第19話 19 恋愛話は最高のお茶菓子とは言ったものだが、嫉妬は犬にでも食わせておきたい
「....」
な、なんだこの間は秒数にして僅か3秒しか経過していない。
そのはずなのに、30分は経過したかのように感じる疲労感。
「一郎さんは未婚なのですか。
大学生でまだ未婚ということは一生独身でいるつもりで?」
そして時は戻される。
朱里さんの一言によって、時間の流れを正常に戻した俺はその問いに対する答えを反射的に言い出す。
「いえ、生涯独身でいるつもりはないですが、社会的進出、就職を希望している身でありますので、大学の勉強に集中したいのが現状です。」
何言ってるんだ俺!
やらかした。
接点を自分から断つようなことを言ってどうする。
オトンからなんか心の笑いを感じるんだけど。
俺のこと絶対に笑ってるよな。
緊張しすぎてありもないこと言っているなって思っているよな。
「へえ、葵のこと貰ってほしかったのだけれど今は無理かしら。」
「「え?」」
葵さんは頼んだアイスコーヒーにストローを刺そうとして、包み紙をアイスコーヒーにドボンとしている。
俺はモカブレンドコーヒーを危うくこぼしかけた。
「お母さん、やめてよ。」
「どうして?
葵なんか、男のかけらもなくてこのまま結婚できないんじゃないかと思ってるお母さんの親心はわからないの?
お姉ちゃんの真黄だって、恋人探しから初めて10年目でやっとゴールインできているのよ。
今のうちに唾つけておかないでどうするの?」
「私はそんなじゃないって。
子どもは要らない。」
「もう。」
子どもができれば自分の時間が減るって考え方なのかな。
現代人っぽいね。
最近会った知り合いが珍しいだけで、今の若者はそんな感じなんだね。
基本的は結婚欲求が薄めな人が増えてきているのが実情。
政府は異次元の少子化対策とかやろうと言っているらしいくらいには、問題視されているらしい。
「互いに子育てには苦労しますな。
私も長男はすでに結婚して5人ほど子ども設けているのですが、次男が社会出たいらしく。
正直、親としては応援はあまりしたくはありませんが、子どもを進む道を応援するのが親の役目なのかと悩んでおりますよ。」
「そうですねえ。
葵は本の虫で、今は大学に行きながら小説家をやっています。
親より稼いでいるくらいですから、誇らしい気持ちではありますが....
子どもたちの孫の顔は見てみたいものですね。
そして元気なうちに抱いてみたい気持ちはあります。」
「どちらも下の子の感性は違うようですな。
おっと、少し無粋な話でしたかな。
本日は祝福すべき御仁が居るのですから、本題に入りましょうか。」
蚊帳の外にされていた真黄さんに話を振るオトン。
「はい、新郎の方は今回が初婚となります。
同い年になりますので、独身を貫いていたので猛アタックしました。
精子バンクには提供自体はしているので、子どもがいないわけではありませんが私が初めての認知した子を産む予定です。
っと惚気話をしてしまい申し訳ございません。
それで、できればなのですが葵と一郎さんには式で、馴れ初めを紹介してほしい余興をお願いしたいのですがよろしいでしょうか。」
結婚式で行われる内容の中には必ずと言っていいほど、馴れ初めの照会が必要となる。
昨今のマッチングアプリなどでの場合ではあれば共通の趣味を通じて。
幼馴染などの幼少期からの知り合いであれば、そのままに。
小学校から高校まではクラスメイトだという手は使える。
大学だとサークル仲間などでといった感じ。
もちろん、普通に共通の趣味を通じて出会う場合もある。
結婚式ではそれなりに見栄を張る必要があるので、昔の感性を持つ人ももちろん呼び込む。
だからその人たちにも濁すようにだが正統な結婚であることをアピールする必要があるため、馴れ初めは非常に重要な段取りと言える。
「紹介ムービーとかは作らない方向で話したほうがいいという感じでしょうか。
新郎の方は自分の観点よりも他人の観点を結構気にされてますか?」
紹介の方法は主に3つ。
くっつけた親友や親戚の子どもなどにお願いして馴れ初めの台本を作成して読んでもらうこと。
紹介するために自身で馴れ初めに関するフォトなどの映像を流しながら、自分たちで話すこと。
事前に紹介動画を作って流すこと。
「えっと....彼に関しては仕事をしていることもあり、忙しくあまり遊びに行けていないんです。」
基本的には1つ目の方法が一般的だが、他の人からの客観視を入れることによって説得がしやすいという内容がある。
2つ目方法は写真もあるし、なにより本人のアドリブも入れられるので、それなりに説得力があるため本人の結婚に対する強い意志を伝えられる。
3つ目の方法に関してはもちろん事前準備に入念な作業が必要になるため最も労力がかかるが、コミカルなのとアドリブで吹き替えするなどして説得力もさることながら二人の努力の結晶を生み出したという深い絆を表現できる。
デートをあまりしていないとなると新郎側の家族は納得していない人も居るかもしれない。
そのため、少ない写真を使って2つ目の方法を実践したほうがいい気もするが。
「では、フォトムービーなどはいかがでしょうか。
写真などは何枚か撮っていたりしませんか?」
「いいえ....」
「ふむ、ならば余興に関しては私は構いませんが、葵さんもそれでよろしいでしょうか。」
「う、うん?」
「も、ものすごい大人びていますね。
本当に結婚式に出席するのが初めてなんですか?」
「一応、長男の結婚式には出席はしたことがあるはずだが、小さい時だからな。
覚えていないと思うんだが。」
「あの、余興で二人に話してもらうのって結構不味いんですか?」
「いえ、そこまで不味いわけではありませんが、今まで独身を貫いてきた男が急に結婚すると言い出したのだから、新郎側の知り合いに女性がいた場合面白く思わないでしょう。
それに対して、赤の他人から新婦側の息が掛かった人間に言われても作り話のようにしか思えません。
なので、お二人ご自身でほかの方々に納得いただける方法があるのなら、ご自身で作られたフォトムービーや紹介動画などを進めた次第であります。
しかし、かといって結婚式の品物として一目見て二人の愛の結晶のようなものは還って祝福を素直にしていただいている来賓の方に迷惑、失礼に当たると思います。
それらを踏まえると品物を吟味して作る必要があります。
新郎の方とよく相談できるところはしてくださいね。」
完璧を求めるプレゼンテーション前の下準備にこれから結婚式に対して、真黄さんは覚悟が必要なのかとごくりと唾を呑んだ。
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メイン小説
換金スキルとショップスキルでバグ技現代無双〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~
酔っぱらってダンジョン行ってたらお姉さん持ち帰りしてて朝チュンしてた件~スキル乳化の美肌ボディエステは女性冒険者を虜にする~
こちら二つもよろしければ拝読ください。
次回
20 結婚と仕事はよく似ている
スライム道
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