第170話 生理的嫌悪
ラブリーネスト、第8階層は芝生。
魔力がないと育たない品種なんだろうな。
採取していっても芝生じゃ金にならないか。
確保隊は俺より先に入ってる。
【ドッグランだな】
【なごむ】
【まあ、狂暴な奴らでも遊んでいる姿は可愛い】
【まあな熊も可愛いからな】
【可愛さを認めたらみんなラブリードッグを飼いましょう。今なら檻を格安でお譲りします】
【フレンドリーモンスターを守る会のステマか。色々な所で見るな】
【俺はラブリードッグを飼い始めた。ついつい檻の外で遊んでしまう】
【命知らずだな】
「ははは、待てー」
確保隊が能天気にパラサイトウルフを追っている。
一応、芝生も持って帰るか。
品種改良に使えるかも知れん。
【ボスを討伐に行くんだな。やめろ】
【ボスは別物と俺は考えている。普通のラブリードッグが犬で、ボスが人食い狼】
【その認識は間違ってます。彼らは友達です】
ボス部屋の扉は簡単に見つかった。
一面の芝生に扉だけ立ってれば分かるというものだ。
ボスの見た目は今までのと変わりない。
全員からボウガンが一斉に発射される。
矢が毛皮によって弾かれた。
【皮膚が硬いのか】
【階層が下になると、強くなっては来てるんだな】
【ダンジョンだから】
【普通のラブリードッグは変化ないみたいだけど】
【そういうダンジョンもある。ゴブリンダンジョンとかはザコはほとんど変わらない】
矢はボスを貫通した。
「キャン」
【やめろ、動物虐待だ】
【可愛い動物も毛皮にするために虐殺してきたのが人類だから。法律で規制されなきゃね】
【法的には問題ないが、人間的にはどうなんだ】
【狂暴だという事実を見ると討伐も止む無しになるんだけどな】
【その認識は間違ってます。彼らは正しく飼えば友達です】
ボスは死んだ。
死骸に触ると、毛皮は柔らかかった。
皮膚も硬くないようだ。
スキル的な何かを持っていたのだな。
下の階層に行くとそういうのが出てくるのだろうな。
まあ、ボスと言っても、ゴブリン程度の奴なら容易いが。
ポータルに登録して9階層を見てみた。
貴重な植物とかあると採取しておきたいからな。
パラサイトウルフが中型犬ぐらいのひよこと戯れている。
【9階層は楽園か】
【この光景だけで飯が食える】
【このひよこも連れ帰って貰いたい】
「ポイズンベビーチックだにゃ。からだ全体が毒にゃ」
そうか、確保隊がひよこにうっかり触れて毒になっても俺は知らない。
ダンジョンき下の方に行くと色々とあるからな。
さて
今日は終りだ。
ダンジョンから出ると、フレンドリーモンスターを守る会が、パラサイトウルフを檻に入れて売っている。
全国どこでもトラックで配達しますの文字が。
フレンドリーモンスターを守る会が魔王との繋がりがあるとしたら、パラサイトウルフは先兵なんだろうな。
スタンピードという侵略は分かり易い。
人類もモンスター討伐で一致団結してしまう。
力押しでなんとかなる程、科学技術は弱くない。
銃ひとつとってもオーククラスなら十分に討伐可能だ。
だからなのだろうな。
ペットとして家庭に入り込む。
そういう侵略計画を練った。
いろいろと考えていると、慌ただしくなった。
「どいてくれ。急患だ。救急車はまだか」
確保隊が担架に乗せられている。
泡を吹いているところから察するにポイズンベビーチックに触ったのだな。
「馬鹿な奴だ。安易に触るから。可愛い奴に毒とかあることもある。コアラも毒持ちだ」
「コアラ毒を持ってないわよ」
「えっ」
【ヤエちゃん博識。毒を持ってないが正しい】
【おっさんは、情報弱者だな】
【ラブリードッグの討伐も情報に踊らされたのですね。可哀想な人です。今からでも遅くありません。討伐を辞めましょう】
「パラサイトウルフは情報に踊らされたのではない。奴らは媚びているんだよ。まるでたかりが金銭を毟り取る構図だ。それが気に食わん」
【おっさんのラブリードッグ感はそうなのか】
【生理的になにか受け付けないのだろう】
「そうそれ」
【嫌いなものは仕方ない】
【仕方なくありません。彼らは友達です】
【俺は狂暴だから嫌いだけどな】
【生理的嫌悪はどうにもならんかもね】
【無視できないほど嫌いなんだろう】
【Gを見るような感じか】
「おお、それ」
生理的嫌悪感で討伐しまくってると理由が出来た。
実際もそんなに変わらない。
可愛さを武器に人間に害をなすなど許せん。
虫唾が走る。
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