第95話 グラトニーマテリアルの矢じり

 今日は久しぶりにうちの庭ダンジョンの続きだ。

 アイアントレントがいて、アイアンクロウの攻略法を見出したところだった。

 アイアンクロウのを一般人が攻略する手段はまだない。

 ボウガンでも駄目、酸化ミスリルの羽は、アシッドの酸もはじくと思う。


弥衣やえ、アイアンクロウを倒せる方法が何かない?」

「グラトニーマテリアルの矢じりなら大丈夫だと思う。実は用意してきたんだ」

「やるなぁ」

「じゃあ撃ってみる」


【それが通用するなら、無敵だと思う】

【だよな】

【さてどうなるか。ワクワク】


 弥衣やえが矢じりに魔力を込めたようだ。

 軸が消えて矢じりがポロっと落ちた。


「てへっ、失敗しちゃった」


 弥衣やえは馬鹿だなあ。

 俺もオチは分からなかったけど。


【ヤエちゃん可愛い】

【周りの物を消す物質を固定するのは難しいな】

【魔法で射出するしかないか】


「魔法使うなら、レールガンの方が早い」


【魔力イレーサーDXあったよな。あれを軸との接着面に使えば良い】

【おお、賢い】


 なるほどな。

 接着剤に魔力イレーサーDXを混ぜて矢じりを軸に取り付けた。


「じゃあやるよ」


 弥衣やえが矢じりに触って魔力を込める。

 今度は大丈夫みたいだ。

 弥衣やえはアイアンクロウに向かってボウガンを発射。

 矢じりはアイアンクロウに刺さって、アイアンクロウは落ちた。


 いい素材が採れないってことを抜かせば、いい攻撃方法だ。

 銃に使えたらと思ったが、銃にこれを使うのは難しいな。

 魔力を込めたら銃身が消えるんじゃどうしようもない。

 魔法で射出なら銃弾にこだわる必要もない。


 同士討ちが怖いから、俺が前衛で出てるうちは使えない。

 でも一般人でもここまで来れるのはありがたい。


 取り扱いはちょっと注意が必要だ。

 だが、矢じりぐらいでは、少し肉を削るだけだから、当たり所が悪くなければ致命傷にはならない。


弥衣やえでかした」

「えへへ」


「コメントのみんなもありがとう」


 よし先に進もう。

 先に進むと森はなく、岩肌が露出してた。

 坂道になっていることから、小高い丘になっていると思われる。


 岩場にいたのは10メートルはありそうなでかいムカデ。


「アイアンセンチピードだな」


【おっさんムカデの英語が良く分ったな】


「子供の頃にゲームで覚えた」


【子供の時のことで忘れないことはあるよな】

【トラウマは特に】

【好きだった女の子も忘れない】


「さて攻略だが」


【巻きつかれたら厄介かもな】

【それとムカデは毒がある】

【おそらく特殊能力は噛むことで発揮されると思う】


「まずは一当てだな」


【おっさんらしい】

【まあ、おっさんなら平気だろう】


 俺はアイアンセンチピードに近寄るとアダマンパイプで叩いた。

 アイアンセンチピードは俺に巻きついた。


「ふんがー」


 俺はありったけの力を込めた。

 少し巻きつきが緩んだ。


 むっ、暑いぞ。

 アイアンセンチピードの牙を見ると灼熱して真っ赤だ。

 俺はアイアンセンチピードにヘッドロックを決めた。

 このままへし折るのが吉か。


 ボキっとな。

 ふう、暑いぞ。


 巻きついているアイアンセンチピードを解いて、弥衣やえに向かってピースした。


【頭を潰すのが良いみたいだな】

【ヤエチャンネル見たら、おっさんがぐるぐる巻きで凄かった】

【おっさんの方は、迫りくる灼熱の牙で凄かった】


「さあ、この死骸をアイテム鞄に収納して凱旋だ」


 買取場でアイアンセンチピードの死骸を出す。


「牙が凄いんだぜ。真っ赤になってな」

「なるほど。それは魔力発電とか、カイロまで、幅広く使えそうだな。どうかな、よっこらせと」


 おっちゃんが、アイアンセンチピードの牙に魔力を込める。

 牙は真っ赤に色づいた。


【また新素材だな】

【魔力込めると暖かくなるカイロ欲しい】

【こたつとかもいいな。電気代は馬鹿にならないから】

【一般人は魔力使う事があまりないからな】


「おお、素晴らしいな。粉にして色々と使いたい」

「体の方はどうだ」

「かなり硬いな。ミスリルとか含まれていてもおかしくはない。待ってろ。今調べる」


【含まれている流れだな】

【確実にな】

【ミスリルの鉱脈とかが山にあったりして】

【あるかもな】


「出たぞ。この体の重さだと100グラムは含まれている計算だ」


【おい1000万だぞ】

【素敵。おじ様、結婚して】

【こんなのがバンバン獲れたら、そりや堪らないよな】


 明日からは、アイアンセンチピードは弥衣やえ達にやらそう。

 グラトニーマテリアルの矢じりがあれば負けないだろう。

 巻きつかれたら助けてやればいい。

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