第23話 23 徹夜したらハツコイが家に来ていた件

「ひと先ずは内容自体は決まった感じかな。

 っと、もう朝か。

 結構時間経ってたな。」


 芽衣さんに勉強を教え終えた日に構想がある程度まとまったので、内容を書き下ろしていたところ朝になるまでやっていたようだ。

 小学校の作文ほどもない文章を書くのにこれだけ時間がかかってしまったと考えるとやや不安だ。

 一応文章を完璧にしているとしても多少のアドリブが入るため、本番まで決して油断してはいけない。

 相手方の目線を見て楽しくなるように何通りか作り、さらに選定を繰り返す。

 正解の無いテストだから臨機応変で自分ができる最良を目指す。

 一徹くらい訳ない若い肉体だから、難なくできたけど、後で再度確認と葵さんにも打ち合わせを行わないと。

 ひと眠り入る前に、朝食を食べるかとダイニングに向かうと何故か伊藤家族がいた。


「先日はどうも、一応式の内容が大方決まりましたので、内容をお伝えするためにお家に上がらせていただきました。」


「朝早くにご迷惑をおかけします。」


「一昨日ぶりですね。

 おはようございます。」


「おはようございます。」


 理屈は分かった。

 まあ、こちらも伺おうと思っていたところだしちょうどいい。


「あの、寝不足でしょうか。

 服が乱れていますし、日を改めた方がよろしかったでしょうか。」


「いえ、構いません。

 朝食を取り次第、打ち合わせに入りましょう。」


 今は深夜テンションハイが混じっているし、内容の共有はしっかりメモをする予定だからできることはできる。

 集中力自体は精神的には続いている。

 肉体的に持つかは不明だけれども多分大丈夫だから、やってみようか。


 と朝食を食べながら打ち合わせの準備をしていく。


「っと私からは以上となります。

 他に問題点はありますでしょうか。」


「現状はありませんが、臨機応変な対応も必要になることを念頭に入れて動くようにしてください。

 仕事と同じように何もかもが上手くいくとは限りません。

 指摘されそうな問題点は見当たりませんが、それがかえって彼らの問題点をでっちあげる材料として使われる可能性もありますので、明らかな妨害行為も念頭に入れて動けるようにお願いします。」


「はい。」


 本来は笑顔で祝福するのが披露宴、結婚式というものだ。

 だが、今一度自覚しよう。

 ここは過去の男女比が1:1に限りなく近く、政府が一夫一妻制を推進していた日本ではない。

 一夫多妻制を採用している他でもない次の妻の座を狙う人たちが数多くいる日本なのだ。


 昔と違って年齢には寛容になったが、その分肉食獣たちが獲物を狙う目つきで待機していることを忘れるな。


「それでは、葵さん、私たちが話す内容の打ち合わせに入りましょう。」


「はい。」


 葵さんとも順調に打ち合わせを行っていく。

 葵さんの方でもある程度纏めてきたものがあるらしくお互いの意見を参考にすり合わせを行っていく。

 お互いに言葉で発していきながらリハーサルも行っていき、ある程度形にはなった。


「本日はありがとうございました。」


「いえいえ、こちらこそわざわざここまで来ていただきありがたい次第であります。」


「では私たちはこれでおかえりいたします。」


 打ち合わせが終わり、玄関にお見送りをしようとしたとき、オトンがどことなく現れ、ふと思い出したかのように朱里さんを見やった。

 次に口を開いたのは衝撃の一言を話すためだった。

 

「あ、そうだ。

 伊藤さん。

 葵さんをうちに預けてみないか?」

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次回

24 家族を取り戻せ!~世紀末~初姉視点


スlaイム道

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