第46話 46 理想の身体

「あと少しで来るかな。」


「まだまだだと思うよ。

 お色直しにはいろいろ時間がかかるからね。」


 そして、新郎新婦が直してくる色は俺の予想だと。

 衣装が逆になるはずだ。

 彼らからすれば十中八九アウェイな状態で結婚式を取り行っている。

そんな中で逆転の1手を呼び出せるとするならば、それは自分たちの本能思うが、ままにさらけ出すこと。

 聞いた話によると、新婦側の真黄さんももともと自分の理想の男性などいないと思っていた。

 自分が理想の男性となるために、女性でありながらも、その男性になるために肉体作りから始めていたところであった。

 偶像の中でしかない。それは自分の中で明確な目標として現れていた。その理想の体現が紛れもない、新郎側である。


 同時に、新郎側も思ったはずだ。自分がなることのできなかった理想の女性だと。

 絞った筋肉を見るのに、大胸筋がやや大きめに作られている。

 他にもお腹全体の筋肉をギチギチに固めることができれば、細身のドレスであれば、とても良いシルエットになるだろう。


 葵さんは筋肉量を上げるためのトレーニングを積んだことがないのか、彼らのシルエットだけでは勘が外れるらしい。


「ふう、物語には順序がある。

 僕たちの余興は最初、4から8までを教えようとしていた。

 それが1から9まで、来賓された方々には伝えられた。

 そこから0から1になるところと10を教えられたら面白いと思わない?」


 起承転結、文法で最初になる纏め方。

 連絡の際には結起承転、そして結が求められる。

 他にも序破急のような散文構成もある。

 今回の物語の構成は、余興が起承転まで教えた。

 新郎新婦が教えるべき部分は筆者の自己紹介文、そしてエピローグだ。

 プロローグに入る前に、一つキャッチコピー、紹介文を書くことが書籍では一般的であるが物語の場合はやや異なる。


 ここで言う物語とは吟遊詩人の時代から続く、途中から聞くことを前提にした物語。

 途中途中に、起のさらに前の起を入れながら話についてこれるように少しずつ少しずつ小出しにして出されていく。

 最終局面になると、エピローグプロローグを入れ、新たな物語に入れるようにする。


「しかし、本人たちではないにしろここまで深い部分に携われたのは、とてもいい経験をさせてもらったって実感するねえ。」


「それについては一郎が首を突っ込みすぎだろ。

 初めてのくせに、ズバズバ口を出すんだから。」


「陸奥さんはそこまで怒ってくださんな。

 そのおかげで披露宴の雰囲気がとてもいい感じになっているんですから。

 もっと大変になるのはこれからです。

 なるべく大変にならないようにするリスク管理は、日本社会に行っても通用する武器になると思いますし、とっさの判断で内容を変えるのは海外の考え方。

 両方を知っているような人でないとできない芸当です。」


 現在社会人として活躍している人に褒められるのは悪い気分がしない。

 労働に対する喜びは無くていいものだけど、無いと心が疲れる。

 今になって思い出すことではないかもしれないが、冠婚葬祭という言葉がある。

 俺を引いたバスの運転手さんの仕事に支障が出ないといいのだが。


「社会人小説を書ける自身が無くなってきた...

 結婚式もこんなに難しいなんて...」


「ライトノベルだとエピローグに持ち込むから、ここまで詳しく話す必要はないと思うよ。

 どちらかといと昼ドラマ化を目指す人たち向けじゃない?

 ドロドロしたざまぁとか。」


「なるほど。」


 俺たちの会話に、また親たちは苦笑いをした。


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第47話 47 赤き〇に染まる


アーマードコア6楽しい。

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