第16話 16 姉ズの尋問兼思い出話
「さて、洗いざらい話してもらおうか。」
ブラック企業の圧迫面接もびっくりするくらいの人数による圧迫面接。
そんな中、初恋の子に関する内容を洗いざらい吐かされ始めた。
そう、初恋を感じたのはあの頃だった。
春の頃でも何でもない、会ったのは入学式、恋に落ちたのは夏頃。
彼女は特に運動をメインとするわけでもない、文化部の大人しい子だった。
女子にしてはがつがつせずにいてくれるオアシス的な子と言えばわかるだろうか。
基本的に女性のほうが大人になる、思春期が早いのは変わらない。
だから、恋人を作ろうとアタックする子が多く、俺はあまり言葉を交わすことがなかったからか、誰からも告白されることはなかった。
では、恋に落ちた原因を離そう。
男性の本能的なものが刺激されたというところだろうか。
夏のエアコンも聞いていない教室内で汗も滴る中、首筋を流れる汗でムレムレの暑さにやられたせいで疲れた表情をした彼女になぜか心が奪われた。
フェロモン的なものに対して、やられたのかもしれない。
自然と目で追うようになった。
乱視なのか眼鏡をかけるときもあった。
眼鏡をかけられると、普段とは違った一面が見られてさらにかわいいと思った。
眼鏡をかけて熱心に授業を見るのは学生の鏡であり、目標のために真っすぐ進む若者は綺麗だった。
憧れでもあったのかな。
若者の中で、あれほど熱心な目をする人間はいない。
たまに、クラスの班行動とかで一緒になっときは話しかけられても、この人はお客様ってことにしないとマトモに話すことすらできないくらい心臓がバクバクしていた。
彼女の当時は、特にメイクなどをしなくともきれいな素肌で、外に出ていないから色白で、当時の子たちにしてはややふくらみが大きい乳房があった。
小学生から中学生の服装は大きすぎたり、逆に小さすぎたり、体にフィットしていないことも相まって、中学三年に上がるころには目に毒ともいえるくらいの眼福な姿が拝めた。
男子たちはほかに居た、男装をしていた女性に夢中だったとかそうでないとか。
男子たちは男友達のようにかかわれる女子のほうが人気があった。
理想の女性になるために女装する男子もいたし、そういう子もまたモテた。
葵さんはどんな人が好きだとかそういう噂は聞いたことがなかったから、わからないけれども告白しておけばよかったなと今でも後悔している。
「ううう、うらやましい。」
一通り話し終わったころ、姉ズたちは泣き始めた。
カエルの大合唱勝手くらい泣き始めたので、その隙に逃げた。
「はあ、姉ちゃんたちも何とかならないかな。
こうだから、バレるのは嫌だったんだよね。」
四方八方に取り囲まれて圧迫面接受けている気分だったよ。
恋心ってさ、あまり強制的に吐かせるものではないと思うんだけどね。
女子ってそういうことを徹底的に知りたがることは今も昔も変わらずか。
いや、女性に限らず情報中毒なのは人類共通か。
恋愛なんて、共有しやすい話題であればなおさら。
情報を発信する欲求、情報を発信するために未知の情報を獲得する欲求。
もともとは危険、獲物に対する暗号的手段の生物的本能から派生したものを止めるのは難しい。
「披露宴までにもう少しあるし、オトンにフォーマルが必要かどうかを聞くのと、芽衣さんのお見舞いに行けたら行こうかな。」
芽衣さんにお見舞いに行っても問題ないかの趣旨をSMSで送った。
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次回
17 披露宴に行くって言ったらオサナナジミが壊れた件
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