第84話 初日の締めくくり
まもの2体の討伐を確認してもらったあたしたちは宿の1番高い部屋に泊めてもらえました!
あたしとゼフィラで1部屋、ベラトリクスとサイサリーで1部屋です。夕食も豪華なものを準備してもらって至れり尽くせりです!
町長さんからは何度もお礼と労いの言葉をもらいました。王国へ要請していた討伐依頼も取り消すそうです。
「一時はどうなるかと思ったけど、回りまわっていい結果になった感じだね?」
「おうよ! この調子なら明日の山登りも楽勝だな!」
「すっかり立ち直ったみたいだな? ベラトリクスはもうちょっと反省しててもよかったんだぜ?」
「みんな無事にいいお部屋に泊めてもらえて豪華な夕食です! 遠征初日は大成功ですね!」
4人集まって宿屋の食堂でたくさんのお料理をいただいています。学校から支給されたお金とアイテムを失うトラブルもありましたが、麓の町で一泊するところは予定通りです。
「明日はここで朝食をとったら山へ直行だね。陽がおちる前には下山したいから余裕をもって行動しよう」
「スピカスピカ、山登り負けないからな!」
「あたしだって負けませんよ、ゼフィラ!」
「お前らあんまり飛ばして登るなよ? 急がなくても十分時間はあるはずなんだからよ?」
「わかってます!」
「わかってるって!」
「サイサリー? こいつら本当に大丈夫かよ?」
「さぁてね? せいぜい僕らは置いていかれないようにしないとね」
お食事をもりもり食べた後は眠くなります。慣れない遠出もあって、お部屋に入ると猛烈な眠気が襲ってきました。この宿屋さんの中で一番のお部屋とあって、専用のお風呂が備え付けてありました。
あたしとゼフィラは交代で汗を流して、ベッドに飛び込むと身体が溶けていきそうでした。
真っ暗な視界の中、あと数妙で夢の世界へ
「スピカスピカ? 話したくなかったらいいんだけどさ、以前にまもの相手になんかあったのか?」
「はっ?」
「今日のまもの討伐のときのスピカ……、おっかないって言うか、いつものスピカと違う感じだったからさ?」
静寂に包まれた闇の中、窓の向こうからは心地よい虫の鳴き声が響いてきます。ゼフィラの声はひっそりとした……、内緒話をするかのような声でした。
「驚かせてしまってすみません。まものは――、あたしの『敵』なんです。ただ、それだけです」
あたしの返事にゼフィラはなにも言いませんでした。暗い部屋の中には相変わらず、虫の音色だけが流れています。
「そっか……、変なこと聞いて悪かったな。明日もよろしくな、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
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