第160話 パラサイトウルフの危険性
さてと、ファントムのスタンスはどうしよう。
おっさんと対決か。
だが、パラサイトウルフは悪だ。
ファントムがそれに気づかない間抜けというのも少し違う。
中立路線は違うな。
パラサイトウルフが人を襲う現場を抑えて、ファントムがパラサイトウルフを討伐出来たらいいのに。
むっ、何も待つ必要はないんじゃないか。
精神魔法をパラサイトウルフに掛けて襲わせるように仕向けりゃ良い。
嫌がっているのを無理にその行為をさせるのは難しいが、やりたいことを後押しするのは簡単だ。
モチ達に魔法を習った時にそう教わった。
よし、これだ。
ラブリーネスト、2階層。
そこは森だ。
だが、パラサイトウルフは警戒心がないような素振りを見せて近寄って来る。
「死ね」
【この鬼畜野郎】
【人々が許しても、この巨人を守る会改め、フレンドリーモンスターを守る会が許しません】
【おう、頼りになるな】
巨人を守る会が出てきたか、今はフレンドリーモンスターを守る会だな。
【いま民事、刑事で訴えているところです。世論を動かしてラブリードッグを保護しましょう】
【俺、署名したぜ】
【俺も】
【ありがとうございます】
「関係ないね。おらおら」
「きゃん」
「きゃいん」
「くうん」
【やめなさい】
【どうやったら辞めるのだろうな】
【ファントムだ。ファントムに頼むしかない】
【ファントム、この配信を見たら応えてくれ】
【見てないのかな】
【見てて知らんぷりしているとは考えたくない】
【フレンドリーモンスターを守る会は皆さんの入会をお待ちしてます】
「お前ら、必死だな。ファントム頼りかよ。男なら腕っぷしで止めて見せろ。ただし暴力で来たら訴えるけどな」
【汚い奴だ】
【ラブリードッグ可哀想だな】
【おっさん、死骸を持ち帰っているけど何に使うんだ】
「皮を剥いでぬいぐるみを作るに決まっているだろ」
【それをしたら人間だと思わない】
【ああ、話している間にもラブリードッグが死んでいく。誰か何とかしてくれ】
【署名集めるしかない。そして総理大臣に直訴しようぜ】
【それしかないな。法律を作らないとどうにもならん】
【間に合うかな】
【間に合わせるしかないだろ】
話しながらの討伐で2階層のボス部屋の扉まで到達。
出て来たボスは1階層と変わりないように思えた。
「毒持ちにゃ」
そうか、ボウガンの前には関係ないな。
サクッと殺して今日の討伐を終えた。
さてファントムの出番だ。
ケットシーとコボルトが調べたパラサイトウルフを飼っているお宅に行った。
赤ん坊がいるな。
これは一刻の猶予もならない。
素直になれと、パラサイトウルフに向けて精神魔法発動。
「きゃあ! 誰か、誰か、赤ちゃんが」
家の中に入ると、赤ん坊が噛まれそうだ。
罪深いことをした意識はある。
俺が魔法を掛けなけりゃ、こうなってはない。
だが、先取りした結果なんだ。
許してくれ。
俺はバールでパラサイトウルフを撲殺。
「ファントム、ヒール。パラサイトウルフはモンスターなのだ。可愛いからといって熊を飼うようなもの。できればこの事実を広めてほしい」
「今でも信じられません。クロが襲い掛かってくるなんて」
「だが、事実だ。さらばだ」
10軒ほど似たようなことをした。
SNSにはボツボツと危険性を訴える書き込みが出た。
しかし、それに対しての反応は飼い方が悪いとの指摘ばかりだ。
「みんな、ファントムだ。今日はパラサイトウルフの危険性について話したい。パラサイトウルフとはラブリードッグと呼ばれているモンスターだ。この動画を見れば一目同然だ」
あれ、瞭然だったっけ、まあいいや。
ファントムのメッセ―ジの後に動画が流される。
これは遠くから望遠でモチが撮影したものだ。
パラサイトウルフが牙を剥き、襲い掛かり、ファントムに討伐されるまでが映ってる。
【知らなかった。人にも襲い掛かる事があるんですね】
【飼い方が悪いだけだろ】
そんなコメントが付いた。
【熊を飼うようなものだとなぜ分からない】
ファントムの名前で書き込む。
【肉食の野生動物並みに危険なんですね。この事実を広めなきゃ】
【ラブリードッグは友達だよ。パラサイトウルフなんて名前で呼ぶな】
コメントは賛否両論だ。
ファントムを信じている人って多いんだな。
まあ、人助けをしているからね。
今回も人助けの構図だ。
うん、このシナリオはどうなるかな。
おっさんのスタンスはラブリードッグが気にくわないから、討伐。
ファントムは危険だから討伐。
いまいちなシナリオだが、フレンドリーモンスターを守る会が良い味出してくれるといいな。
今後に期待だ。
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