3.5・銃口の先にあるもの

 十六世紀から十七世紀にかけて四度にわたり起きた一連の虐殺とその原因が集団妄想の一種と解されたり、童話で語られる内容があくまで空想であると皆が理解していたりするように、「魔女」は実在せず、いるのはそう見做された、「弱い立場」へと疎外された人々だけである。


 世界中の魔女の歴史について知ろうと人文科学の成果を調べた者は、それがすぐさまジェンダーやフェミニズムに関する領域──即ち、社会における性別にまつわる様々な議論──と密接に関わっていることに気付くだろう。

 それが意味するのは、社会からどのように疎外された者たちが見られているかという問題の、その極北が魔女として表徴されるということに他ならない。


            ジョン・ぺデルセン著・灰島悠二訳

             「交差性理論における魔女表象の位相を探る」より

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