第161話 違法賭博の誘い
今日は冒険者バトル。
おっさんとしては、どうしよう。
まあ、できるだけ手加減しよう。
「両者構えて、始め」
くっ、虫が飛んできた。
邪魔だ。
「あっ」
手で払ったら、対戦相手が風圧で吹っ飛んだ。
「両者、八百長により失格」
【審判ナイス】
【ラブリードッグを狩るおっさんなど、ランクアップさせてはならない】
【毎回、懲りずに八百長仕込むよな】
【それも見栄見栄の】
【うん、見栄を張ってるな】
【クズだからな】
「まあ、なんだ。気にしないぜ」
【メンタル鉄だな】
【いいや、メンタル鉛とみた。気にしない奴が、わざわざ口にしない】
【やーい、八百長野郎】
【八百長野郎は冒険者バトルに出て来るな】
「悪は何度でも甦る」
【懲りないな】
【八百長はわざとか】
【何のために?】
「お兄さん、ちょっとカメラを止めてもらって良いですかね」
パンチパーマの人物が後ろから俺に話し掛けてきた。
「何?」
カメラを止めて、振り返り、話を聞くことにした。
「ちょっと、握ってみない」
「えっと、握手かな」
「違う違う。賭けないかってことだよ」
「違法賭博はしない」
「じゃあ、気が向いたら」
そう言うと男は名刺を渡して立ち去った。
名刺には電話番号が書いてある。
俺は名刺をしまうとカメラのスイッチを入れた。
【何だったんだ】
【見せられないことかな】
【サクラの仕込みかな】
【犯罪行為かも知れない】
【相手の男の顔が見られなかったのが残念だ】
いいこと考えた。
違法賭博の摘発だ。
ファントムがやるとして、おっさんの役割はどうしよう。
おっさんが客になるのは不味いな。
賭場荒らしも不味い。
窃盗だからね。
それに、たぶん賭博をやっているのは下っ端だ。
バックについている組織は痛手を負わない。
根こそぎ壊滅したい。
呪いだな。
お金に呪いを染み込ませるとしよう。
きっとバックに届くはずだ。
俺が賭けたんじゃ不味いな。
幻影魔法で、架空の人物を作り出すとしよう。
名刺を見て電話すると、さっきのパンチパーマの男がやって来た。
「まいど。あれっ、名刺を誰かに貰った?」
「ああ、知り合いにな。ファントムの第一試合、対戦相手に1万掛ける」
呪いの一万円札を渡した。
「お客さん名前は?」
「
「じゃあ、これが賭札。試合が終わって、勝ってたら、電話して」
伝票を貰った。
さあ、ここからはファントムの時間だ。
会場からいったん離れると走って入場。
ファンファーレが鳴り響いた。
応援が段々と派手になっていくな。
太鼓もドンドンと打ち鳴らされる。
さてやるか。
今日の必殺技は、ファーブラストヒット。
遠くの敵をやる技だ。
ウインドジャイアントから技をパクった。
「用意はいいか。では始め」
「ファーブラストヒット」
俺は正拳突きをした。
風圧で対戦相手が場外に落ちる。
「場外により、
歓声が上がる。
どんどん勝ち進み、決勝。
対戦相手は試合が始まる前からステップを踏んでいる。
「用意はいいか。では始め」
対戦相手が反復横跳びする。
なかなかの速度だ。
風が俺まで届いた。
だが足りんな。
「ファーブラストヒット。バラージ」
正拳突きを何度も繰り返して弾幕を張る。
これなら、ちょこまか動いても関係ない。
そのうちのひとつが当たったのだろう、対戦相手は場外に転がり落ちた。
「場外により、
俺は片手を突き上げて、ガッツポーズを取る。
ファンファーレや太鼓の音、歓声が聞こえた。
「防衛、4.5回おめでとうございます」
インタビュアーにマイクを向けられた。
「ありがとう」
「素晴らしい強さですね。対戦相手に、指一本触れてませんし、対戦相手もファントムさんに指一本触れてません」
「極めると、そういうことができる。みんな精進するのだ。そしてモンスター討伐をせよ」
「今後の抱負を聞かせて下さい」
「ラブリードッグの被害者が増えている。この被害者を救うことが使命だ」
「ファントムさんに救われる方が今後ますます増えるようです。インタビュー、ありがとうございました」
「サンキュー」
歓声が巻き起こる。
ここからは賭博組織壊滅だな。
呪いの匂いというか感覚を追跡する。
道を行く人達や車はみんな停まって俺を見た。
証人になってくれよ。
――――――――――――――――――――――――
投稿ミスってました。
内容が同じだと思われた方は160話に戻って下さい。
ご迷惑をおかけします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます