第94話 うんこおっさん

【おっさん、うんこに集る蠅がみたいなことを言ってたが、そのうんこっておっさんの事?】

【ふははは、えんがちょ】

【確かにそうだワラタ】


 過去の映像を見てみる。


「別にないな。マスコミのことじゃないが、うるさい蠅が何匹いようが気にしない。うんこがあれば湧いて出るような奴らだからな」

 うわっ言っているよ。

 俺=うんこがいると湧いて出ると言っているようなものだ。


「俺はうんこ臭くない。あれは言い間違えたんだ。いい匂いがする美味しい料理に蠅が群がると」


【言い訳はみっともない】

【失言だな】

【うんこおっさん頑張れ】


「もういいよ。うんこで」


【おっさんがいじけたぞ】

【うんこ祭りだな】


 俺のうんこ発言と俺がうんこまみれになった映像が拡散した。

 くそう、好き勝手やりやがって。

 俺の発言が元になっているから、訴えるのも違うな。

 そんなの俺の美学に反する。


 道を歩いていたら、小学生に指を差された。


「あっ、うんこおっさん」


 くっ、何気に恥ずかしい。

 何気ないマスコミ批判がこんなことになるなんてな。

 俺のニックネームがうんこおっさんになってしまった。


 いや、逆にチャンスじゃないのか。

 うんこおっさん、実にインパクトがある。


 うんこで検索掛けたらコーヒーが引っ掛かった。

 なるほど、うんこを利用するのか。

 アイアンタイガーはミスリルを食っている。

 糞にもミスリルが含まれるんじゃないか。

 俺のダンジョンはそういうのがゴロゴロいそうだ。


「うんこで一攫千金計画」


【おっさんがまた妙なことを言い始めたぞ】

【これがおっさんクオリティ】

【まあ話を聞いてみようぜ】


「俺のダンジョンはミスリルの鉱石が出る。それをモンスター達は食っているわけだが、未消化のミスリルがうんこに含まれているって寸法さ」


【採取する人は大変だな】

【糞採取するためにダンジョンを這いずり回るのか。ごくろうなこった】

【臭い、汚い、きついの3Kの職場だな】

【うんこおっさん、反乱を起こされるぞ】


「うんこが臭くなければ良いんだ」


【また変なことを言い始めたな】

【どうやってうんこの匂いをなくすんだ】

【消臭剤を作るのか】


「グラトニーマテリアルでならどうだ」


【物質を消すから可能ではあるな】

【あんなの霧にして散布したら、触れたものが大惨事だぞ】

【匂いだけ消せれば画期的なんだが】

【汚れだけは消せたから、魔力で操作できるんだよな。いけるかも】


「匂い消しの開発は、俺には無理だけど、誰かやってくれる」


【他力本願かよ】

【グラトニーマテリアルを魔力で操って無双しろよ】


「買取場のおっさんに相談してくる」


 近場の買取場は久しぶりだ。


「おう、しばらくぶりだな」

「うんこ採取装備を作りたい」

「また突然だな」

「強力な消臭剤が欲しいんだ。グラトニーマテリアルで何とかならないかな」


「部屋に置くタイプなら実用化されているぞ。小型扇風機でグラトニーマテリアルに風を送り、匂いを消す」

「でもうんこ採取するのに使えない」

「詳しく話してみろよ」


 俺は説明した。


「アシッドの酸を掛けるとミスリルだけが残るはずだ。かなり臭いは減るはず」


 うーん、ミスリルだけ取り出せればな。


【消臭剤は諦めたのか】

【嗅覚を殺すというてもあるぞ】

【それは仕事を終えて復活させた時が地獄】


「召喚しよう。うんこの中のミスリルだけ召喚する」


【確かに召喚スキルは物と契約はできるが、ミスリル採るためにうんこと契約するのは、嫌だな】

【うんこよ。契約に応じよ。シットラーの名前を与える。なんてやるのか。馬鹿馬鹿しくていいな】


 俺はギルドの資料室で召喚物について読んだ。

 契約したものを他の召喚士に譲り渡すことは可能らしい。

 アイアンタイガーの弾丸採取のメンバーにコボルトとケットシーの召喚士を入れた。


 しばらくして、うんこ召喚の準備が整った。


「召喚、シット1、シット2、シット3の中のミスリル」


 やった銀色の金属粉が召喚できた。


「うんこ臭い」


【ぐひゃひゃ、うんこミスリルだ】

【召喚じゃ不純物は排除できない】

【うんこおっさん万歳】

【しかし、うんこといえどもいくらになるのか】

【グラム10万円だったか】


「まあいいや、このぐらいの匂いだったら許容範囲だろう」


【うんこを金にする男】

【うんこコーヒー高いのを知らないのか】

【結局消臭剤はできないのな】

【部屋に置くタイプで我慢しろよ】

【うんこが全く匂わないのだったら、物凄く需要あったのに】


 うんこと言って馬鹿にするならすればいい。

 俺はうんこで儲けているぞ。

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