第158話 巨人のダンジョン、討伐完了
巨人のダンジョン、氷原フィールド。
防寒着もばっちりだ。
【溶岩の次は氷かよ】
【直ちに引き返しなさい】
【引き返さないとどうなるのかな】
【神の怒りを買います】
【神の怒りねぇ。神はダンジョンを攻略させたがっているように思えるんだけどな】
【だね。ポータルなんて便利な物を用意する必要はない】
【宝物も要らないよね】
【違います】
「泣き言を言っているようにしか見えないぜ。このダンジョンのコアの部屋にもコボルトとケットシーがいるんだろ。俺は奴隷はいくらでも欲しい」
【おっさんらしいな】
【やめなさい。糞が!】
【とうとう本性を現したな】
【喚いてもおっさんは止まらない】
「ほら、フロストジャイアントのお出ましだ」
「楽勝だな。どんどん行こう」
【この人でなしの、鬼畜野郎。死ね】
【とうとう殺人予告も来たか】
【おっさんの煽りの手は上手いな】
【巨人のダンジョンがなくなっても俺は困らない】
【こんな世界など滅びてしまえ】
【なんか発狂しているな】
【こうやっている間にも討伐は進んでいく】
コメントが巨人を守る会であろう人の罵詈雑言のコメントで埋まっていく。
こんなになるってことは終りが近いのかな。
討伐は順調に進んだ。
そして、ひと際大きな扉を見つけた。
「ラスボスの部屋だな」
【やめろ、糞野郎】
【扉に手を掛けたら呪ってやる】
【即刻死ね】
「ぽちっとな」
俺は扉を軽く押した。
扉は音もなく開いていく。
中に入ると冠を被って玉座に腰を掛けている巨人がいた。
「油断するなよ」
「先手必勝、グラトニーアロー」
「カクイ・セラテイス・ラハ・ハニスイ・チミシ・テチカイス」
巨人は立ち上がると、右手から水を、左手からは炎を噴射した。
交差する空間が爆発。
「くっ、水蒸気爆発」
そう言うと、
グラトニーアローは爆風で彼方に飛んでいる。
たまにはファントムの出番を作るか。
俺はカメラを床に置いた。
「ここは俺に任せろ」
「ファントム、いつの間に」
「ファントムは亡霊、どこにでも現れる。ライトスピードバラージ」
アダマンバールを縦横無人に振るう。
バールの連打で、幕みたいな物が出来た。
その幕からこっちは爆発が入ってこない。
ゆっくりと水蒸気爆発を押し返す。
そして、巨人の王を叩きのめした。
ファントムを幻影に切り換え、おっさんになる。
【おっさんどうした】
【ああ、ヤエちゃんねるみたら、後ろで震えている】
【ほんとだ】
【ファントム恰好良かった】
【ああ、終わりです】
【この糞野郎。コアに手を掛けるな】
【和解したはずの巨人がスタンピードの時に出てるんだけど】
【それは巨人の怒りです。侵略を続ける糞野郎に怒ったのです】
【おっさんは止まらないよ】
さてと。
「エンペラージャイアントの死骸が落ちているな、届けておこう」
ファントムの幻影は何も言わずに去って行った。
【落ちているは草】
【やめろ、ここから一歩も進むな】
【みんなで抗議の声をあげましょう】
【今こそ民衆の力を】
【糞野郎、死ね】
さて、コアを取るか。
コアルームにはコボルトとケットシーが大勢いた。
1万人はいるだろうか。
今までのダンジョンと規模が違う。
「助けに来たにゃ」
モチとキナコが同胞に近寄る。
俺はダンジョンコアを奪い取った。
「わーい、ダンジョンコアが落ちてた。警察に届けよう」
【覚えてろよ】
【いつか殺してやる】
【皆さんこの蛮行を心に刻みましょう】
【巨人万歳】
【おめ】
【巨人を守る会ってなんであんなに必死なんだ】
【どうやら引き上げたみたいだな】
【また、落とし物ハイエナ手口】
【ファントムって金に興味がないのだな】
【おっさんとは違う。またファントムの株が上がるな】
ぞろぞろとコボルトとケットシーを引き連れてダンジョンから出る。
マスコミが来ている。
「巨人とは和解が済んだはずですが、なぜ討伐を?」
「ではなぜ、巨人はスタンピードに現れて暴れるのかな」
「巨人を守る会の意見では、侵略に立ち向かうためだとか」
「その巨人を守る会だが、設立資金に不明な所がある。いったいそればどういうことだ」
「その話と討伐は何も関係ないように思えるのですが」
「関係あるかないかは歴史が決める」
思わせぶりなことを言って立ち去った。
これで、スタンピードの脅威もいくぶん楽になるに違いない。
さて次は何をしようか。
感謝状の話はまだ来ない。
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