第159話 パラサイトウルフ
「これ見るにゃ」
モチが記事を見せてきた。
なになに、人類の友達のモンスター、その名もラブリードッグ。
スタンピードでモンスターから守って貰った人が多数いる。
一概に巨人は人類に好意的ではなかったが、ラブリードッグは違う。
勇敢にモンスターに立ち向かい。
モンスターから人々を守る。
そんなことが書かれていた。
「へぇ、そんなモンスターがいるのか。姿も可愛いな。子犬をそのまま拡大したみたいだ」
「こいつパラサイトウルフにゃ」
「パラサイト、寄生するのか」
「可愛い顔で近づいて油断した所を襲い掛かるにゃ」
記事にはラブリードッグを飼い始めた人がいると書いてある。
糞なモンスターだな。
許せん。
このモンスターを討伐したら、俺の悪評も広まるに違いない。
よし、次はパラサイトウルフのダンジョンだ。
パラサイトウルフのダンジョンはこの前のスタンピードの時に出来た。
新しいダンジョンだ。
冒険者も悪評を恐れて討伐はしてない。
モチによればパラサイトウルフ自体はさほど強いモンスターではない。
「
「これってラブリードッグのダンジョンじゃない」
「みんな悪評を恐れて手を出さないのに」
「そのラブリードッグだが、モチによればパラサイトウルフといって油断した所を襲い掛かるらしい」
「えっ、それは酷いね」
「許せないわ。人の善意に付け込むなんて」
「討伐は主に俺がやる。二人とも悪評を被る必要はないさ」
「やりたい」
「私も」
「駄目だ。これは俺の仕事だ」
そう言って二人を置いて、ラブリーネストと呼ばれているパラサイトウルフのダンジョンに来た。
第1階層は草原。
ちなみにラブリーネストにはシロガネは連れてこない。
絵面が最悪になるからな。
捕食者の動画はアフリカとかなら良いだろうが、ラブリーネストでパラサイトウルフでは反感を飼うに違いない。
シロガネを悪く言われるのは我慢できない。
【配信、始まった】
【ここはどこだ?】
【見た所、草原だな】
「ラブリーネストだよ」
【ヤエちゃんと、
【ここに手を出すと色々とうるさいぞ。おっさんと言えども今回は不味いだろ】
【俺は子犬の姿をしたラブリードッグを殺せない】
「ラブリードッグなパラサイトウルフというらしいぞ。家庭に入り込み油断した所をぱっくり行くらしい」
【おっさんの設定ではそうなっているのか】
【俺はおっさんを信じたいが、今回ばかりは】
「寄って来たぜ。モチ、キナコ、存分にやってやれ」
「くーん」
「くーん」
「わふ」
俺達はマシンボウガンを連射した。
「キャイン」
「キャイン」
「キャイン」
【これは酷い】
【おっさんはケモナーだと思っていたのに】
【これは拡散して、おっさんを止めないと】
【虐殺が行われていると聞いてきました。うわっ、酷い】
【なんてことを】
「おらおら、どんどん行くぜ。ヒャッハー」
【おっさんもついに狂ったか】
【もともとまともじゃなかったけどな】
【酷過ぎます】
「ほらほら、肉だぞ」
寄って来たところをバスバスとボウガンの矢で血祭に上げる。
【おっさんはサイコパスだったのか】
【生き物を喜んで殺す奴はサイコパス】
【良い隣人のモンスターなのに】
【なんでこんなことを】
【警察は取り締まれ。動物愛護法違反だろ】
「パラサイトウルフはモンスター。モンスターは死ね」
【やめろよ。そんなにまでして目立ちたいのか】
【これは許せんな】
ボス部屋の扉を見つけたので開ける。
中にはひと際でかいパラサイトウルフがいた。
当然、蜂の巣にしてやった。
【おっさんのSNSが凄いな】
【ヤエちゃんと
【おっさんは身内まで敵に回してどうするの】
予定通り。
これで、
ポータルに登録して、今日の討伐をやめにした。
SNSをチェック、殺人予告にはこれまで通りの対処をした。
「気を落とす必要はないにゃ」
なぜか慰めてくれるモチ。
「これぞ悪役って思ってワクワクしている所だ」
「嬉しそうで良かったにゃ。異世界でもパラサイトウルフは誤解を招くモンスターだにゃ。無知な村が全滅することもあるにゃ」
「知っている人はパラサイトウルフを殺そうとするんだよな」
「そうにゃ、それなのに逆に恨まれるにゃ」
俺のチャンネルは炎上した。
非難のコメントで溢れかえった。
おう、コメントの最高記録を更新するかも。
1万件ぐらい行くかな。
なんか楽しくなってきた。
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