6.5・女だけの街

 過激派の魔女が放った守護精霊は魔法によって狂化され、戦闘用である護衛魔法の種類に乏しい穏健派の魔女に集団で襲い掛かるや、その四肢を引き裂いて食べ尽くしました。


 斜陽の正体に皆が気づいたものの時既に遅く、両派閥問わず構成員の多くが誤解からの相打ちか、斜陽の手によって殺害されていました。


 斜陽の企みに気づいたチュリパンが時間を稼いだことで、なんとか斜陽から逃げおおせた生き残りの姉妹たちは、大断罪が起きる前に力を合わせて霊殿都市へ世界中の人々を半ば強制的に移動させ、生き延びさせたのでした。


 中でも過激派は自分たちが独自に造ったシェルター「聖域」に女を次々と連れて行きました。


 斜陽を止めるべく、チュリパンが破壊魔法を使おうとしたその時です。

 チュリパンは禁令正道魔法を切断されました。

「卑怯者がァアッ‼︎」

 チュリパンが叫びます。斜陽は笑い混じりに淡々と言いました。

「君って全然学習しないよね。ベンダーロックインとか言っても知らないでしょ。というか卑怯も何もないよ。私を攻撃させるのに自分の魔法を貸し続ける奴がいると思う? それはさておき使用感はどうだった?レビューなら星4・2くらいにはいくと思うんだけど。まあそういうわけで、今回はご試用いただきありがとうございました(笑)」


 姉たちは妹たちを連れて瞬間移動の魔法で穏健派の前に現れ、事情を説明し謝罪、ドーフ登録を回復しました。


 そして斜陽に対する特別対抗措置が講じられる運びとなったのです。


 本来魔女は仲間である魔女を攻撃できませんが、斜陽が与えた禁令正道魔法を使えば相手が魔女であっても殺すことができるのでした。

 その日の夕方、斜陽を止めにきた魔女たちが殺害され多くの死者が出ました。姉たちは斜陽を止めるべく、決戦に挑みましたが、斜陽はその全てをねじ伏せて、逆に封印し、姉たちの身体を魔導戦艦の中核ユニットにしました。


 そしてニュクストルは園から姿を消し、見ると死ぬ画像をネット上への拡散。世界中の人々を洗脳して殺し尽くし、架空の敵「魔女」をでっちあげるや、私設軍隊を結成し自作自演の戦争を始めたのでした。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る