第44話 44 仕事ができる人間は失敗を対処できる奴だ。
「まず、新郎様であります、江頭 誠様の気を引くにため行ったのは、ジムには毎日通い同じタイミングでプロテインを飲むこと。」
葵さんもハンドサインに反応してくれたようだ。
イレギュラー対応のためか、棒読みになっているが一緒に四苦八苦して内容を考えただけあって、それなりにどういう答えが欲しいのかわかっている。
今から、伝えよう。
互いの感性を持って最高のエピソードを。
語り部は家族と、第三者。
「そう、片方が意識し始めると、距離を縮める方法がわからなくなる。」
ハンドサインを互いに多用する。
身振り手振りとは違い、互いの呼吸を理解すれば誰にでもできる仕事上の共通点の理解。
リズムに乗らせれば、葵さんは棒読みではなくなる。
台本もう会ってないようなものだ。
互いにアドリブで話すことに変更する。
「わからなくても、近くに居たい。」
「彼の印象に残りたい。」
「なるべく自然な形で。」
「プロテインをこぼした。」
葵さんは原稿を放り投げる。
「お詫びという形で食事に誘った。」
そのまま俺が葵さんの手をつなぐ。
「ほんとはお高いところで気を引きたかったけれど。」
葵さんは手を振りほどく。
プレゼンテーションにおける原稿は合ってないようなモノ。
全て頭の中に入れておくことが大事なのだ。
結婚式の余興で求められるのは何か。
新郎新婦を最大限目立たせること。
そのあと、末永くお幸せになれるビジョンを観客に見せつけること。
最後の付加価値を引き出せる状況下に今までの原稿の現行ではできないと、観客たちの視線から判断できたのならアドリブ即刻するべき。
自分のことを理解して貰いたいなら曝け出す。
新郎を狙っていた人たちは自分にもできたと言いつけるに違いない。
「彼は自分に厳しい人だ。」
俺は考える像のように空気椅子をする。
「ストイックに。」
葵さんはそれに対して背中を合わせる。
「パワフルに。」
俺は立ち上がり力こぶを作る。
「健康な食事を誘う。」
葵さんは胸に手を当てる。
「ジムの近くでタンパク質35g以上、ミネラルやビタミンも取れて美味しい食事を出しているお店はない。」
俺は包丁を叩くようなしぐさをする。
ちらほら、披露宴に出席する方々から笑いが漏れる。
「けれども自分が食事を作るのは気が引ける。」
葵さんはフライパンを振るようなしぐさをする。
爆笑する人も出てくる。
「彼の好みなんてまだ知らない。」
俺は顎に手を当てる。
そらそうだという声が聞こえる。
「筋肉の好みしかね。」
今度は葵さんが力こぶを作る。
綿も笑いの声が聞こえる。
「サラダシーチキンをたっぷりと奢った。」
買い物バックを肩に持つようなしぐさを二人でした。
ヒューヒューという声が聞こえる。
「一つだけ捨てても構わないと。」
「手作りも作った。」
今度は風呂敷に包んだお弁当を持つしぐさを。
「もし、それで捨てられたとしても。」
葵さんはポイするしぐさを。
「私はあきらめない。」
俺は上を向いた。
「なんせ、もう負けてるんだから!」
葵さんも高らかに。
「何度も気を引くために失敗をした。」
「でもその失敗は誠様の心を貫いたのです。」
「今では清らかな淑女に。」
「今では正しき紳士に。」
「「どちらも慣れたでしょうか。」」
「「なれたと思う方は盛大なる拍手にて歓迎ください。」」
パチパチパチパチ!!
......................................................................................................................................................................................................................................................................................
45 披露宴、読んで字のごとく昔は実行されていたらしい。
あとがき
明日はアーマードコア6の発売日ですねえ。
小説よりもそちらを楽しみたい方の方が多いかも?
スライム道
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます