第196話 ヤングファントムはいずこ?
次の日、午前中、遅刻したのは数人。
日常が戻ったな。
【あの事件はなんだったのか】
【予兆だよ】
【これで次の日もとなったら流石に警察が動く。シナリオでもそうなると思う】
【予兆であることを祈る】
授業は退屈だった。
さあ、冒険部だ。
「お前、ヤングファントムの素性を調べろ」
「へっ?」
「
そういう設定になっている。
「まあそうだけど。ヤングファントムの何を調べるの?」
【うん、こいつら何がしたいんだ。ヤングファントムを呼びだしたらボコボコにされるのがおちだろう】
【敵対関係だったっけ】
【どっちかというと恩人だな。お礼でも言いたんじゃない】
【どうでも良い事だけど】
「中学生なんだよな。どこの中学か分かるか?」
【えっと、ヤングファントムは底辺おっさんだから、ここに決まっている】
【底辺おっさんだとばらすのはエピローグ近くだろう】
【さあ困った、おっさんどうするか?】
【誤魔化す一択だな】
「調べてみる」
「やってくれるのか」
「おう」
【さあどうするか】
【シナリオなんだからどんな手も使えるだろう】
【だよな】
俺は部室を出ると
「
「ええ、
「そこへヤングファントムとしてケットシーを送り込めないか」
「名前はヤングファントムで入学させるの。まあできると思う。追加で1億ぐらい寄付すればね。私立だから無理も利くわ」
【影武者を金の力で入学させるのか】
【底辺おっさんらしいな】
【ケットシーじゃ人間に見えないだろう】
ケットシーをひとり校門へ呼び出した。
「頼んだぞ」
「にゃ」
「語尾は普通な」
「にゃ」
「まあいい」
【おう、人間に見える】
【どういうこと】
「幻影魔法スキルだ」
【もうなんでもありだな】
【さあ、呼び出してボコボコにされるのか。お礼するのか】
部室に戻った。
「ヤングファントムは
「よし」
冒険部の4人がガッツポーズを取る。
何が嬉しいのか。
そんなにお礼が言いたいのか。
「帰って良いぞ」
これから面白くなるのに。
そして4人でゲームセンターに行った。
そしてその後はカラオケと遊びまくった。
ケットシーのヤングファントムは登校してないから、事件が起こるのなら明日か。
次の日、昼休みにケットシーから報告を受けた。
クラスの生徒の半数が欠席らしい。
そして午後には全員揃ったと。
【あー、情報がこれだけ入れば何なのか分かる】
【何なの】
【底辺おっさんの情報を集めたい勢力がなんかした。いまそいつらの興味はヤングファントムだ】
【なる】
【でもさ、このチャンネル見てたら、ネタバレで全てが分かるよな】
【それな。設定の穴という奴だ】
なんか分からないが、俺もそう思う。
こういう時は、
「てなわけなんだが」
俺は隣の席の
「このチャンネルを見ている人の個人情報は全て把握しているの」
【何だって】
【慌てるな。そういう設定だよ】
【そういう話なら分かる。闇の勢力みたいなものがいて、尻尾をつかまれまいとしているのか】
【闇の勢力って中二だな】
【とってつけたような設定だな。でも納得】
あー、敵も
えっと字が違う。
こまけぇこたぁ良いんだよ。
「よし、闇の勢力狩りだ」
【おう、話が盛り上がってきたな】
【蝉の勢力との戦いか】
【あっ、蝉じゃなくて闇な】
【蝉もそんなに変わりないだろう。底辺おっさんにしたらさ】
【ぶっ叩くか、金でぶっ叩いて終わりだからな】
「でどこから手を付ける?」
【聞くのかよ】
【午前中休んだ生徒の件だろう】
「やっぱそこか」
【底辺おっさんじゃ推理物の探偵役は無理。ヤエちゃんを探偵役として召喚しろ】
【それが無難だな】
【シナリオは底辺おっさんがここから手直しするのかな】
「分かった
【それならへっぽこでも何とかなる】
【物語が動いたな】
「うん、名探偵
【超能力物だと思ったんだがな。探偵物か】
【底辺おっさんシナリオだぞ。たぶんトリックもくそもない】
【そこら辺はヤエちゃんが監修するかも】
「
「とにかく普通に過ごすのよ。そしてどんな些細な事でも報告」
【普通だな。この探偵は大丈夫か?】
【そこはおちを付けるのだろう】
「はい、
うーん、あれっ、何かおかしい。
えっと何だったっけ。
思い出せない。
俺はこの数日のやったことを包み隠さず、
「良い情報だわ。全ては繋がった。扇のようにね。その扇が畳まれ、一点を指し示す。今日はここまで」
【決め台詞、恰好良い】
【底辺おっさんより役者に向いてる】
【ヤエちゃんがシナリオを書くべき】
あとでネタばらしをしてくれるのかな。
期待して待っていよう。
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