第20話 雷撃の主(あるじ)


 最終決戦へ俺たちは乗り込む。俺たちは様々な敵を一掃し続け、最上階の手前にある建物と建物を結ぶ中間にある空中庭園に到着をした。 屋外に面した雷を呼びやすい場所だった。


 そこに待ち構えていたものはイオだった。


「あなたたち、ここでお終いよ。あの方の元へはたどり着けずにここで散っていくの。そして私はあの方から賞賛を受けるのよ」


「どいてくれイオ…」カイはそう発言する。


「おとなしくつかまっておけば痛い目にあわずにすむのに。」イオはそう言った。


「大人しく捕まることなんかできるもんか!!俺たちは信念を突き通す!!!」カイはそう言い返す。


 そして、イオは隙をついて雷撃を行う。俺は完全には避けきれなかった。


「まだまだね。」


「よくもっ!!!」みづきがそう言う。


「待てっ。ここは俺の戦いだ。手を出すな…」


「うん…」


「ここにあるのは偽りの幸せだぞ!!偽りの愛だ!そんなものの言いなりになるのか!」


「偽り?何が偽りなの?私は、いつも親に感謝しているわ!!!」


「思い出せ!!俺との日々を忘れてしまったのか!?」


 その瞬間、彼女の頭の中には、こんな言葉が浮かんだ。


「なんか頭がいたい、何か罪悪感がある…そうあの時間はなんだったって言うの。全てを否定していいの。一時期だけど彼は私に優しくしてくれた。楽しかった。それを否定していいの。でもこれで、正しいはず…」


「そこまでにしてもらおうか!」


「ガオ!!」


「口喧嘩じゃなく、力で決着を付けてもらおうか。力が全てなのだよ!行けイオ」


「はい。」


「サンシャインスピアー」光の棘がカイに襲い掛かる。


「もう駄目か…」 カイはイオの攻撃によって動けなかった


「いつか気づくだろう。お前が手のひらの上で踊らされていただけってことに」


「負けおしみのように聞こえるわね。そんなはずはないわ」


「もっとよく考えろ。人間考えることをやめたら終わりだぞ。本当に満足しているのか?」


「カイまたそんなこと言って私達を欺こうとするのかい?」


「ガオきさま!!!」


「カイお前に一つ提案してやろう」


 ガオは目を半開きにし、こう言った。


「イオと一緒にいたければこちらに戻ってこい」


 カイは沈黙の後、こう言い放った。


「可笑しい、可笑しすぎる。俺の心はもうイオの元にはない。ありえない二択に持っていかないでもらえるか!?人を弄びやがってふざけるな!!!」


「セイバーリンク」カイの剣技が光る。


 それをイオが受けた。


「ようやく、本気で戦う気になったのね。いいわ。見せてあげる私の実力を。サンダーストリーム」


 激しい雷の流れがカイの元へと流れる。イオの強力な電撃は、カイにダメージを与えた。


「なんて威力だ…」


「くそっ。はああああ!!」


 剣技を何発も連続で繰り出すが、全ての行動は読まれ、かわされ攻撃を与えることができない。


「あなた変わってないわね。そう単純なところも」


 俺が尊敬してきた能力に俺は翻弄されていた。


「クソッ」


「アイランドライト」


 小さな島を覆い混むような全方位から覆うような雷がカイを襲う。


「あああ!」


 致死量のダメージを受けた。


「次で終わりかしらね。」


「まだだ!!!」


 カイは誠人の音楽を思い出していた。そして、集中した…


「スキッド・グラッド・レイ」


「パリーン」


 一瞬の剣さばきで、からみついた雷を粉砕した。


「なんだと…」


「よしっ!集中してる。一発で決める。電光触雷!!!」


 身にまとった雷を駆使して、一瞬でイオを戦闘不能にした。行動を読んでも反応しきれないほどの、凄まじい速さだった。


 カイは、音楽というものをスイッチとして集中を生み出した。それは相手の心を読むよりも早いスピードで。そして落ち着いていた。どんな時代でも怒号をかき消すように流れていたのが、音楽だった。


「ああ。こんな簡単に私が負けるなんて…」


 俺は、戦意喪失しているイオから照準を変え、ガオに剣を向けた。


「こうやって俺たちは意味もわからず、戦っているのに、のうのうと見ているお前を許せない!!!!!」


 イオにとっては衝撃的だった。その一言でイオの心にあった、何かの依存が途切れた。


「そう、そうだったわね。気づかせてくれてありがとう。あなたの言葉はいつも、勇気を与えてくれたわ。…全てはあの場所で誓った自由の為にあるはずだったのに、なんでこんなことやっていたのかしら…私も…一緒に戦うわ…」


 イオも精神的ストレスから、なにかしらの依存に追い込まれていたのだ。それは、「洗脳」という依存だったのかもしれない。若かった彼女には仕方なかったことなのかもしれない。


 ガオはこう言った。


「ご苦労だったな。お前はもう用済みだ。邪魔だ。消えろ!ダークネスハイヤード」


「駄目だ!間に合わない!!!」カイが呟く。


 イオを突如現れたザークが守った。必死な覚悟だった。こんなことがあるだろうか。皮肉なことに、その巡り合わされた愛は、偽りの愛ではなかったのだ。


「ザーク貴様!!貴様も裏切ったな!!!」


 ガオは怒り狂っていた。


「私はもうガオの手の中に落ちたが、ずっとお前の事を愛している。カイ、本当に誘拐して悪かった。最後のわがまま許してくれ、イオを頼む。そして私の力では全く歯がたたなかったがガオを倒してくれ。やつは悪魔だ…」


「ザーク!!死んじゃ駄目!!駄目だよ・・・ザークが死んだら私どうすればいいの・・・」


「…みづき、イオを頼む!がおおまえ!!!仲間を殺して何にも感じないのか!!!」


「ははは。惨めな最後だったな。もちろん何にも感じないさ。もはや快感だよ。なにせ私にはむかったんだからな。わたしには家族がいる。あの場所に戻ることにするよ。不幸の裏側にある幸せを噛み締めながらな。あの場所って言えばわかるはずだろう。そこで落ち合おう。最終決戦だ。」そして彼は消えた。


 そしてイオはまるで昔に戻ったかのような、感情を取り戻した。


「カイ、ごめんね。」


「…いいんだ。わかってくれれば…」


 俺はそう答えた。


「イオ、これからも仲間として仲良くやろう」


 俺は悲しくも冷めてしまった恋心を思い返しながら、そう言った。


「うん」


イオは安心したのか気絶してしまった。


「よしっみづき、2人で行くぞ。イオはここで休めせておく。ここなら安全だろう。」


「うん、こっちについたってみんな知らないだろうしね。最終決戦だね」

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