第190話 悪魔
Side:
最近、転校してきた
いつもにたにたと笑っている。
まるで悪魔が小悪党を目にしている態度みたいだ。
奴の背後にヤングファントムって奴がいるのかと必死に検索を掛けてみたが、検索には掛からない。
ファントム動画などが引っ掛かるだけ。
まるで見えない敵と戦っているようだ。
気のせいか。
俺がおかしくなっているのか。
道であった人が奴と同じにたにたした笑いで俺を見て来た時があった。
まさか奴は宇宙人で仲間がいるんじゃないだろうな。
くそっ、仲間に相談するか。
「どう思う?」
「ただのパシリだと思うぜ。運が良くてオークから逃げられただけだ」
「組織なんて物があったら、今頃は反撃してくるさ」
「そうそう、バックに怖い奴がいたら気が大きくなるからさ」
「うーん、もうあいつと関わるの辞めようかな」
「ちーす」
「お、おう」
こいつ呼ばれてもないのに来るか。
虐められているという自覚がないのか。
馬鹿なのか。
学校の成績は最低辺だけど。
普通、自分から来ないだろう。
「今日はどこのダンジョンに行くの。楽しみだなぁ」
こいつ、オークで死にそうな目に遭ったのになんでだ。
神経がないとしか思えない。
モンスターが化けているんじゃないかとさえ思う。
「今日はなしだ。
試してみた。
こいつが宇宙人とかモンスターなら何かしら反応を示すだろう。
さてどう答えるか。
「えー、怠いよ。やめようよ」
「うるさいやれ!」
渋々だがやはりニタニタしながら走り出す
学校を一周した所でわざとらしく息をはぁはぁさせて、地面に大の字に寝転がった。
だが、やはりニタニタ顔は変わらない。
指摘したいが、言うとばれたのか、ばれたのならもうお前らは死んでもらうとか言い出しそうだ。
わざとらしいはぁはぁもすぐにやめている。
「辞めて良いぞ」
俺がそう言うとすくっと立ち上がった。
ぜんぜん疲れてない。
「もう冒険部には来なくていいぞ」
「ええ、追放。世の中には追放ざまぁって言うのがあるんだよ」
追放ざまぁは聞き慣れない単語だ。
嫌な予感がしたので。
「分かった。来て良いよ」
部室に帰るとスマホで追放ざまぁを調べる。
ぞっとした。
追放した奴をされた奴がボコボコにするジャンルじゃないか。
「リーダー、あそこから面白いのに。できなかったら罰ゲームとかさせないと。全裸の動画とか撮ろうよ」
「ケツに花火とか受けるぞ」
「何、顔を隠せばばれないって。今の編集ソフトは使えるぜ」
こいつら何も分かってない。
だが、
あいつはアルバイトが忙しいそうで部活はちょくちょく休む。
「この間、奴を殺すようなことをしたろう。あれがばれると不味い。しばらく大人しくしておこう」
「そうだな。先こうにチクられると厄介だ」
「ゲーセン行こうぜ」
「良いね」
ゲームセンターで遊ぶが気が晴れない。
頭は
「ちーす」
幻かと思った。
頭がおかしくなったのかと。
「お、お前」
「仲間外れは酷いな。誘ってよ」
こいつ、ざまぁ物じゃなくて学園サイコサスペンスだ。
分かった。
少なくても精神はそうだと思う。
目的は何か。
苛めっ子の家庭を崩壊させることか。
苛めっ子を自殺に追い込むゲームとか。
くそっ、関わりたくないが、追放ざまぁの文字が頭に浮かぶ。
沼に嵌った気分だ。
あれだけ成績が良いなんてどこか歪んでいるに違いない。
気をつけないと。
もう手遅れかも知れないが。
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