第30話 30 オトン....地上最強の男と同じ価値観っすか?

「きゅーきゅー。」


「かわええ。」


 動物の動画を見て癒されている。

 前世では動物園にもよく通ったものだ。

 動物園や動物カフェに関しては世界一健全なキャバクラだと思っている。

 リターンを一切見ない、動物は客に対して媚びない。

 

 要はお持ち帰り的なものも存在しないし、弱音を吐いたところで慰めてくれるわけではない。

 

 ただただ、見世物である。

 きちんと対価を払って視線を感じてもらう。


 動物の生態系を見るのは隣の芝生は青く見えるのと同じことで、人間の社会に対して疲れた時に見るととても癒されるのである。

 今回のように結婚式への準備や個人事業主の育成及び仕事の手伝いを行えば少しは現実から逃れたくなるものなのだ。

 今見ているのはアザラシの動画だ。

 お腹を出して寝る姿はとってもかわいい。


 ウトウトしているドアップの表情を見ているとこっちまで眠くなってしまう。

 自然と瞼が閉じ始めた。


「........寝ましたね。」


 忍び寄り、静かに一郎の部屋に忍び寄る影があった。

 ここには初姉と違って父親公認で忍び寄っている人が来ているのである。

 オトンの思惑は、社会進出には応援するが、せめて結婚はしてほしい。

 最終的には結婚してほしい気持ちがあるが今は恋人、もしくは婚約者として保険を作ってほしいのが親心だった。


「私、うれしかったんですよ。

 最初はじろじろ視線を感じる人だと思いました。

 でも、本が好きなのは一緒でしたね。」


 椅子から一郎をずらして、ベッドに持ってく。

 男一人を持ち上げるには苦労したけど、お持ち帰りしているみたいで、同窓会の再会という名の出会いを連想させる。

 それはまさに止まっていた青春の再開でもある。


 例えるなら子どもの時流行った漫画やアニメを企業戦略的な意味も持って大人用玩具として発売した時、財布のヒモが最も緩くなる時。

 思い出を取り戻すため渇望を手にした彼女は目の前に居る懐かしいおもちゃを目の前にして正常な家計管理ができるか!

 否、某オサナナジミができていなかったのと同じように彼女もまた、我慢ができなかったのだ。


 ただし、二人の中で異なる部分が存在する。

 彼女、葵は青春そのものに対して渇望しているのだ。

 オサナナジミは一郎そのものを延々と押し続けていた。

 青春は勿論満足してもしきれない貪欲な渇望に対して、ハツコイの渇望は今までできなかったことに対する青春の渇望。


「私は、あなたに恋をしていないのかもしれません。

 ですが、少なくとも、学生時代あなたといた時間はとても安らかなものでありました。

 逆に異性に興味を持ち始めた時にあなたを見ていたら、ドキドキが止まらなかったことでしょう。

 今の私は不思議な気持ちでいっぱいです。

 安らぐのにドキドキしてしまいます。」


 恋に落ちるというのはドキドキが止まらなくなることを言うのか。

 愛に浸るというのは落ち着くということなのだろうか。

 どちらが正しいのかすらわからない。

 葵さんは恋愛初心者である。

 しかし、文学少女であった。

 何を意味するか。

 恋愛の価値観は本の中で決まってしまう。


「どうなんでしょうか。

 本の中の登場人物ならわかるかもしれません。

 一緒に居たいので、今日はベッドに居させてもらいますね。」


 そして、一郎は起きるタイミングを見誤っていた。

 椅子からベッドに移動させられた時点で起きていたのだ。

 どうしたものかとそのままベッドに運ばれやすいように体を預けたのだが、一緒に寝てくるとは思わなかった。


 しかも、彼女の姿が....



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メイン小説

換金スキルとショップスキルでバグ技現代無双〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~


酔っぱらってダンジョン行ってたらお姉さん持ち帰りしてて朝チュンしてた件~スキル乳化の美肌ボディエステは女性冒険者を虜にする~


こちら二つもよろしければ拝読ください。


次回

31 夜這い


スライム道

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