第3話 3 いつの時代も子どもの悩みを聞くのって教育をする人だと思う。正解のない答えって難しいね。

 本日のプール内唯一の男子児童は、俺の言ったことを聞くとかなり深く考え始めた。

 この時期に将来の目標を決めるとか、主人公みたいな子だなあ。


 ああいう子が主人公に成ったりするんだろうなあ。


 目の前のそのまま成長すれば立派な物語が成立しそうな若人に、惚れ惚れしながら業務を再開する。


「私の夢はおにーさんのおよめさーん。」


「わたしもわたしも!」


「にゃーも!」


「ねえねえ、おにーさん、女の僕が男になるにはどうすればいいの?」


 一人ビデオ録画して大人に成って見せたら相当恥ずかしい口調の子居るけど、まあいいか。

 よくはないけど、本人の笑い話に成ればいいしね。

 

 話を戻すけど、今現在、悩みを抱えている男子児童は俺にそういうことを話してほしいって言うのは親に反対されちゃったんだろうねえ。

 こういう事柄は一番身近な存在に否定されたことから始まる意志だし、彼のような内気なタイプだと親に逆らうには相当な勇気がいる。

 勇気がいるから、同じような存在に背中を押してもらいたいんだと思う。


「僕、格闘選手に成りたいの。

 でもお父さん危ないからダメって言うの。」


 格闘技か、これは確かに親御さんの気持ちを考えると確かに反対する人はいる。

 強い意思を魅せられれば説得は出来るとは思う。

 ただ、その手の親がどういう反応するかっていうのは人次第だから、説得は難しいんだよなあ。

 

 親が子どもを鏡として見ているのか、大切なモノとして見ているのか、愛玩動物のように絶対に傷ついて欲しくないモノと感じているのかによってどれだけ真摯な眼差しを持っても通じない親というのは存在する。

 そう言った親が存在する以上は、子どもが何しでかすかわからなくなるからね。

 家出なんかする子も結構いるし、難しい問題だねえ。


「確かに危ないねえ。

 でも、なんで危ないかはお父さんは教えてくれたかな。」


「うんうん。」


 首をフルフルしながら否定する。

 心なしか不安そうな顔だ。

 まあ、この話の流れだと否定されるって思ったのかな。


「じゃあまず何が危ないのか、それを考えてからお父さんを説得できる材料、お父さんを納得させられる事象を調べてみようか。」


 聞いた感じだと、忙しければあまり子どもを見ないタイプの親っぽいし典型的な放任主義だけれども、危険なことはさせたくない普通の親といった感じだから、それなりに子どもの考えに納得できる節を感じさせることが出来れば説得自体はできるだろう。


「わかった!

 帰ったらやってみる!」


「うん頑張ってね。」


 と、まだプールの時間はあったが帰るみたいだったのでシャワー(冷水:地獄のシャワーなど学校によって異名アリ)を浴びせた。


「あんちゃんありがと!」


 手を振って頑張ってねえと応援している。

 さて、バイトの続きをしますかねえ。

 夏だから熱いわ。


「さてさて、んで。

 親御さんらは流石に周囲の人の目もありますので、解散してくれると助かります。」


「「「「ぶーぶー!」」」」


 なんで抗議の声だけはみんな揃っているんですかね。

 最初乱闘でも起こすかのような剣呑な雰囲気かましていましたよね。

 子どもたちにお前そこ変われみたいなオーラ出し合いながら俺の獲物だって威嚇しあってましたよね。


「貴重な男性を見ることは自由だ!

 視姦する権利を奪うな!」


 いや、変態男子高校生の理論かよ。

 女子水泳を除きに行くつつましい男子の欲望発散と同じ理屈か。

 あんたら歳いくつよ。

 っつうか子どももって結婚してるだろ。

 姉ズもブーブーいうな。

 俺は嫌じゃ。


「そうだそうだ!

 息子の成長を見る権利を奪うな!」


「そうだそうだ兄ちゃん(弟君)の成長を見る権利を奪うな!」


 あ゛!?(╬▔皿▔)╯


 あーあー、喧嘩が始まるわ。

 ねちねちと陰湿な女の戦いが始まる。

 男の闘いって結構すっきりしたものが多いんだけどねえ。

 もの投げたりとかはもちろんするけど、言葉攻めが多いのが女性の喧嘩の特徴かな(偏見)。


「ねえねえ、おにーさん。

 おかあさんたちはなにしてるの?」


 あの戦争に対する言語理解能力はまだ持ち合わせていない小学生たちはまだ見ぬ未知に興味津々だ。


「まあ、そうだねえ。

 田舎に行けばいくらでも見れることをしているだけかな。」


 田舎に行ってニワトリたちに雄鶏を合わせればみんなそんな感じだ。

 もっとも地鶏だけだけど。


「へえそうなんだ。」


 あんまり理解はしていないけれども納得はしたようで子どもへの教育としては上出来かな。

 性の自認をさせてもいいけれど、ここは江戸時代では無いしね。

 増してや中世ナーロッパでもないし、健全な令和です。(元号は変わらない)


 警察に通報し、補導されることまでは無かったが、厳しく注意された親御さんたちは二度目はかなりおしとやかに見守るようになった。

 尚、劇場を閲覧する貴族のようにテーブルと双眼鏡を持ってきて、優雅なティータイムをしながらプールを眺める姿は変態そのものであったと明記する。


 プールの監視員のバイトは無事に終わった。

 通帳には数枚のお札が入った。

 少し小金持ちになったみたい。

 さて、好きなモノを買いますか。


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メイン小説

換金スキルとショップスキルでバグ技現代無双〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~


酔っぱらってダンジョン行ってたらお姉さん持ち帰りしてて朝チュンしてた件~スキル乳化の美肌ボディエステは女性冒険者を虜にする~


こちら二つもよろしければ拝読ください。


次回

4 男一人で歩くのもダメってほど、男女比は狂ってない。


スライム道

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