第27話 27 姉弟喧嘩はEろいと言えるのか?2

「葵さん、一郎さんの邪魔になるので起きてください。」


「いやだーーー!!!

 ポッと出の女狐に言われる筋合いはない。」


 葵さんに対して敵意を抱いている理由は明白だけど、ここまで人のことを堂々と嫌いというのは人としてどうかと思う。

 お酒の席でもないのに俺のこととなると初姉は暴走列車のようになってしまう。


「私ではなく、参さんのお言葉ですよ。

 もう夕食の時間になりましたので、ダイニングに来てくださいだそうです。」


「やだやだー。

 ずっといっしょー。」


「....

 一郎さん、抜け出せそうにはないですよね。」


 目線で肯定の意を示す。

 今だ顎をロックされたままである。


「仕方ありません。

 そのままで構いませんのでダイニングには来てください。

 立ち上がらいのようであれば、これを食らわせますよ。」


 と言ってカセットテープの音声をちらつかせる。

 初姉は恐怖の表情を浮かべた。

 というか悪夢というか、弟離れできていない姉筆頭め。


 彼女のトラウマswitchを押してしまっているのだから素直に動き出した。

 俺は普通に抱っこされたままである。

 恥ずかしい。

 足まで浮いているから何とかおろしてくれないかな。

 オトンがいるところでは流石に下すだろうけど、この姉は面倒だ。


「おい、初、いい加減弟離れしないか。

 一郎も迷惑がってるぞ。」


「....(フン!)」


「なんだその目はー。

 人の気持ちを考えなさい。

 いくら家族といえどもやっていいことと悪いことの分別くらいはつけなさい。」


 俺以外のことだと分別は付けられるのにね。

 そのあたりが、初姉の弱点であり、心の支えにもなっている部分ともいえる。

 初姉にとって俺は明確な推し。

 オタ活されているのだ。

 他にも芽衣さんなどもしているんだろうけど、彼らの中は悪い。

 まるでホストに貢いでるみたいだから、俺としては嫌なんだけどね。

 ホスト違ってお金は取っていないし、ものとかもおねだりしているわけではないからやましいことはないのだけれども。

 宗教的な意味合いで担がれているようで前世のことを含めると気分は良くない。


「はーい。」


 気に食わないのは明白だが、さすがに家族でオトンを敵に回すことは他全員を敵に回すことになるので、折れたようだ。

 やっと解放された俺は、圧迫されていて普段より少ない酸素しか取り入れることのできなかった肺に新鮮な空気を入れる。

 顎も無理矢理閉められていたので、痛みを感じているため、多少顎や首を動かす。

 軽く体操もして体に異常がないことを確認した。


「最近、また力が増しているような気がするよ。」


「愛の力だよ!」


 馬鹿言っている姉を無視して、客人である葵さんに謝罪する。

 

「葵さん、騒がしいところをお見せしてしまって申し訳ございません。」


 葵さんはネタのように思えたのかくすくす笑っていた。

 以前の規制が緩かった時のテレビ番組のように見えているのか、笑えているならいいだろう。

 どこぞのオサナナジミの時のようにヒートアップすることは無くてよかった。


 しかし、他の家庭を知らないからだろうけど、結婚する女性はその男性の家族とはなるべく仲良くしようとするものなのだろうか。

 あまりそういった世間を知らないのは今後の課題か。

 儀礼的な部分は知っていることが多いのだが、恋愛的な意味合いや社交性に関する付き合いが壊滅的なのは俺の弱点だし、社会進出したいと言っている人間が疎くては叶わないか。


「むすー。」


「ぷははははははは。」


 こらえきれなかったのか思いっきり笑った。


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28 姉弟喧嘩はEろいと言えるのか?ラスト


sulaimudo

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