第101話 公害
「やって来ました。排水が臭いとの工場に」
【待ってた】
【今回のターゲットは工場ね】
【段々とスケールが大きくなるな】
「で、川とか土壌を綺麗にしたい。何か良い案があるか」
【グラトニーマテリアルで根こそぎ消せよ】
【それは不味くないか】
【企業を強請るのか】
「強請ってなどいない。清掃料を頂くだけだ」
【うんうん、清掃料ね】
【犯罪が行われているのに、歯がゆい】
【それはどっち? おっさん? 工場?】
【どっちもだ】
【どっちもだは草】
【応援してるよ】
「それより、汚染物質除去はどうする?」
【グラトニーマテリアルが駄目なら、召喚しちまえば】
【だな、うんこからミスリルが取り出せるのなら出来るはずだ】
「やってみる。我、大地と川と契約する」
【契約できた?】
【できたら最強じゃないか】
「ここら一帯は支配下に置いた」
【ほんまか? えらいこっちゃ】
【おっさんのレベルならそうなんだろうな】
「召喚、有害物質。うわっ凄い匂いだ。封印」
【おお、なんとかなったね】
【コボルトとケットシーが片付けていくけど、触っても平気なん】
「封印してあるから直には触ってない」
【さあ、清掃料回収の時間だ】
【わくわく】
俺は工場のインターホンを押した。
「えー、清掃の押し売りにやって来ました」
「何だね君は」
「だから清掃の押し売り」
「しつこいようだと、警察に電話するぞ」
「呪い」
俺は呪いを解き放った。
工場が嫌な雰囲気に包まれる。
「何をした?」
「さて何かな。困ったことが起こったら、電話して」
俺は名刺を置いていった。
【あー、呪われたか】
【違法じゃないんだったら、おっさんの方が悪いような気も】
「俺は悪党だ。相手が法を犯していなかろうが関係ない」
【誰もこの男を止められないのか】
【気にくわないのなら、訴えたらどうだ】
【さあどうなるか】
「何をした。工場の機械が全て動作不良などありえん。それに工場の全従業員が癌になった」
「うん、だから清掃料を払っていれば良かったのに」
「清掃料、何を言っている」
「工場排水を流している川の汚染物質の濃度を調べてみなよ。話はそれからだ」
【こうやって嵌っていくのな】
【認めるかな】
【認めざるを得ないでしょう】
おっ、1時間ぐらいで、また工場の人が来た。
「川の汚染がなくなったのは分かった。君がそういうことができる存在だと認識した。だが、うちは法を犯してない。一銭も払わんぞ」
「好きにすればいい」
「工場の機械を止めたカラクリを暴いて訴えてやる」
【ああ、深みに嵌っていく】
【ここまで来たら止まらんだろう】
そして、工場から別の人が来た。
「すみません助けて下さい。会社は検査データを改ざんしてました。なんども告発しようと思ったのですが、どうしようもなくて」
「その話を、そういうところに話してよ。いい弁護士を紹介するからさ」
「はい、お願いします」
「ノアフォロに入会するといい」
「そうします」
【どうなるかな】
【行政処分が下って終わりだろう】
1週間後。
「降参だ。金を払えば良いのだろう」
「今後は、なるべく自然に優しくしろ。抜き打ちで検査するからな」
「くっ、下手にでれば」
「従業員の命が掛かっているのに、よくそんな言葉が出るな」
「分かった善処しよう」
呪いを解いてやり、あの工場はニュースで立ち入り検査が入ったのを知った。
うん、金をせしめたが、全部寄付した。
だって、召喚して有害物質を除去しただけだ。
有害物質はグラトニーに食わせたから、経費はほとんど掛かってない。
工場も反省したようだから、次の工場に行くか。
工場には法律を守っていた所もあったが、全部から清掃料を取った。
有害物質を垂れ流していることには変わりない。
俺に言わせりゃ、有罪だ。
「どうだ。工場で生産して、大地を汚す。人間は生きているだけで悪だろう」
【まあ、その通りだが、そんなこと言ったら、文明生活は送れない】
【だからといっておっさんのしたことは許されない】
【人間は悪などではない】
「じゃあ、配信で公開討論会をしよう」
【よし、今度こそ謝罪させるぞ】
【おっさんに勝てないのにな】
【俺は、そろそろ討伐の様子が見たいな】
【うんうん、俺も】
「よし、公開討論会したら、ダンジョンの討伐配信に戻る」
いま、討伐は、うちの庭ダンジョン4階層をやっている。
4階層はなんと砂漠。
砂に隠れているモンスターに手こずっていた。
なので、こんなことを合間にしている。
そろそろ討伐の本腰を入れないと。
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