第67話 遠征
魔法使い、魔技師、魔法研究員……、志望する進路によってあたしたちが受ける授業には違いがあります。前期まで講義系はすべて共通になっていますが、実技は別々なのです。
近々、あたしたち魔法使い志望の学生は、「遠征」と呼ばれる授業があります。4人1組のパーティをつくり、予め課題として出されているアイテムを入手してくるのです。
ポラリスさんの話では、あたしたちが遠征で手に入れるアイテムを魔技師専攻の実技授業で使うようです。これは責任重大ですね!
「遠征」はパーティを決めた後、一定の予算と各パーティごとに指定のアイテムが割り振られます。期間は3日も設けてあり、お泊りも許されています。みんなで冒険に出かけるみたいでとても楽しみです。
「スピカスピカ? 遠征オレと一緒のパーティ組もうぜ? お前が一緒なら絶対楽しいと思うんだよな?」
「はい、ゼフィラさん! こちらこそよろしくです! アトリアさんも一緒に行きましょう!」
「……えぇ。自由に組めるのなら、ね? まだ遠征については詳しい説明聞いてないから」
たしかに、言われてみれば遠征については、次回のアフォガード先生の授業で詳しく説明される予定になっています。パーティが学生で勝手に決めていいかはまだわからないのです、うむむ……。
◇◇◇
数日後、遠征についての説明がありました。
「こほん……、各パーティごとに別々の素材――、アイテムを調達して本校へ納めてもらう授業だ。期間は3日、帰りが早ければ評価されるものではない。準備を怠らず、定められた時間をしっかり使って目標の達成を目指してほしい」
アフォガード先生の説明だと、実際にギルドに所属した後の依頼を想定した授業のようです。仲間との連携や役割分担、お金や時間の使い方など、学ぶことがとても多そうです。
「各パーティのリーダーを務める者のみ予めこちらで選定している。これは成績などではなく、無作為に選んだものゆえ評価には関係しない」
そう言って先生は、パーティリーダーになる人の名前を順番に呼んでいきました。
「――アトリア・チャトラーレ」
数名の名前が呼ばれた後、アトリアさんの名前が呼ばれました! 成績は関係ないと言っていましたが、アトリアさんだと選ばれるべくして選ばれた感がありますね!
「――最後にスピカ・コン・トレイル、以上」
「はっ?」
「『は?』ではない。君もパーティリーダーだ。期待しているぞ?」
なんと、あたしもなぜかリーダーに選ばれてしまいました。成績は関係ないと前置きがありましたから当然可能性はあるわけですが、びっくりです。
「リーダーは固定、残り3名をどのように組むかは諸君たちに任せる。4人揃ったら所定の用紙に名前を記載して、リーダーが私の元へ提出するように」
残りの人たちは自由! 好きな人と一緒に遠征にいけるわけですね! ただ、あたしもアトリアさんもリーダーに選ばれたということは、アトリアさんと組むのはできなくなったわけです。うむむ……、うむむむ。
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