第93話 ノアフォロ問題決着

 ボスはでかいメタルリザードだった。


【こいつを討伐したパーティはいない】

【おっさんなら平気だろう】

【物凄くでかいんだが】

【名付けるとしたら、メタルドラゴンだな】

【たしかにドラゴン級の大きさだ】

【ノアフォロを解散しろ】

【なんで親戚が悪いことになっているんだ】

【俺もテレビみてたけど、手の平返しが凄い】

【訴えられたら、うっとうしいからじゃね】

【おっさん、テレビ局を告訴しているんだよな】

【そりゃあね。死亡率高い病院を勧められたら、複雑な気持ちにはなるよな】

【死亡率は数字のマジックだろ】

【おっさん、くたばれ】

【ボスに期待】


 さて、尻尾が銘木の丸太より太くて食いごたえがありそうだ。

 キャメルクラッチは大きさ的にできそうにないな。

 考えることはないな。

 久しぶりに連打の嵐とするか。


 メタルドラゴンの右前足に近づき連打。

 メタルドラゴンが悲鳴を上げて俺に食いつこうとした。

 俺はメタルドラゴンの歯を連打。

 全部折ってやった。


 メタルドラゴンがくるりと回り、尻尾で殴りかかってきた。


「どっせい」


 俺は尻尾を抱きとめた。

 尻尾の先を掴み、ジャイアントスイング。

 程よく回したところで、ダンジョンの壁に叩きつけた。

 フラフラになったメタルドラゴンの頭に登り、連打連打連打。

 メタルドラゴンの銀色の肌が真っ赤に染まる。


 やがてピクリとも動かなくなった。


【こいつでも駄目か】

【おっさんは止まらんよ】

【テレビ局、ノアフォロは素晴らしいだってさ】

【誘拐だの悪質宗教団体だって話はどこ行った】

【そういう事実はないんだから、捻じ曲げるのも無理がある】

【違う、ノアフォロは悪質だ】

【DV被害者の会の記者会見が始まるぞ】


 そうか、俺も見るかな。


「DV被害者の会の会見は説明のみです。質問は受け付けません。質問があれば後日弁護士の所にお願いします。ではどうぞ」

「まず、最初に、手厚くしてもらった埼京氏とコボルトとケットシー達に感謝を」


 話しているのは佐代子さよこさんだ。

 フラッシュが焚かれる。


「マスコミで腹がたったのは取材に応じないのはけしからんって言われたことです。取材に応じたら、居場所がばれるじゃないですか。そんなことはできません。私が出てきたのは離婚調停も済んで、接近禁止令が出されたからです。代表ですし、戦います。レベルもかなり上がりました。大の男だって勇気を持てば負けません。護身術も習ってます」


 うっぷんを晴らすように一気に喋った。


「埼京氏は監禁なんかしてません。裁判費用を持ってくれましたし、仕事を与えてくれただけでなく、住居を無償で提供してくれました。DVの恐怖も最近は少し薄らいだ気がします。ですが、ひょんなことでフラッシュバックして、身がすくんだり、パニックで暴れたりします。ダンジョンでの討伐の仕事はそれを許容してくれる職場です」


「会見は以上です」


【DVはいかん】

【一日1時間の仕事でも食っていけるおっさんの所は神】

【いろいろな事情に配慮してくれてるんだろうな】


「俺のところははみ出し者の集まりだからな」


【おっさんは干渉しないんだな】

【嘘だ。そんな事実認めない】

【ノアフォロ支部、DV被害者の会もマスコミが持ち上げているな】

【よく調べないで、監禁だの騒ぐのは間違っている】

【アンチが消えるかもな】

【DVと糞な親戚は消えるかもな。でもアンチは残る。あいつらは好き勝手騒ぎたいだけだから】


 ダンジョンコアの間にはやはりコボルトとケットシーがいた。

 かれらを救出して外に出る。


 マスコミが外に詰め掛けてた。


「ノアフォロメンバーの親戚の方々に対してひと言貰えますか?」

「病院と治療法ぐらい本人に任せてやれよ。遺産の分け前がないのは知らん。訴えたければ訴えるといい。こっちは全力でフォローする」

「DVしてた方々にたいしてはどうですか?」

「殴りたいなら、モンスターを殴れ。スカッとするぜ。俺もそれでまともになれた気がする」

「ありがとうございます。応援してます」


【マスコミの手の平返しの早いこと】

【記者会見で配ったノアフォロの活動内容の書類をテレビでみたが、あれが本当なら、文句は付けられないよな】

【おまけに第三者機関の監視もついているんだぜ】

【ノアフォロは金持ちだからな。弁護士など何人でも雇える】

【知ってるか。ノアフォロを監禁だなんて騒いだ奴は、保険金狙いだったって】

【いろいろとテレビでやっている】


 記者会見て影響力あるんだな。

 これからも炎上させて、記者会見で鎮火させよう。

 なんとなくそれが面白い。

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