第42話 42 待ちに待った披露宴が始まります
「準備はいい?」
「うん、大丈夫。」
葵さんがお泊りした後に何度かリハーサルをした後、結婚式当日、披露宴の日になった。
洋式の結婚式で衣装は純白のウエディングドレスで結婚式の進行は進んでいく。
今回呼ばれた結婚式場は帝国ホテルなどの格式ばったところではなく、それなりの中規模の結婚式状もできるタイプの観光向けホテルであった。
通常、男性の結婚式は大抵複数人との結婚が行われるため大規模形式が多いが今回は珍しく一人との永遠の愛を誓いあうこともあり、相手方の親戚の多さからこの手の式場が選ばれた。
小規模のところだと親戚は両親だけに留めておき、二人だけで行う。
中規模の結婚式では、親戚一同を呼びつつ親しい同級生たちだけを呼ぶのが一般的だ。
男女比逆転世界ならではの結婚形式だと伺える。
前世の場合は祖父母と叔父叔母家族まで呼び、会社の同僚、仲のいい同級生を呼ぶのが一般的だったが、今回は会社の同僚に当たる人たちがいない。
男女比逆転世界だと、親戚が異母妹にまで及ぶため、親戚の数が前世の倍以上に膨れ上がってしまうのが特徴か。
こういった中規模の式場は珍しいため、あまり使われない。
妻たちが複数人いるため、それなりに規模の大きいところにしなければ成り立たないケースが大半のため中規模の式場は全て地方にある。
今回の式場も例に漏れず、温泉が有名なところで山中にある。
参列される方々にはご足労をおかけするが本人たちの門出だ、参列者たちは一切嫌な顔をすることがない。
「はじめして、君が葵君のフィアンセの一郎君かな。」
肉体は鍛え抜かれ、今日、この日のために絞ってきたことが伺えるとんでもない肉体美。
野獣のような肉体に、紳士さながらの白のスーツに身を包み、ポケットチーフが厚い胸板をより強調する。
この日のためだけに作られたスーツは腹筋に至る肉体すらも美しく見せる。
「いえ、フィアンセではありませんよ。
あくまでも元同級生です。」
「君も元々は僕と同じ考えを持っているようだね。
彼女にはしてやられたよ。」
「そうでしょうねえ。
私もまた、いろいろな人に罠にはめられそうですよ。
もっとも、私は結婚する気がありますが、会社に勤めたいという意思が強いだけですよ。
仕事をしたり、自分のスキルアップをするのが楽しい人間ですから。」
どことなく馬の合う新郎の方は俺と同じ仕事人間なのかもしれない。
自分が社会的に必要な人材と思われること楽しくなる。
社畜の精神とも言えるそれだが、本質的には食物連鎖が始まった時代から代わることのない群れ社会のルールだ。
群れの中で役割得ることの喜びを知っている。
「ああ、自己紹介がまだだった。
私は江頭 誠。
よろしく頼むよ。」
......................................................................................................................................................................................................................................................................................43 誓いのキスを見ると結婚はいいものだと思うのは気のせいだろう
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