第47話 47 赤き〇に染まる
「お色直しを致しました新郎新婦のご入場です!」
「うお、これは予想外。」
思わずそんな言葉が漏れる。
予想通りだったのは性別を反対にしたお色直し。
だが、身に包んでいるモノが二人とも真っ赤。
新郎側の席に座り直した真黄さんの格好は真っ赤なジャケットに深紅のスラックス、やや濃淡のある色合いに加え、シャツは黄色、ネクタイは白だ。
胸ポケットには青い薔薇が一輪。
新婦の席に座り直した誠さんは小さな薔薇を一面に彩ったドレスを身にまとう。
ローズマリーを模した緑のブローチがアクセントになる。
互いに互いが理想とした姿は、似たもの夫婦にもほどがあると言い表すほかのないどちらが両衣装に身を包んでも似合うと言い切れるだけの一体感を見出していた。
お色直しでここまで赤を基調とするの珍しいが、それ以上に面白い花言葉を使う。
花言葉とかそういうこと言っているから陰キャだとか言われるんだけどね。
青い薔薇の花言葉は奇跡。
ローズマリーの花言葉は誠実。
そしてドレスに包まれる薔薇の本数によるが普通選ぶ大きさのバラよりもはるかに小さいことから999本と見える。
その花言葉は
「何度転生しても、あなたを見つけ出し、愛し続ける」
ロマンチックなことだねえ。
「これで衣装は完成しておりません。
もう一つ、これで完成です。」
真黄さんは場の雰囲気にのまれ静寂に包まれる会場の中、胸ポケットのバラとは別にもう一本青い薔薇を誠さんの髪留めとして結ぶ。
「お姉ちゃん、こんな花言葉なんて知らなかったのに誠さんの影響かな。」
「そういうの新郎さんが好きなの?」
「うん。
お姉ちゃんよりは好きだよ。
花を育てたりするのも好きなんだって。
花に囲まれながら読書するのが一番の楽しみらしいよ。」
「それはすごい。
童話の中にいつでも入れる環境になっているだなんてうらやましいね。」
花の中で囲まれて読書をすれば、それだけ匂いというリラックス、テンションを合わせることができる。
美味しい読み物には美味しいにおいを。
さっぱりとした読み物にはレモンを。
近くに当てはまる匂いがあるだけで、読書はより楽しくなる。
新郎は今楽しくてしょうがないだろう。
物語(理想)の登場人物(人物)を目の前にしているのだから。
「大恋愛物語はなかなかだねえ。
幼馴染の勝ち戦もいいけれど、こういう一目惚れこそ人間の本質を描いているようで実に面白い。」
「そうそう幼馴染の大恋愛よりも一目惚れだよね。」
「物語としてはね。
だからそのまま我慢しててね芽衣さん。」
「…」
芽衣さんは俯いて何とか怒りをこらえていた。
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48 陽は反論する
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