第214話 仮装大会
ヤングファントム仮装大会の日。
ファントム仮面を被った人達が集まった。
マントを着けた人や、変身ベルトや、プロテクターを着けた人もいる。
女性の姿も見えた。
いや別に良いんだけど。
仮装大会の司会は
「では、本物のヤングファントムさんから一言」
「みんな楽しんでるか。ヤングファントムは正義の使者。危なくない程度で正義を行おう。身近な親切でも良い。キャットトリック」
両手を打ち合わせると、轟音を響いて、突風が吹いた。
【あれってどういう手品?】
【CGだよ。観客も全てCG】
【素直に凄いと感心しようぜ。でないとつまらん】
「本物だ!」
偽物だと思ってたのかよ。
まあ、仮装大会には普通出ないからな。
【いや偽物も本物もない。本物はスタントマン】
【ヤングファントムは100人の影武者がいる】
【中学にいる奴はケットシーだったよな】
舞台の上で色々なファントム技を披露する人達。
【仮装大会って結構面白いな】
【ファイナルサークルをやる時に、手品用の燃える紙をセットしておくのは面白い】
【炎の演出はいいな】
【石の舞台でないと出来ないけどな】
【確かに。部屋でやったら火事になる】
「ここで、ヤングファントムさんから新技の発表です」
よし、やるぞ。
「フットボルケーノ」
俺は石舞台をおもっいきり足で踏みつけた。
足から炎が上がって、地面が揺れた。
炎は火魔法を使ったただの演出だ。
石舞台は粉々に割れている。
無意味な技だ。
殴ったり蹴ったりした方が手っ取り早いのは言わない約束。
「恰好良い!」
【いやただの震脚】
【石舞台が粉々になるのはちょっと良い】
【CGだから】
【薄い石板ならこの技は可能だな。炎も踏んだら上がるようにできるだろう】
【真似されることを前提に考えた技だな】
【薄い石板もどきなら簡単に作れる。ベニヤに接着剤を塗って砂をまぶすだけ】
「ヤングファントムさんに拍手を」
拍手が巻き起こった。
「火を使う時は火事にならないように気を付けるんだぞ」
そう言って俺は石舞台から降りた。
適当に選んだ演者を表彰して、仮装大会は終わった。
帰って行く観客の中にあの占い師に似た人物を見つけた。
俺が合図するとケットシーとコボルトの何人かが後をつけ始めた。
「低血圧事件の犯人を見つけた。仮装大会はこのために行ったのだ」
実際は面白いからやっただけだけどな。
【事件が動くのか】
【長く放っておき過ぎ】
【今北産業、一行で説明して】
「事件はビラ配りから始まった。とある遊園地で占いの館のアトラクションがあり。そこに行った俺のクラスの生徒が原因不明の体調不良を起こした。犯人と思われる占い師を追っている」
【説明乙】
【もっと早い展開にならないのかな】
【もうすっかり忘れてたよ】
「実際に起こっている事件に展開の早さを求められても」
【そういう設定なんだ】
【俺は信じるよ】
【思わせぶりってのも良いもんだ。手法としてはありだな】
スマホがメール着信のメロディを奏でる。
どうやら、ケットシーとコボルトは撒かれたようだ、
「今回は尻尾を掴めなかった。だが必ず尻尾を掴んでみせる」
【また、次回に持ち越しね】
【上手い商法だ】
【続きが気にならないけど、なんか見てしまうんだよな】
【討伐動画をやってよ】
「よし、どういう配信が良いか聞くぞ」
【エッチな奴】
【笑えるの】
【討伐動画は鉄板だな】
【救助動画は良かったよ】
【ケットシーの幼児と戯れる動画】
「分かった考えておこう。よしエッチなの行くぞ」
俺は腕を曲げて肘の裏にしわでスジを作った。
「あそこ」
【おお、モザイク要らないな】
【うん、あそこに見えるけど、小学生レベルだな】
【つまらん】
仮装大会に来てた、ケットシーの幼児を集めた。
「鬼ごっこしよう」
ケットシーの幼児と鬼ごっこが始まった。
【うっぷ。酔いそう】
【ケットシーの幼児のなんてパワフルなことよ】
【画面揺れすぎ】
【もっと心温まるような動画は撮れないのか】
【ケットシーの幼児の寝顔とか、そういうのが良いんだよ】
こいつらの希望など叶えてやらん。
良い運動になった。
【おままごととか、そういうのにしてくれ】
【ネズミとか虫とか捕まえてきそう】
【猫あるあるだな。ケットシーは違うだろ】
「どうなんだ? ネズミとか虫とか捕まえるのか?」
ケットシーをひとり捕まえて聞いた。
「子供の遊びですにゃ」
【捕まえるらしい】
【可愛いだけじゃないのよ】
【そうだな】
ケットシーの生態が少し分かって終わった。
でも、人間の子供も虫とか捕まえるだろう。
まあネズミは速いから無理だけど。
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