第117話 マグネットスパイダー

 マグネットスパイダー対策だな。

 ええと砂鉄で作った蜘蛛の巣が防御壁か。

 柔軟性もあるようだし、下手な攻撃は届かない。

 グラトニーマテリアルで消すのが吉か。


 準備満タンで、あれ万端だったっけ、とにかくマグネットスパイダーの領域に来た。


【待ってた。今日は蜘蛛か】

【信者ウザい】

【アンチこそウザい】

【蜘蛛よ。綺羅々きららちゃん仇を討つのだ】

【あれっておっさんが何かしたわけではないよな。傷害事件なら逮捕されているから】

【きっともみ消したんだ】

【おっさんが金持ちなのは認めるんだ】

【警察官幹部の弱みを握ったに違いない】


 グラトニーマテリアルの矢じりのバリスタが発射される。

 蜘蛛の巣を幾つも貫通して、マグネットスパイダーの体を削り取った。

 致命傷になるほどは削れなかったらしい。


【アンチご愁傷様、蜘蛛はダメージを受けているぞ】

【ここから蜘蛛が必殺技なんだよ】

【うん、おっさんは無様に負けて命乞いする】

【そうでないと因果応報ということが通らない】

【馬鹿だな。圧倒的パワーの前には何事も無力だ】


 相手に遠距離攻撃がないので楽勝だな。

 何発も撃つと、マグネットスパイダーは死んだ。

 ちょっとまだるっこしいな。

 マグネットスパイダーの新手が現れたので、俺は巣に向かって走り出した。


「おらおら」


 巣を強引にぶち破る。


【おっさんが突撃したぞ】

【やせ我慢だ】

【きっと死ぬ。そういう筋書きなんだよ】


「蜘蛛よ、弾幕薄いぞ。さっさと張れよ」


 空振りが多くなってきた。

 マグネットスパイダーの巣を張るスピードが追い付かないらしい。


【弾幕薄いぞは草】

【アンチ共、分かったか。これがパワーだ】

【くそっ】

【死ねシネ氏ね】


 マグネットスパイダーを射程に捉えたところ、マグネットスパイダーが手を合わせた。

 まるで命乞いしてるようだ。

 関係ないね。

 俺は思いっ切りぶちのめした。

 これだよこれ。

 ちまちま削るのはストレスが溜まる。


【まあこうなるよな】

【おっさんの連撃を防げる者などいない】

【アンチが黙ったな】

【次だ次があるに決まっている。そのうちおっさんは死ぬんだ】

【はいはい。妄想は頭の中だけにしとけ】


 叩いて殺したが、後続のノアフォロやケットシーやコボルト達が攻略できるって、証明しないといけないからな。

 でも俺は叩いて叩きまくるのが性に合ってる。


「どんどん行くぞ」


【蹂躙が気持ちいい】

【くそっ、デモをまたやるぞ】

【数日後か。そんなことをしてたら、どんどんおっさんは強くなるぞ】

【無許可でやろう。みんな集まれ】

【よしやろう。おっさんの家の前で座り込みだ】

【俺は断食する】

【また無駄なことを】


 マグネットスパイダーの領域を抜けた。


「次の敵は何だ。人面にライオンの体。ああ、ピラミッドの横にいる奴か。スプリングス、なんか違うな。スイーツマフィン、ん違う」


【スフィンクス?】


「それだ」


【低脳だな。なんでこんな奴が】

【性犯罪者に学歴は要らんだろ】

【デモ参加者増加中。現在50人突破】

【少なっ】

【笑ったら悪い。綺羅々きららの知名度ならそんなものだろう】


 スフィンクスの攻撃は何だろな。

 砂鉄の砂が動いて文章を作った。

 朝に4つ足、昼に2本足、夜に3本足と。


 くそ、分からん。


「虫だ。4本足の虫が、腹が減ったので2本食った。晩にはまた1本生えて来た」


 スフィンクスが怒りの形相で襲い掛かってきた。

 象の何倍も大きいが、問題なくぶちのめした。


【不正解で食われないのがもうね。おっさんらしくてよし】


すぐるこのエリアなら楽勝よ」


 そう言うのなら任せるか。

 最悪ぶちのめせば良いからな。


 今日はここまでにしておこう。

 ダンジョンから出ると家の周りには人がたくさんいて、声を上げてた。

 ああ、デモを無許可でするって言ってたな。

 警察にチクってやるか。


 ほどなくしてパトカーが何台もやってきて、集団を解散させ始める。

 ズボンが脱げて、下半身パンツ一丁で連れて行かれた奴がいたのは笑った。

 脱げたズボンの所に見に行ったら、ズボンが接着剤で道路と接着されてた。


「執念というか。意気込みは認める。ズボンは不法遺棄ゴミ、なんちゃって」


【おっさんギャグは寒い。】

【不法遺棄じゃなくて不法投棄だろ】

【国家権力には負けない。今度はちゃんと許可を取る。首を洗って待っておけ】

【許可とらないとそうなる】


 明日もデモがくるのかな。

 ちょっと楽しみだ。

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