第115話 綺羅々倒れる

 俺は教も、弥衣やえを連れて、綺羅々きららと獣のごった煮に来てる。


 今日の敵はなんなのか。

 討伐は良いんだが、解体がだるい。

 あー、蛇だな。


 ちょっと待て。

 モンスター図鑑でどのモンスターか確認する。

 蛇型の、金色のうろこに、ダイヤモンドの模様。

 ゴールデンバイパーだな。

 毒があると書いてある。


 よし。

 俺はゴールデンバイパーの首を抱え込んだ。

 そしてボキっと折った。

 放り出したが、しばらくバタバタと動いてる。


 後ろでバタンと音がした。

 あれっ、そっちにもモンスターか。

 振り返ると、綺羅々きららが倒れてて、血を吐いてた。


 モンスターにやられたわけじゃないよな。


綺羅々きららちゃん、しっかり」


 弥衣やえ綺羅々きららを抱き起してポーションを飲ませてる。


「かなり悪そうだ。病院に運ぼう」


 綺羅々きららをダンジョンの外まで担いでいき、到着してた救急車に載せる。

 救急車に俺達も乗り込むと、隊員が綺羅々きららのバイタルをチェックするために機械を取り付けた。

 機械に波形と数値が沢山表示される。

 なんの意味があるのか分からないのがもどかしい。


 でもゼロじゃないってことは生きているんだよな。

 救急隊員が綺羅々きららに呼び掛ける。

 意識がないようだ。


 弥衣やえが状況とポーションを飲ませた事を伝えた。

 隊員が無線で病院とやりとりし始めた。

 永遠と思える時間が過ぎて、救急車が病院に到着。

 俺達が降りるとストレッチャーは救急搬送玄関に入っていって、俺達は廊下で待たされた。


 弥衣やえが書類の分かるところを書き、家族が来たので引継ぎをする。


「俺の女が倒れた。みんな綺羅々きららが助かるように祈ってくれ」


【おっさんがやったのだろう】

【どの口が言うんだ】

綺羅々きららちゃんが助かることを祈る】

綺羅々きららチャンネルが急にブラックアウトしたけど倒れたんだな】

【おっさんのせいだ】

【もし綺羅々きららちゃんに何かあったら赦さない】

【今は無事を祈ろうぜ】

【いやこの怒りをおっさんにぶつけるんだ】


「いいぜ、思いの丈を吐き出せよ」


綺羅々きららちゃん頑張れ】

【でも倒れた時って討伐の最中だったよな。モンスターにやられたの?】

【チアフルの一重ひとえによれば、急に倒れたらしい】

【きっと、心労が重なったんだよ】

【それもおっさんが悪いんだ。謝れ】

【状況が分からんけど、倒れた時に血を吐いてたよな。胃潰瘍か。なら心労だ】

【胃潰瘍ならポーションで治るだろう】

【とにかくおっさんが悪い】

【そうだそうだ】

【デモやろうぜ】

【いいね。おっさんに謝罪を要求すると共に綺羅々きららちゃんの治癒を願う】


「デモでも何でもしたらいい」


【おっさんは面の皮が厚いから、屁でもなさそうだ】

【冒険者資格のはく奪なんてどうだ】

【冒険者協会に訴えようぜ】


「なんでもやったらいい」


 彼女が助かるなら無意味なことでも意味があるような気がする。

 もちろん俺は謝罪はしない。

 だが賠償という形で治療費やら渡してもいいな。


【くっ余裕だな】

【おっさんが嫌がることってなんだ】

【うーん、考えつかない】

【冒険者資格がなくっても自分の家のダンジョンには入りそう】

【評判を気にする性格でもなさそうだな】

【おっさんの家のダンジョンを封鎖させたらよくね】

【おお、いいね】


 アンチのやつらデモをすることにしたようだ。

 そのサイトが出来上がり、コメントにリンクが張られた。

 歩いて綺羅々きららが治るなら、俺はいくらでも歩いてやる。

 ダンジョンを封鎖することも厭わない。

 だが、問題の解決はエリクサーのみ。


 代理人からも入手できたという返答がない。

 こんなことならエリクサーを集めておいたら良かった。

 たらればを言っても仕方ない。


綺羅々きららちゃん、集中治療室だって。心臓と胃と腸が腐ったみたい」

「体が腐る病気か。厄介だな」

「ええ、エリクサーが早く手に入ると良いけど」

「うちの、ダンジョンにもぐろう。ボス戦でエリクサーが出ることを期待するしかない。俺達ができるのはそれだけだ」


 マグネットラークの対策はまだできてない。

 だが、最悪は俺が無双してもいい。

 後方支援があった方がいいから、コボルトとケットシーやノアフォロにはマグネットラークの領域まで来てほしいが。

 無茶は言うまい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る