第195話 集団遅刻
中学校で、欠席が多い。
特に女生徒だ。
「風邪が流行ったのか。インフルエンザかな。新型コロナかも知れない」
【ありがち】
【別の原因だろう。でないとドラマとは言えない】
【事件の始まりか】
【集団感染なんて珍しくないんだよ】
半数近くいないのだから、学級閉鎖しても良いだろうに。
ところが昼頃になって、ポツポツと出席が増えて行き。
午後の授業には全員が揃った。
【みんな出てきているじゃん】
【どいうこと?】
【治ったってこと?】
【この謎を解くのがこれからの筋書きだな】
遅れたのは寝坊らしい。
クラスの半分が寝坊?
いや、俺は馬鹿だけど異常事態だと判る。
【昨日、徹夜するようなイベントあった?】
【知る限りではない】
【検索でも引っ掛からない】
【きっと配信でドラマとか見たんだよ。このクラスだけに大流行に違いない】
【底辺おっさんは分かってない。クラスの流行から取り残されているな】
【ヤエちゃんに聞けよ】
「
俺は隣の席の
「朝怠くて起きられなかったらしいよ。風邪だと思ったけど時間が経つにつれて良くなったみたい」
【低血圧か】
【ウイルスが低血圧起こすなんて聞いたことがない】
【そういう病気はあるかもな。知らんけど】
「底辺おっさんの捜査が始まるのであった」
【首を突っ込むのか】
【医学知識はあるのか】
【そんな物あるわけない。底辺おっさんだぞ】
【だが金持ちである】
【くっ、札束で叩かれたら医者も捜査に協力するだろうな】
「まずは聞き込みだな」
【捜査の基本な】
【どんな証言が飛びだすか】
【期待してる】
「怠くて起きられなくって医者には行ったか?」
「おう、言ったよ。熱はないし、コロナもインフルも陰性だった。医者のいうことには過労だろうと」
「心当たりは?」
「ないよ。徹夜したわけでもない。いつもと同じ時間に寝た」
【集団過労事件か。底辺おっさんが何か吸い取った?】
【おう、若さを吸い取れるのならそういうのも吸い取れるだろう】
【あれはフィクションじゃないのか。若返りを信じてるとしたらおめでたい】
「生命力吸収スキルなんて使ってないぞ。無罪だ」
【犯人はみなそう言う】
【犯人は底辺おっさん】
【捜査する側の奴が犯人なんてなんというか】
【昔、ゲームでそういうのがあった】
「そのゲームは俺もやったことがある。でも俺は今回の事件のことは知らない」
【今調べて知っているだろう。はい、嘘発覚】
【論破されてて草】
【真面目に考えようぜ。病気じゃないならスキルだろう】
【まあ、そうだな。ドレイン系スキルだろうな】
聞き込みしたが、変わったことはしてないとみなが言う。
「うーん、難事件だ。病気、スキル、いま出た可能性はこんなところだな」
【俺達が言ったことじゃないか】
【底辺おっさんに頭脳を求めてもな。掛け算間違えるレベルだぞ】
【俺達がナビしてやろう】
授業が終わり、冒険部に行くと誰もいなかった。
全員が病欠らしい。
きっと午前中は怠くて起きれなくって、午後はさぼりだな。
「具合はどう?」
「
「それが何か?」
「もういい! 体調ならすっかり良くなった」
なんか
変な事を言ったか?
「昨日、何か特別なことをした?」
「昨日な、あれか。ああ、駄目だ。言えない」
「秘密なのか」
「用がそれだけなら切るぞ」
「じゃあ、お大事に」
【おお、一歩進展】
【秘密か】
【だが不良だぞ。今回と別件で悪い事しているかも知れない】
【それな】
うーん、秘密か。
俺に話してくれたりはしないな。
どうやって聞き出そうかな。
まあ追々でいいか。
コボルトとケットシーにはそういう症状の者はいなかった。
病気だとしたら、種族が違うからな。
スキルならターゲットから外されたってことか。
考えたら、脳が酸欠になりそうだ。
今日は頭を使い過ぎた。
ダンジョンでアイアンスライムを叩きまくる。
ふぅスッキリ。
【スライムが可哀想】
【久しぶりだな。このダンジョン】
【底辺おっさんが所有してて、富の源か】
【一般人は入れないんだったな】
【CGかも知れないだろ】
【きっと実際の映像はコボルトとケットシーが洞窟で内職してるんだぜ】
「さあ、みんなバンバン推理を聞かせろ」
【俺はスキルに1票。ただ秘密というのが分からない】
【明日になれば症状がどうなのかで、また分かることがあるんじゃね】
【これっきりで終わったら、シナリオ的に糞だな】
【流石にそんなことはないだろう】
【ヤエちゃんが怠くて起きられなくて底辺おっさんが……
【消されたな。エロワードを書き込んだのだろう】
「俺の推理と大差ないじゃないか」
【情報が少なすぎるんだよ】
【他の中学生はどうなんだ】
【ググれ】
【他では被害はないみたい】
【ドラマだから】
【フィクションだと証明されたな。事件になってないとおかしい】
実写なんだが。
口留めされたのでしょうと
「事件の続報を乞うご期待」
【そういう落ちね】
【明日に期待か】
【気になるぞ】
俺もどういう展開になるか分からない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます