第26話 26 姉弟喧嘩はEろいと言えるのか?1
起き上がるともう夜になっていた。いくら徹夜できるからといって、長い時間集中していた分、疲労がたまり、この時間にまで寝てしまっていたのかもしれない。
今も体が恐ろしいほど重く、鈍くまるで体重100キロ以上の何か重い物体が。自分の上におぶさっているかのようだった。
しかし、首は思ったほど重くない。
ふと、首をあげると。
「ムニュムニュ。」
初姉がいた。
道理で重いわけだ。
俺の胸を枕にして眠っている。
がっちりとホールドされて、身動きがほとんどとれない。
そしてよく考えてほしい、姉の頭が俺の胸にある。
つまり俺のお腹に当たる部分に姉の胸がある。
そしてこの感触からするに、下着をつけていない。
というか開いて、俺をホールドしている。
他の腹違いの姉なら、まだ欲情することがしばしあるが、血のつながりを明確に感じる姉には欲情することが一切ない。
ではなぜ、この話をしたかというと、要は乳房は重いのだ。
重く、なおかつ力の伝え方に隙間がない。
技として掛けられればそれだけ、面倒な代物に早変わりしてしまうのだ。
何とか脇腹を手で掴もうとするが、バキバキに割れた腹筋に一切のスキなし。
前回のように乳房を握力で掴むようなこともできない。
ある意味絶体絶命。
大声をあげて助けを呼ぼうとした。
それに感づいたのか本能で俺の顎に頭突きを入れて叫べないようにロックする。
「むぎゅーだいしゅきー。
いいにおい。
お嫁にいっちゃやー。
ずっといっしょにいたいー。」
姉の本音が漏れる。
俺のことを好きすぎるのはほかでもない初姉だ。
そして最も身近に接してきた異性でもあり、スキンシップも一番多くしてきた。
こうやって見るとデブ猫が乗っているようなものとして受け入れるしかないのかな。
あきらめがつき、身を任せるようにしてもうひと眠りしようとした。
「あの、一郎さん。
起きていらっしゃいますでしょうか。
そろそろ夕食になりますので、参さんから起こしに来るように言われたのですが....」
葵さんの声がしたので、部屋にまで来ているだろう。
この光景を見て助けを呼んでくれ。
身を任せようとしたが、この現状を打開できるのなら逃げ出したいのが当然。
早く起こしてくれー。
「これは姉弟愛がほほえましいですね。
うらやましいですね。」
なんだが微笑ましいと思われているようだ。
近所の子どもの面倒を見る謎の老人のような視線を感じる。
ああいう老人って子どもが好きでけがをしないか見ながら微笑ましい気持ちで見守ってくれているんだあ。
っと、今はそんなことを考えている暇はない。
何とかして動き出し、助けを求めなければ俺の人生が詰む!
「うん?
目が開いている。
起きていますか?
お姉さんに捕まって動けないんですね。
なら、ちょっと私にもお姉さんがやっていることをやらせてくれたらOKしちゃいますよ。
そのままハネムーンまで一緒に行ってもいいですよ。」
冗談めかしてウインクしながら言う葵さん。
おとなしい子だけど女子たちとの会話では多少の茶目っ気も見せていたよね。
「というのは冗談です。
また、昔みたいに本の話を一緒にさせてください。
それがお願いです。
お姉さん起きてください。
参さんから、また怒られてしまいますよ。
最も参さんからは、初さんもいるだろうからと言われて起こすための音声をいただきましたけどね。」
カセットテープのようなものを取り出して、それをイヤホンジャックのみの乾電池式の小型スピーカーにつなげる。
「おねえちゃんなんてだいっきらーーーい!!!」
「いやだーーー!!!
いっしょにいりゅうううう。」
幼き日のホームカセットかよ。
当時はまだビデオカメラが高かった時代だ。
だからこそ、ボイスレコーダーという形で残っていたのだが、これが姉を起こす時にとても役に立っていた。
俺の知る限りでは高校のころに起きられるようになってからは使わなくなった目覚ましだが、まだ残っていたのか。
カセットテープだからテープが劣化すればそれで終わりなのに、残っているだけで感慨深い。
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次回
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スライム道
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