第171話 檻のカラクリ
ラブリーネスト、第9層。
確保隊は毒持ちのひよこ、ポイズンベビーチックがいるので手を出せない。
この階層のパラサイトウルフも毒まみれだからな。
「ポイズンベビーチックもパラサイトウルフと同種にゃ。可愛さに手を出すとやられるにゃ」
こういう存在は許せん。
だが、確保隊をこれより下の階層に進ませないためにも討伐は最小限にするか。
寄って来た、ポイズンベビーチックとパラサイトウルフだけを撃ち殺す。
【なんてことを。ひよこさん逃げて】
【ひよこな、猛毒らしいぞ】
【ソースは?】
【確保隊に注意書きが載ってた】
【俺も見た。毒持ちなんだってな】
「寄って来る奴は容赦しない」
【触れられたらアウトらしいな】
【防護服でも着てないと、危ないってこと】
【だな】
【この討伐は仕方ないな】
【仕方ないなんてことはありません。ラブリードッグだけを隔離して、洗えば良いのです】
【お前がやれ】
ボス部屋の扉はすぐに見つかった。
草原みたいなフィールドだからな。
生えていた草は毒草みたいだな。
薬になるかも知れないから採取しておく。
ボス部屋に入ると、紫のでかいパラサイトウルフがいる。
ハフハフ言っている口から見える舌も紫だ。
毒持ちだな。
全身毒でも驚かない。
マシンボウガンの連射で沈黙。
【ああ、貴重な個体が】
【どう見ても毒持ちだろう】
【それは偏見です。チャウチャウも舌は紫ですが、毒はありません】
【ボスはしょうがない】
死骸は放置しようかと思ったが、こんなのでも役に立つかと思ってアイテム鞄に入れる。
10階層をちょっと見てみるか。
一面の毛布。
えっ、触ってみると、手触りは毛布で、葉っぱだった。
【毛布と戯れるいっぬ。最高】
【パラサイトウルフな】
【ラブリードッグと言え】
【ラブリードッグって大きくなっても子犬体型なんだよな。品種改良して小さい種類が出来たら、もう堪らんとなるな】
【永遠の子犬か。夢の生物だ】
この植物は金になりそうだな。
根っこごと採取する。
種苗登録の費用が嵩むが、無駄遣いでも別に良い。
種苗登録だが、色々な項目がある。
どんな害虫が付くかとか、とにかく育ててみないと分からん。
特殊な環境でないと育たないから、金のない奴には無理だな。
確保隊も、種苗登録はやってないらしい。
普通の野菜でも大変なのに、ダンジョン植物ではな。
どういう系統の植物なのか書く欄があるが、ダンジョン植物はどう書くのよ。
人に任せているから良いが、新しい品種だと説明するのは大変だ。
ダンジョンの他の品種との兼ね合いもあるしな。
品種と言えば、パラサイトウルフとプチウルフとの掛け合わせとかどうなんだ。
モンスター同士だから出来そうな気もする。
だが、パラサイトウルフは気に食わん。
他人が品種改良するなら止めないが、俺はやらん。
毛布の草は金になりそうだった。
こっちの品種改良には金を出しても良い。
確保隊は、9階層から撤退するらしい。
9階層から上もしばらくすればパラサイトウルフが増える。
それで満足するみたいだ。
パラサイトウルフの拡散が止まらない。
もはや全国規模で展開してる。
パラサイトウルフを扱うペットショップも現れた。
檻で飼えば大丈夫としているが、魔王がそんな戦略を立てるだろうか。
フレンドリーモンスターを守る会も檻を売っているし。
俺は何かカラクリがないか、フレンドリーモンスターを守る会から、檻をひとつ買ってみた。
普通の鉄の檻だな。
切断してみたが普通の鉄棒だ。
分析して貰ったが鉄と出た。
錆びるまで待つと言う戦略ではないよな。
そんな気が長いわけはないか。
塗料は塗ってない。
腐食を加速するような物質は塗ってないようだ。
何かカラクリがあると思うんだが。
考え過ぎか。
俺は馬鹿だから分からん。
「ファントムだ。パラサイトウルフを飼う時は檻に入れよう。檻の外に出して遊ぶ場合は注意するのだ」
ファントムとして配信を開始した。
【ファントムは飼うことに反対しないのだな】
【出来んだろ。モンスターを飼ってはいけないという法律もない】
「人に襲い掛かるパラサイトウルフは今後も討伐する予定だ」
【そうだね。それは仕方ない】
【正当防衛みたいなもんだものね】
【応援してます】
「本当はパラサイトウルフは飼ってほしくない。熊を飼っている人が不注意から襲われる事件もある。パラサイトウルフも同様な事件が起きないか心配だ」
【うんうん、分かる】
【歯がゆいね】
こんなことしか言えない。
仕方ない。
せめて檻のカラクリでも分かったら良いが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます