第129話 最強ペア?
「どうする、ウルズールくん? 今の得点ならトップでなくても、3位以内には入れると思う。ただ……、さらに上を目指すならこれまでと同じ作戦だと厳しいだろうね?」
サイサリーは現状の順位と残っている組数を確認してから、人のいないところで相談をもちかけていた。ウルズールの能力は使い方次第で非常に強力なものとなる。――とはいえ、桁外れの魔力の使い手ウェズンと、シャウラとゼフィラの連携が整ったペア相手に正攻法では厳しいと思っていた。
「――僕はサイサリーさんのおかげでここまで生き残ってます。他の人とならすぐにやられてたと思うんです」
「オーバーだな? 僕はそれほどのことはしていないよ?」
「ただ……、せっかくならやられてもいいので上を目指してみたいです。もちろん、サイサリーさんが良ければですが」
彼の言葉を聞いて、サイサリーは口元を緩めた。
「それなら、ここは少し策を弄するとしようか? なにも真っ向勝負だけが戦いじゃない。僕に考えがあるんだ」
◇◇◇
ウェズンとスピカは最初に陣取った位置からほとんど動かず、各自に1つずつ支給されているポーションを飲んで休憩していた。
彼女たちペアの得点は30。3組の相手を討ち取っている。そして、その3組はウェズンを倒すために共闘してきた相手だった。
元々決めていたのか、成り行き上そうなったのかは定かではないが、3組の魔法使いペアが一斉にウェズンとスピカのペアに襲い掛かってきたのだ。おそらくは、ウェズンを倒すまでの同盟を結んだのだろう。
ただ、元々ペア同士の連携すらが急ごしらえで安定していない相手が3組揃ったところでウェズンの敵ではなかった。
魔法が「下級限定」となっている以上、結界の強さはほぼ一定のレベルで事足りる。細かい調整が不要となれば、複数同時展開もウェズンは容易にやってのける。
6人掛かりで襲ってこようとも、複数で戦うことに慣れていない相手は互いに射線を被らせたり、魔法を打ち消し合ったりで、残念ながら6倍の戦力にはなれなかった。
それでも数の力で押し切ろうと攻撃をする者たちは、頭の中からスピカの存在がすっかり抜け落ちていた。ウェズンのように攻撃と守りの併用ができなければ、彼女への集中砲火の瞬間がまさに、好機なのだ。
そして、それを逃すほどスピカは、能力も心も決して甘くはない。特にここ最近になってめきめきと力を付けた彼女は、超速の呪文詠唱と正確な狙いをいとも簡単にやってのけた。
3組が共闘しても相手にならなかった。この事実は、森から退場していく彼らの姿から噂として広がり、その結果、ウェズンとスピカペアに近寄る者はいなくなってしまった。
――とはいえ、6人の同時攻撃を結界で防ぎ切ったウェズンもそれなりに消耗しており、周囲を見張りつつもポーションを取りながらゆっくり休憩をするのだった。
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