第37話 37 オサナナジミとハツコイの百合の扉が開く?いえ、バチバチです。

「....とりあえず弁償してね。」


 パニックになるであろう壁破壊事件に対して、何事もなかったかのように冷静になる一郎。

 気持ち的には突発的に起こった災害に近い。

 火災報知器のような警報が鳴らないだけで災害である。

 むしろ壁を破壊しておいて姉たちが魔改造した家の防犯装置が鳴らないのがおかしいである。


「もちろん!

 初さんたちを現金でビンタするよ!」


 誰も受けてみたい万札ビンタをするらしい。

 配信者にて成功を収めているこのオサナナジミはお金の価値観が狂っているのではないかと思ってしまう。

 姉たちもそうだが、一人のためにそこまで金をかけるか?

 基本的には独身を貫いてきただけあって、独身、自分にお金をかけるメリットを知っている分自分がホストのように貢がれるのは気分が悪い。

 

 陰キャは根が真面目な輩も多い。

 自分なりの信念を持っていて、陽キャのように流されることは合っても譲れないことに関しては必然と自分を貫く。

 陰キャと陽キャの最もな違いは集団心理の違いだ。

 陰キャは自我と法、陽キャは周囲と無法、陰キャは自我を護るために法を利用し、陽キャは周囲を巻き込むことで無法者になろうとも罪の意識を薄れさせる。


 オサナナジミはともかく、姉たちは陽キャのようなノリで集団心理を利用して一郎に対して囲いを作っているように感じる。

 オサナナジミの方はホストに入れ込んでしまった陰キャと言ったところか。

 どっちがいいと言われてもどちらも嫌だが。


「配信者ってそんなに稼いでいるんですか?」


「今は俺個人の法人に入れているから、配信や動画にかかった必要経費として出せるお金になるし、そこそこ稼いで入るよ。

 もちろん個人で使えるお金は少ないけど、生活の大半は経費で落とせるからね!」


「すごいですねえ。」


 葵さんも相当稼いでいると思うけど。

 小説家になったと聞いているし、作品も一郎が手に取ったことのある作品ばかりだった。

 ラノベ作家と一般作家の二足の草鞋を履いていて、印税だけで相当な量稼いでいるらしい。

 ラノベの方は出版社に帰属するが一般作家として書いた小説の方はマージンがすべて自分の方に来ているらしい。

 だが、自由には使わずに貯金したりふるさと納税にあてるとあまり手元には残らないとのことだった。


 そこが芽衣さんと葵さんの明確な違いともいえる。

 小説家という観点から、未来を見据えた考え方をしている葵さんと今を伝えるという配信をメインとしている芽衣さんでは考え方が違う。

 どちらと付き合いたいかと言われれば、頭のいい人は葵さんと答えるだろう。

 未来を見据えた上で自分を選んでくれているのなら、それなりに必要なことを察知してくれると思うし、具体的な未来予想設計が定まっている。

 子育てにおいても未来予想ができているほうが信頼できる。

 子どもには最低限どんなことを覚えていれば社会で恥ずかしくない状態、もしくは日本における常識を植え付けるべきかを一緒に考えてくれる。


 もちろん芽衣さんのほうでもメリットはある。

 今を伝えることを生業にしているということはいじめに対して察知しやすいということ。

 これは子どもに対して臨機応変に対応することができる人に成れるだろう。

 無理難題に直面した子どもの異変に気が付けるのは集団から投げ出したくなる子どもへ軌道修正を行えるいい人だ。


「ね、だから俺の方が一郎の結婚相手にふさわしいと思うんだ。

 今を幸せにできるのは俺だから!」


「私は未来の一郎さんを幸せにできると思いますよ。

 最後の女には私がふさわしいかと。」


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次回 38 質問、男子が異性を感じたのどういうときですか。

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