第131話 デスロール
巨人のダンジョンのフィールドは鉱山だ。
それも露天掘り。
すり鉢状になっている。
そのすり鉢の底にボス部屋の扉がある。
俺達は、鉱夫の巨人、マイナージャイアントを討伐しながらスロープを降りた。
マイナージャイアントの武器はつるはしだ。
別に恐ろしくもなんともない。
さて、1階層のボス部屋だ。
気を引き締めていこう。
中に入ると、ハチマキを締めて、馬鹿でかいスパナを持った巨人がいた。
ウォークマンジャイアントだな。
ウォークマンジャイアントはそれを躱した。
意外に素早いな。
それをウォークマンジャイアントはスパナでいなした。
今まで巨人に対して動きのなかったシロガネが、ウォークマンジャイアントのふくらはぎに噛みつき、体を回転。
肉を噛み千切った。
【デスロールだな】
【シロガネの必殺技か】
【ワニの技だけどな】
シロガネがいれば俺が出なくても平気だな。
立っていられなくなったウォークマンジャイアントは片膝をついた。
ここぞとばかりに
歩けないので今度は避けられなかった。
矢は深々とウォークマンジャイアントの体に刺さった。
「必殺、ファイナルスラッシュ」
そして、巨大なスパナごとウォークマンジャイアントの腕を切り落とした。
シロガネが、ウォークマンジャイアントの首筋に噛みつきデスロール。
ウォークマンジャイアントは死んだ。
【こういう戦いが見たかったんだ】
【うん迫力があったね】
【巨人討伐を見世物にするのをやめろ】
【おっさんは何にもしてない】
俺は宝箱があったので鉄パイプでこじ開けた。
【宝を漁る係かよ】
【鍵開けは技術が要るんだぞ】
針が飛んできたので、素早く掴み捨てる。
【あれっ、一瞬、おっさんの手がぶれた】
【最近よくぶれるよな。もう寿命だろ】
【おっ、ポーションだな】
【これは高い奴。かなりでかいけど巨人サイズか】
【だろな】
でかいポーションゲットだぜ。
ポータルに登録して、ダンジョンから出る。
巨人を守る会は相変わらずだ。
うん、何か悪党らしきことをしたい。
巨人を守る会に暴力を振るったりは違う。
焼き肉はおちょくりとしては良かったが、もう一度同じことをするのは芸がない。
これぞ悪ってのが良いんだが。
よし、宣伝用トレーラー召喚。
巨大スクリーン内臓のトレーラーが召喚された。
金を消費してだ。
巨人被害の実態と、遺族の訴えを映す。
そして巨人を討伐する映像を流した。
我々は悪だから、肩で風切るでかい奴は許せない。
そういう奴は成敗するとテロップを出した。
足を止めてみていた民衆の何人かが拍手喝采する。
これは金で雇ったサクラだ。
そして遺族。
遺族も喜んでいる。
「討伐をやめろ!」
「止めたきゃ法律でも作るんだな!」
俺はマイクを握って言い返した。
こっちの声の方がでかいので、正しいような感じがする。
宣伝用トレーラーの威力だ。
俺達は、各所で宣伝した。
許可?
そんなのは金でどうにでもなる。
市長や議員を動かしゃいいだけだからな。
もちろん書類はちゃんと書いて出してる。
ただ許可が下りるのが速攻だというだけだ。
この事態に、巨人を守る会はついていけない。
あっちはダンジョンの入口以外は許可なしだから、随所でやる俺達には対応できない。
これが悪の力だ。
やつら、これに腹を立てて、SNSや動画投稿サイトで大暴れ。
でもそんなコメントを見たところで別に痛くはない。
殺人予告とかは、警察に訴えた。
宣伝用トレーラーが気に入ったので、全国キャラバンに出すことにした。
巨人に関して俺は含む所はない。
オーガやオーク、ゴブリンと同じ扱いだ。
顔が人間に似ているというだけでは、人魚やアラクネとかも保護しないといけない。
あいつらも人食いだ。
そういうのには容赦しない。
もちろん責任をもって飼うというのなら反対はしない。
好きにやってくれだ。
熊を飼うのと一緒だ。
許可をとってなされるのであれば文句は言わない。
俺はそう思う。
俺の中では巨人の討伐は熊の駆除と一緒だ。
さて、ファントムにも何か言わせないとな。
「ファントムだ。巨人について言いたい。俺はモンスターは野生動物とは違うと思う。モンスターは言わば外来種。討伐が推奨される。巨人がこれから外されるというのであれば民衆の理解を得るべきだ」
正当防衛うんぬんは何だったかというコメントが来た。
知らんがな。
その場のノリで言っているだけだからな。
ファントムは所詮虚像。
騙される奴が悪い。
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