』すれば、オリジナル以上の力を発揮することも)
「効果発動。【ノウサーム】の
獣が吠えると尻尾が槍の形に変化する。体は銀と水色に変わり、【ノウサーム】と似た容姿になった。
「【ミミ】が
【ミミ】が口から白い息を吐く。
「あなたの手札にも霧がかかる。これで互いにカード発動の条件は同じになった」
「面白いね。いいよ」
ヨロイは面食らうどころか、むしろ士気が高まったようだ。
「バトルフェイズ。【模写の精霊 ミミ】で攻撃――」
【模写の精霊 ミミ】攻撃力100
vs
【
「手札のカードで対抗しようってのは見え見えよ。でも、あなたの手札は3枚もある。狙いのカードを発動できる?」
ヨロイの挑発を無視し、岳積はカード発動を宣言した。
「私は【スピリット・バズーカ】を発動する――」
「【スピリット・バズーカ】……」
手札のカードを投げる。
現れたカードは、【
岳積の手札:2枚
岳積はさらにカードの発動を宣言した。
「私は【
手札のカードを投げる。
宣言どおり【
【衛兵抜刀】
発動条件:モンスターの戦闘時。
効果:その戦闘の勝敗判定は、攻撃力ではなく耐久力を参照して行う(耐久力を持たないモンスターの場合は、耐久力0として扱う。また、戦闘ダメージは攻撃力を参照する)。
「この戦闘ではモンスターの耐久力を参照して、勝敗判定を行う」
「それなら私は【
ヨロイが手札のカードを投げる。
現れたカードは【
【
発動条件:効果を持たない自分モンスターの迎撃中。
効果:その戦闘における攻撃モンスターを破壊する。
カードは消滅した。
「あーあ。失敗しちゃったか……」
ヨロイはそれ以上、抵抗を見せなかった。
【模写の精霊 ミミ】耐久力1000
vs
【
【ミミ】の尻尾が伸び、【ノウサーム】を貫く。
「そして、【ミミ】の攻撃力100と同じ数値の戦闘ダメージがあなたに与えられる」
ヨロイの累積ダメージ:3000(2900+100)
銀の龍が消え、霧が晴れる。ダメージを受けて苦しむヨロイがしゃがんでいた。
岳積の勝利
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます