第99話 ゴミ屋敷殲滅
人類は悪、自覚しようぜキャンペーンが始まった
コボルトとケットシーの封印スキル使いがゴミを次々に封印。
ダンジョンに運び込んだ。
グラトニーにゴミを食わせて、グラトニーマテリアルを採取する。
この様子を撮影して、処理したゴミの量に応じて、途上国に寄付金が送られる。
なんか違うんだよな。
悪党感が薄い。
よし、ゴミ屋敷殲滅行ってみるか。
「というわけでゴミ屋敷殲滅にやってきた」
【唐突の始まり】
【ゴミ屋敷殲滅、こういうのはなんか楽しい】
【そうそう、ごそっと減っていくのが良いんだよな】
「コボルトとケットシーの諸君やってしまえ」
「やめるんじゃ」
【家主のお爺ちゃん登場か】
【わくわく】
「家主か、お主も悪よのう。だが俺の方が悪だ。一筆もう貰っている」
「それは家族に無理やり押させられた判子。この宝は誰にも渡さん」
「うんうん、宝だよな。グラトニーマテリアルに生まれ変わって、売った金を届けるからまた悪行を積むといい。だが、俺は何度でも宝を強奪に来るぞ。悪党だからな」
【お爺ちゃん涙目】
【ゴミ捨てられない人ってゴミが宝なんだ】
【人権無視だ】
【人を悪党呼ばわりは辞めろ】
【登場遅いよ】
【アンチなんだから24時間張り付いてないと】
「おー、気持ちいいぐらい減っていくな。グラトニーにここのゴミを食わせる様子を見せてやれ」
「はい」
「わしの宝が消えていく」
【追い打ち掛けるこの所業。血も涙もないな】
【辞めてやれよ】
【俺は見てて気持ちいいけどな】
「封印はいいな。ゴキとかも一緒に封印されるから見なくて済む。じいさんゴキの友達と別れを済ますならいまだぞ」
「ゴキブリが友達なわけないだろう」
「でも宝の中で一緒に住んでたよな」
「ぐっ馬鹿にしやがって」
「訴えたければどうぞ」
【使えそうな物もちらほらあるな】
【そんなことを言っているとゴミ屋敷になる】
「ああ、それは持っていかんでくれ。大事な宝なんだ」
「もふもふ壁」
ケットシーとコボルトがお爺さんに邪魔をさせないように壁を作る。
【お爺さん泣いているぞ】
【きっと綺麗になって嬉しいんだろう】
【撮影許可は取ってるのか? 人権侵害じゃないだろうな】
「弁護士が作成した書類に抜けはない」
【このおっさんの暴挙を許していいのか?】
【暴言といいこの老人虐待といい。誰か正義の鉄拳を食らわしてやれ】
【ゴミ屋敷片付けが老人虐待。それは流石に草】
【本人の承諾書がある以上どうにもならない】
「家族に騙されたんじゃ。誰か助けてくれ」
【ほら助けを求めてるぞ。アンチよ、行って励ましてやれよ】
【こんな暴挙がまかり通るのか】
「俺はお爺さんほどの悪党は見たことがない。恐れ入ったぜ」
「馬鹿にしおって」
「いや心から言っている」
【確かに悪だな。悪臭がするし、ゴキやネズミは出るし】
【蚊も凄いのを忘れてはいけない】
【こんなの正義でも何でもない】
【おっさんは悪を名乗っている】
【どうやったら謝罪させられるのか、みんなの力を貸してくれ。見ていて歯がゆく思っている人も多いだろ。力を合わせようぜ】
「まとめて掛かってきてくれると嬉しい。ひとりひとりやるのは面倒だからな」
【アンチの勇者がどうするのか見物だ】
【たぶん何も出来ない。口だけの奴らだからな。集団訴訟できたらたいしたものだ】
【俺達を馬鹿にするな。正論は勝つんだよ】
【お手並み拝見】
「おー、綺麗になったな」
「わしの宝が。許さん」
「いつでも掛かって来い。俺は逃げも隠れもしない」
【このお爺さんにいくらぐらいいくの】
【おれも気になる】
「そうだな。500万円は超えると思う」
【それだけあったら、またゴミを集めるんじゃね】
【確実にな】
「そしたらまた、掃除しに来るさ。家族が一団となって説得すれば、判子を押さざるを得ない」
【家族にいくら払った?】
【そうだな。いくらだ?】
「ほんのひとり10万円ぐらいだ」
【それは本腰いれて説得するな】
【近所の人にも悪いし】
【土地を相続したら、近所付き合いするんだし】
ゴミ屋敷潰しは楽しかった。
次は何をしようかな。
不法投棄の業者を告発して、ゴミを粗方貰って、おまけに清掃料を業者から取るか。
取り立てには自信があるよ。
呪いがあるからな。
よし次はそれいってみよう。
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