第12話 12 一方そのころオトンはというと....

 一人息子が女性をたぶらかしているとはいざ知らず、普段使っている机の上に小包を発見した男性が此処に一人。

 陸奥 一郎の父親であるオトンの愛称を持つ中年男性、陸奥 参である。

 彼は、ふと娘たちからのプレゼントかと思った。

 娘たちは一番身近にいる男性として私を好いてくれているからプレゼントをくれたりする。

 娘たちがいろいろ考えて悩んだ末にプレゼントしてくれたものだから素直に嬉しい。


 しかし、この小包はなにか違う気がする。

 明らかに、男性モノを買った感じがするし、娘たちならこういった男性的主張のあるモノは敢えて買わない。

 基本的に、男性の趣味のセンスから言ってその人の好みを刺激すると機嫌を損ねるとマナー講師に教わるからだ。


 どうにも気になり、家事を中断してまでその小包を開けた。


 そこには合皮でこそあれど、手触りが良く長持ちしそうな財布が入っていた。

 私の財布を思い出す。

 普段使いしているからとずっと変えていなかった財布は買った当初は子どもたちが生まれてからだっただろうか。

 その当時はまだ妻は一人で、誠心誠意子どもを育てようと決意した時だった。

 あの頃は赤ん坊なぞ、育てたことは無く、妻に母乳を与えて貰ったり、自分でおしめを変えたりするなど大変なことでいっぱいだった。


 今では家族は20人子どもは15人と大家族になったもんだ。

 ほんと、男の子は二人しか授からなかったがそれでも幸せな家庭と呼べるだけのモノは築けた。

 上の子たちが毎年家族を連れてきてくれたりするし、孫もできた。

 片親しかいない孫だけれども、可愛い子だ。

 責任もって育ててくれることを祈るばかり。


 そう、もう、私は次の世代へのバトンタッチをすべき時なのかもしれない。

 子育てに関しても、今はグローバルな世の中だ。

 男性は種さえだせばいいという考え方の人たちも、もちろんいる。

 新しい男性の働きたいと言う要求を満たすためのことだ。

 最初は反対もあったけれども、もともと精子提供というのあるのだ。

 如何に男性と言えど全ての男性に生殖能力が万全の状態で備わっているわけでは無い。

 医療目的の観点からそういうことはあった。


 そう言った男性は主に遊びたがりの男性が多く、社会の目はまだまだ冷たいモノではあるが真面目に働いている男性もいる。


 下の息子はそういうところを言いたかったのではないだろうか。


「私も感情的になり過ぎたか。」


 この財布は、下の子、一郎が渡したかったものだろう。

 全く、こんなもののためにバイトをしなくとも、感謝の気持ちは伝わると言うのに。

 しかし、いつもボロボロの財布を使っているところ見かねた上でのプレゼントだったのかもしれない。

 姉や兄を頼らなかったはこれから社会に出ていきたいと言う意思表示もあったのだろう。

 何人の子どもを育てても、子育ては難しい。

 正解のない課題ほど、難しいモノは無いなと再確認できた反面、子どもの成長をより実感できた気がする。

 兄の方は私と同じ専業主婦になっているらしい。

 厳密には配信者と兼任しているとのことだったが、私にはよくわからない。


「ふ、良い財布だな、」


 ボロボロの財布は思い出入れにでも入れておくとしよう。

 孫が成長した時にでも自慢話として伝えられるようにな。

 この財布もボロボロになったら、それ以上の自慢話になるかもしれないがな。


「センスいいなあ。

 そういえば美術の成績は4だったか。」


 5じゃないのが詰めが甘いせいか、それとも美術はわからなくとも、手先が器用だったおかげか。

 それに息子は他人の考えていることを読むのが旨かった。

 それこそやり手のセールスマンのような口調で人を説得するのはプレゼンを受けているみたいなことばかりだった。

 私への説得は私が我が儘を言ったせいで、説き伏せられなかったがな。

 

 毒親に見られたかもしれないが、帰ってきたらまた話してみるとするか。

 何故か突然友人が倒れたとか言って病院に行ってしまったし、帰りは遅いかもしれないが、それでも温かいご飯を用意してあげよう。

 それくらいして、家族差別など言われまい。

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13 13 全員懐中電灯の準備はいいか!家族会議だ!

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