第193話 9級
「Fラン9級になろうぜ。ランクアップするんだ」
「それはいいな」
「俺達は10級なんてチンケな枠には収まらない」
「やったるぜ」
【ゴブリン冒険者が何を言っているんだか】
【ドラマだよ。マジになるなよ】
【ええとランクアップできないって展開かな】
【誰か一人死んだりして】
【俺達は仲間の死を胸に頑張るんだってか】
【スポ根物じゃないんだし】
「俺は9級持っているよ」
「何だって。見せろよ」
冒険者カードを見せる。
「弱いくせに。どうやったんだ?」
「金の力」
【金の力は草】
【前の動画ではそうなっている】
【懐かしいな。怪しい男に勧められたんだったっけ】
【うん、3万円】
【安いな】
【ゴブリンがゴブリンソルジャーになるだけだから】
「おい、俺達もランクアップさせろ。金が無いから貸してくれるよな」
「よせ」
「
「いや金をカツアゲして先コウにチクられたらやばい」
「今まで気にしたことがなかったのに。何でだ?」
【リーダーはそこはかとなく底辺おっさんの正体に気づいているという設定かな】
【何で誰もこの動画を見てないんだ】
【18禁だから】
【残虐性で大抵の討伐動画は18禁】
【そんなのかいくぐれよ】
【今の身分証明は無理】
【ミーナンバー聞かれて、顔認証だからな】
【その代わりタスチューブでエロい動画も見られる】
【モザイクは掛かっているがな】
【たまにモザイクなしの勇者がいる。すぐにバンされて消える】
「ええと、その。そうだあれだ。ヤングファントムが見張っている気がするんだ」
「ああ、悪は許さないだったな。
「いないはずの所に現れるからな。ボス戦でもそうだった」
「そんな奴にビビるのかよ」
【底辺おっさんと不良とのバトル希望】
【金の力には敵わないだろう】
【ドラマなんだがな】
【ドラマならバトルも出来るはずだ】
【デスゲームとか始まったらまた来る】
【展開が面白くないんだよ】
「俺達の苦戦した相手を一撃だぞ」
「金なんだけど小父さんの部下に聞いてみる」
【おー、誰が来るんだ】
【ヤクザみたいな奴かな】
【前にチンピラを部下にしてたよな】
【ああ悪徳業者もいたな】
【そういう人が来るのか】
俺はキナコとモチに電話した。
しばらくして、サングラスをしたキナコとモチが現れた。
【キナコとモチじゃねぇか!】
【やり直しだよ。配役間違っている】
「坊ちゃん、御用ですかに゛ゃ」
【だみ声のモチが可愛い】
【迫力出そうとしているな。大根だが】
「金が要る」
俺は指を3本立てた。
「3億ですかに゛ゃ」
「3億ぅ!」
「おい、これっ!」
「こんなの非常識だろ!」
「吹かしてるな!」
【3億みてみたい】
【ドラマだろ。どうせ偽札】
【偽札は捕まるぞ】
【表だけ本物で中身は白紙だろ】
「3万だ。4人だと16万」
【おっさん12万だよ】
【掛け算も出来ないのか】
【ボケを入れたんだよ。面白くないが】
「何に使うか聞いてもいいですかに゛ゃ」
「ランクアップしたいから、貸してほしいんだって」
【不良はどうするかな?】
【面白い展開にはなりそうにない】
「ではキナコにまかせるに゛ゃ」
「借用書を書かせてもらいますわん」
「そんなの書くわけないだろう」
「なにかですわん」
キナコが500円玉を取り出すと指で折り曲げた。
「何でもないです」
【不良じゃ仕方ないよな。コボルトとケットシーじゃ身体能力が素で違う】
【あっ、利息が十一だ】
【違法じゃないか】
【よく見ろよ。利息の払いは百日でテンサウザント・イェン札板チョコ3枚って書いてあるだろ】
【テンサウザント・イェン札板チョコは草】
「利息は厳正に取り立てるに゛ゃ」
「キナコ、モチ、ご苦労様」
【つまらんドラマだ】
【ギャグなのか。シリアスなのか】
【不良たちもリアクションに困っているな】
【困っている演技は流石だな】
「
「小父さんがね」
「何で利息がチョコなんだよ」
【ナイス突っ込み】
【タイミング的に遅いがな】
「俺達は子供だろ。賭け事だってお菓子でやるもんだ」
「うんまあそうかもな」
【納得するんかい】
【グダグダなのはしょうがない。底辺おっさん脚本だからな】
【キナコとモチがチョコの取り立てにくるのかな】
【ちょっと面白い】
【コボルトとケットシーはチョコ食えるのか】
【食えるんじゃね】
みんな9級になれた。
俺達の活躍はここからだ。
終わりじゃないよ。
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