第18話 18 オシャレなカフェで披露宴前に顔合わせをするよ!
「ええと、待ち合わせ場所がこのお高いカフェか。」
「長らく、こういったカフェに行っていなかったからなあ、雰囲気が私もわからない。」
「オトンもわからないし、俺も行ったことがない。
メニューを見るだけで高いのは分かる。
帰りたい。」
「まあまあ、カフェの代金は私が払うから気にするな。
オシャレな人が多いから、場違いな感じはするけどな。」
俺は一応夏が終わったばかりなので、半袖Tシャツにジーパン。
オトンはポロシャツにジーパン。
似たり寄ったりな親子センス。
見ろ他の人たちを。
異世界にでも来ているのか、オシャレのために暑さを捨て、化粧を施し、談笑するオシャレジンたちが眩しすぎる。
髪だって染めてる人多いよ。
やだよー。
恰好をよく見せたいのは分かるんだけど、なんか嫌。
デートをしている男女、男女男、女男女もしばし居るから余計に居づらい。
親子であることは一瞬で見抜かれるのは構わない。
場違いだろって空気出されるのが一番怖い。
しかしながら、オトンは意外と美形。
整った鼻に男性にしては珍しい毛穴が殆ど開いておらず、整えられた髭はイケおじを連想させる。
秋用のコートでも羽織らせればパリに居そうな男性の出来上がり。
俺はフツメン、肌にはニキビや開いた毛穴が少ない程度の一般人。
っつか、ファッション性が皆無です。
前世も仕事に生きてたし、ファッションなにそれ美味しいのって人でしたもん。
「ええと、席を予約しているというイトウさんという方と待ち合わせをしているものですが、イトウさんはおらっしゃますか。」
「はい、お越しいただいておりますよ。」
な、なんて行き届いた言葉遣い。
これがチェーン店のカフェか?
眩い、眩いよ。
リアルに充実し、成功した者たちが行く店だよ。
実際人生の成功を手にした人たちに会いに行くんだから当然だけど。
オトンはともかく俺には場違い感が強くて嫌だよ。
「お、お久しぶりです、改めまして私、伊藤 朱里と申します。
こ、この度はご足労いただきありがとうございます。」
オトンとタメくらいの人が緊張気味の挨拶をしてきた。
皺を化粧で隠しているが、それなりに皺がある。
オトンって若く見えるよね。
スキンケアとかは精々手荒れ防止クリームだけだし。
イケオジが来るとは思ってなかった感じ?
一応授業参観の時には会ってるから顔は覚えているけど、この人だいぶやつれたのかな。
「いえいえ、元より大人としてのマナーが薄い一郎にまたとない機械をいただきこちらこそお礼を言いたい次第であります。」
「そう言っていただけると幸いです。
と、葵の方が御存知とのことで、こちらが結婚式を挙げる予定の真黄です。」
軽く世間話をして本題に入る。
今回の場合だと伊藤さんの方が無理を言ってこちらを招待している。
どうしても下手に回ってしまうのはしょうがないか。
ただ印象がお客様の対応をしているようで披露宴を成功させる気が無いのかな。
政略結婚的なの感じる。
「初めまして、この度は式を上げさせていただきます伊藤 真黄と申します。
よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ初めまして、陸奥 参と申します。」
「同じく初めまして、次男の一郎と申します。」
「お久しぶりです。
伊藤 葵です。」
「お久しぶりですね。
いやはや中学の頃よりもだいぶ大人びたで、子どもの成熟は早いですね。
どこか寂しくも感じますがお母さんを支えて上げなさい。」
イケオジだから許されそうなセリフ。
俺には無理よオトン。
「お久しぶりです。
陸奥 一郎です。」
やべ、そっけなく返しちゃったよ。
どうやって話せばいいんだ。
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次回
19 恋愛話は最高のお茶菓子とは言ったものだが、嫉妬は犬にでも食わせておきたい
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