登場人物の解説(編入生編)

◇スピカ・コン・トレイル

 本編主人公の女の子。年齢は18。身長は150cm強、緋色に近い赤髪で外はね。一人称は「あたし」。「くふふ」や「さすがの一言です!」など口癖をいくつかもっています(物語後半では発言が減ってますが……)。


 独特の笑い方に関しては後に登場する師匠ルーナの影響が大きいと思われます。田舎育ちの元気っ子で声が非常に大きく、周囲の空気を読むのが下手です。


 お母ちゃん、お父ちゃん、先生センセ(ルーナは「センセ」で別人)といった故郷の人間の言葉を思い出すシーンが何度か登場しますが、物語中盤にて彼らはすでにこの世にいないことが判明します。


 風の魔法を得意としていますが、それとは別に特異魔法「重力」を扱う非凡な才能をもっています。重力系統に関しては同系統を使う師匠のルーナに知らぬ間に叩き込まれていたようです。


 生まれ育った村をまものに滅ぼされた過去があり、対まもの戦では感情を表に出す訳でもなく、冷静・着実に仕留める――、といったある種の狂気じみた一面を見せます。


 魔法学校の教員や周囲の大人たちに対してもまったく遠慮がなく、逆に人から向けられる敵意には鈍いところもあるようです。


 同級生アルヘナの気付きから、重力魔法を意識的に使う訓練を始め、それによって飛躍的に魔法の才能を開花させていきます。

 本編舞台の魔法学校内でも最終的には学年2番手の成績を修めるまでにいたっています。


 物語終盤では魔法学校を退学。「魔法使い見習い」のまま、スガワラの設立したギルドの最初のメンバーになります。




◇アトリア・チャトラーレ

 本編もうひとりの主人公的な立ち位置の少女。年齢は18。身長は160cm弱、黒に近い藍色の髪でストレート。言葉を発する前に必ず「……」が入ります。音にする前に言葉を選ぶ癖があるようです。


 幼き日にならず者に捕まったところをシャネイラに助けられたことがあり、以来彼女と同じ「魔法剣士」を目指して日々精進している女の子です。


 編入試験はトップの成績を残しており、編入生のなかでも最も期待されている人物といえるかもしれません。


 学生寮でスピカと相部屋となったことから彼女との関係が始まっていきます。物語序盤ではスピカの考え方に共感しておらず、魔法の能力も認めていません。


 しかし、彼女の習慣化された圧倒的鍛錬の量、開花していく才能などから徐々に競い合う「ライバル」として認識を改めていきます。――と、同時にスピカと過ごす日常に楽しみを覚え、次第に心を開いていきます。


 偶然なのか、得意な魔法の系統はシャネイラと同じ「水・氷」。剣術の鍛錬の賜物で実戦的な立ち回りは同級生の間でも頭一つ抜けている模様。

 一方で、自身の能力に強い誇りをもっており、目標が高いがゆえに自分を追い込み過ぎる傾向があります。本編ではそれらの要素も相まって、魔力を一時的に増幅させるクスリを使ってしまいます。


 物語終盤では、親友と呼べる間柄となったスピカと激闘を繰り広げます。ここで、重力魔法に覚醒したスピカを見事破り、その実力を示して見せました。




◇ベラトリクス・ヌーエン

 スピカたちと同じ魔法学校の編入生。身長は170cm後半、逆立った黒髪の男の子。荒々しい性格で超実戦主義派。進学組との初対戦では、いきなり相手の顔面に蹴りを入れる暴挙をやってのけます。


 ただ、ルールをきちんと提示されればそれに従うところや、後に蹴りを入れたサイサリーへきちんと謝っていたりと誠実さも併せ持っているようです。


 得意な魔法の系統は雷。「知識」という面ではセントラルの平均を下回りますが、戦闘中の頭の回転はよく、機転の利いた戦い方をやってのけたりもします。


 タイプでは真逆ともいえる同級生のサイサリーと仲良くなっており、女性陣の活躍が目立つ学生の中で男性陣のトップ層が彼らとなっています。


 「顔面偏差値」という女性に嫌われる言葉(本人はまったく悪気無し)を堂々と使い、残念ながら「男性」という意味での評価は非常に低いようです。

 男女かかわらず気兼ねなく話せるタイプですが、ウェズンには若干の苦手意識をもっているようです。


 作中後半からはアトリアが口にした「ニワトリクス」と仲間内全員にから呼ばれるようになってしまいます。




◇アルヘナ・ネロス

 スピカたちと同じ魔法学校編入生の男の子。男性の平均からは大きく下回る身長で濃い紫色の髪。前髪が完全に目を隠してしまっています。


 魔法の研究を専門とする「研究員」の志望で、スピカたちとは同級生ですが、授業内容は大きく異なります。


 彼の家系「ネロス家」は、巨大な魔法ギルド「やどりき」で代々幹部を務めており、周囲からは「御曹司様」と言われています。彼の家柄の権威にあやかろうと近寄ってくる学生も多くいるようですが、アルヘナはそれを嫌って学内では単独行動が多いです。


 決して逃れられないと知りながらも「ネロス家の――」と言われることを彼自身は嫌っており、そういったところがまったくないスピカに心を開いたのもあります。


 魔法学校では「特異魔法」について研究しており、そこからスピカの潜在的才能に気付きます。これをきっかけにスピカの能力は飛躍的に上がっていきます。


 セントラル入学前は魔法使いを目指していた時期もありましたが、その能力は平均以下。自身の才能を見つめ直した結果「研究員」の道を歩んでいきます。これはネロス家が準備したレールと同じ進路であり、彼自身はそれに納得していないところがありました。

 それを解き放ったのはスピカの遠慮ない真っ直ぐな言葉であり、アルヘナにとってスピカは特別な存在となっています。




◇ポラリス・ワトソン

 スピカたちと同じ魔法学校の編入生。ブロンズの髪色、耳の横あたりでカールしています。ややぽっちゃりした体型でレンズの厚い真ん丸の眼鏡をかけています。語尾がやや伸びる傾向にあります。


 魔法の効果を「モノ」に付与する魔技師を目指しており、その専攻のためスピカとは異なる授業内容を受けています。


 スピカ、アトリアとは編入生仲間として友人関係にありました。一方で、剣士ギルド「サーペント」から報酬をもらい学内の情報を組織へ流していました。


 学校生活で偶然「ブレイヴ・ピラー」のギルドマスター、シャネイラと知り合ったことからサーペントの計画に利用されます。あくまでシャネイラとの出会い、彼女と言葉を交わすようになったのは「たまたま」であって、サーペントの思惑が後になります。


 ただ、結果だけ見るならシャネイラとの出会いがポラリスの運の尽きであり、襲撃計画に加担したために彼女は、シャネイラの無慈悲な斬撃によって命を落とします。


 魔法学校では「自主退学」の扱いになっていますが、果たして友人だったスピカやアトリアが真実を知る日は来るのでしょうか……?

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