第188話 冒険部
連れて行かれたのは冒険部という表札のある部室。
冒険部かぁ。
部室には灰皿がありタバコの吸い殻が山となってた。
缶ビールの空き缶も転がっている。
【不良のたまり場だな】
【ここ中学っていう設定だよな】
【ここまで酷いのもなかなかみない】
【生活指導の先生は何をしてる】
苛めっ子達がプロテクターを着け始めた。
「何、ぼさっとしている。タバコの吸い殻と空き缶をお前の鞄に入れろ。ダンジョンに捨てれば分からないだろ」
【いや、ヤニ臭いから部室にくれば一発だろ】
【細かい突っ込みはなしだ】
俺は言われた通りに吸い殻と空き缶を収納鞄に入れた。
「えっと、名前を教えてくれる」
「自己紹介しろってのか」
「モンスターの攻撃で警告したい時もあるから」
「何か手慣れているな」
「そんなことないよ」
「自分で調べろと言いたいが、名前知らないと確かに危険だな。俺は
大剣装備のリーダー格は
「俺か。俺は
メイスを装備した奴は
「俺は
滑車の付いた弓を持っているのは
「俺は
鞭をぴしぴし鳴らして答えた奴は
「あとは今はいないが
なるほど。
5人パーティね。
【登場人物把握】
【いい加減、面白映像見せろよ】
【中学生の冒険部なんてゴブリン討伐だろう】
【そこはCGなんだから、いきなりドラゴンとか】
「行くぞ」
そして連れて行かれたのはFランクダンジョン。
【やっぱりFランクね】
【中学生でCランクとかは無理がある】
【一人だけ血まみれの鉄パイプがなんかシュール】
【裏ボス感があるよな】
「何で、荷物持ちが先頭切っているんだよ。お前チワワも怖いんじゃなかったのか」
「ふひひ、鉄パイプを握るとたぎってきませんか。こうメラメラと」
【どこの撲殺魔だ】
【不良も真っ青】
【おっさんの、演技が大根だな。不気味な笑いが棒読みで、ちょっと不気味感がない】
「お前、ひょっとして小動物とか殴ってないよな」
「ないない」
【モンスターはしこたま殴っているけどな】
【いやあれはCGだろう】
【CGだって信じている奴はネタを楽しめない可哀想な奴】
【そうそう、ネタだと思って、思いっきり楽しまないと】
【CGはNGな】
「CGはNG、了解」
「お前、誰と喋っているんだ」
「ええと見えないお友達と」
【見えないお友達は草】
【不気味な奴設定で行くのか】
ゴブリンが現れた。
「お前、やってみろ」
俺わざとはヘロヘロに鉄パイプを振ってふらついた。
「ぐぎゃぎゃ」
ゴブリンが大笑い。
俺をタコ殴りにした。
ぜんぜん痛くない。
【つまらん】
【何かギャグでも言えよ】
【不気味な奴設定はつまらん】
「痛い、痛い、やめて、助けて」
「よし、救助代10万円な」
「早く助けて」
「払うと言ったらな」
【うーん、金を掛けている割にはつまらん】
【C
【はい消えた。本当にあれをNGにしたんだな】
【おお、配信のチャンネルの説明にもNGワードって書いてある】
どうしよう。
と思ったらゴブリンが手を痛めて飛び退いた。
【本当につまらん】
【ここはヘボいふりして、ゴブリンのケツ穴に鉄パイプでも突っ込めよ】
【それはドン引き】
「酷い目にあった」
俺は立ち上がり、服の土埃を叩いた。
「ちっ、ゴブリンは根性ねぇな。もう少しで10万だったのに。良いかこうやるんだよ」
「ほら、ぼやぼやするな。魔石を採るんだよ」
俺はナイフを使って魔石を採った。
ゴブリンを討伐しながら進むと、明らかにゴブリンではないシルエットが現れた。
何だただのオークじゃないか。
それは俺に絡みついた。
こんなのが売っているんだな。
「逃げるぞ」
「ええ、オーク如きに逃げるのかよ」
【拘束ボールを投げて撤退は殺しに掛かっている】
【ダンジョンだから証拠が残らない】
【中学生で殺人かよ】
俺は全身に力を入れる。
絡みついた拘束ボールは千切れ飛んだ。
幻影の俺を出してと、カメラを地面に置く。
仮面を被りヤングファントムになる。
アダマンバールでオークを一撃。
ザコだな。
再びカメラを装着。
ヤングファントムは消えた。
【ファントム?】
【引退したんじゃ】
【背丈が縮んでたな】
「ヤングファントム助けてくれてありがとう」
【うーん、ヤングファントムは底辺おっさんのはずでは】
【あれだからシーの付く奴ね】
【うんまあね】
【今後はヤングファントムの謎を追うのかな】
【底辺おっさんなのに】
筋書きなんか考えてない。
行き当たりばったりだ。
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