第38話 38 質問、男子が異性を感じたのどういうときですか。

「私だ!」


「俺だ!」


 互いににらみ合いを初めた。

 恋とは人をここまで醜くするか。

 犬猫の張り合いのように見える。


「なんだこの無駄に育った乳はこうしてくれる!」


 掌で鷲掴み、思いっきり押し込んでいく。

 背中とくっつくように丹念にめり込む。

 そのたびにたゆんたゆんという擬音が聞こえる。

 例えるなら左右に揺れる柔らかくも弾力のあるプリンをさらに出した時のような擬音。

 葵さんと芽衣さんでは明確に力の差がある。

 瞬く間に芽衣さんのペースに持ち込まれる。


 俺?俺一郎はあれだよ、女の喧嘩は犬に食わせておけってやつだ。


「あ゛?

 ないもん剝がすとは乳も育たんかったのと同じように器も育たん勝ったみたいだな!」


 口悪!

 大胸筋を揉みこまれようと一切表情を変えることなく、むしろ前に出ながら芽衣さんの頭を掴んだ。

 あれだけ揉まれるって偽乳特戦隊?

 ちょっと疑いたくなる。

 初姉は筋肉だから神経が張り巡らされているのは解るけど、普通の脂肪の塊としての胸ってあまり神経通ってないんか?


「女は安産型の方がモテるんだよー!」


「ざけんな!

 好きな人を最後に好きって言われる方がモテるよりいいだろうがい!」


 がっちりニューロックを組み込んでから、芽衣さんの桃を掴み頭を背面へ!

 みんな大好きスープレックス!


「って辞めんさい!」


 さすがにケガの恐れがあるため止めにかかった。

 ....が、そもそも止める必要はなかったらしい。


「こ、腰が....」

 

 どこぞの中高年男性のような悲鳴を上げている。

 葵さんの筋力ではそもそも持ち上げることは叶わなかったようだ。

 それでも、まあなんかね。

 うん、いいもんだ。

 何がいいもんかは聞くな。

 言葉にできないもんがあるのさ。


「フハハハハハハハハハハ、この俺と一郎との仲を切り裂こうとした罰だ。」


「…朝、6時43分、暴行罪容疑で現行犯逮捕。

 また器物破損の容疑でも逮捕。」


「え?」


 まあ、誰か来るよね。

 姉たちが何もしないわけがない。

 オトンあたりが許可したっぽいけど、家の設備の大半は姉たちに権利があるし警察も動くよねえ。

 通報されて当然。

 女性警察官に手錠を掛けられて、芽衣さんは連れ去られていった。

 葵さんは警察からベッドに運ばれたが腰がまだよろしくないようで


「あ、あの起こしていただけますか。」


 と泣き言を言っていた。

 

 この時、俺の脳内〇ーレ会議では論争が行われていた。


「EVアに乗れ。」


 脳内〇ーレ会議ではなぜか指令はオトンになっていて。


「乗らないで一郎君!」


 乗らないでと止めるオカン。


「乗ってはダメよ一郎君!

 私が乗らなくてもいいようにするから。」


 必死に止める初姉。


「乗れ乗るんだ一郎。」


「陸奥指令、ここは彼の意思を尊重すべきかと。」


 なんかいた前世の俺?


「....どうするんだ一郎。」


 カオスな脳内会議映像を見せられ現実に舞い戻り、今の現状を見る。

 

 雰囲気もムードもないが服装は魅力的な葵さん。

 さらには今現在腰が動かせないため旨い事立ち上がれない状態に居る。

 陰キャならば、陰キャならば夢に見たことがあるのではないか。

 かつての前世買いに行った〇騎士と〇ークの物語ようなシチュエーションに。

 〇ロ同人みたいな感覚に。

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