第90話 モモンガリザード
トカゲの楽園の8階層。
出てきたのは前足と後ろ脚の間に膜があるムササビみたいなトカゲ。
科学的なことは苦手だけども、この重量じゃ飛べないだろう。
何となく科学的に間違っている。
「なんてモンスター?」
【モモンガリザード、正式名称はフライングリザードだったかな】
【くそっ、訴状が届いた】
【こっちもだ】
【弁護士に言ったら、勝てそうにないから、罪を軽くする方向で行きたいと言われた】
【こっちもだ】
【うわー、おっさんを殺してやる】
【殺害予告頂きました】
「ノアフォロ被害者の会が凄いことになっているな」
【そんな会はない】
【思わず調べた】
「協調心ゼロだからな。たしかにないか」
【モンスター、放っておいていいの?】
【ヤエちゃん達がボウガンで落としている】
「アンチ諸君、何か言えよ」
【裁判所に行かないとどうなる】
【そんなの有罪が確定したり、民事では負けるだけだろ】
【俺はそんな裁判には出ないぞ】
【好きにするといいよ】
【くそっ、打開策はないのか】
【会社に裁判のことがばれたら困るんだが】
【おっさんの方は自営業だからいくらでも時間が作れる。社会人じゃ勝負にならない】
【なんで接近禁止命令が出るんだよ。おかしいだろ】
「勝てる裁判しかしない」
【まあ普通はそうだな】
【いい気になりやがって】
【余裕そうなのがムカつく】
【勇者はいないのか】
【刺しに行ったところで勝てないぞ】
【なんでアンチはこんな案件に首を突っ込んだん】
【勝てそうだと思ったんだろ】
【表の顔は普通に悪徳新興宗教だからな】
【調べりゃすぐわかる】
【訴えられた】
【くそう、訴え返してやる】
【勝てないのに】
【そんなこと言うなよ。生暖かく見守ってやろうぜ】
「訴訟は何時でも受け付ける。逃げも隠れもしない」
【大体、マスコミが悪い。もっとよく調べろよ】
【視聴率稼げそうならマスコミは食いつく】
【おっさんが無罪だってマスコミも知ってるさ】
【だから疑惑として、ノアフォロの親戚と、DVしてた奴からしか証言取ってない】
【ノアフォロはですね。取材拒否なんですよ。DVから逃げた人たちは、いまいる場所を知られたくないから、テレビに出ない】
【関係者降臨か】
【監禁してる人達を返せ】
【頼む帰って来てくれ】
「ノアフォロはノータッチだから俺も取材拒否は知らなかった」
【ノアフォロが取材拒否なのは、医学的に治ると言っちゃうと不味いんですよ。治療を謳うのは法に触れますから】
【そうだな】
【まあ、全国から患者が押し寄せても困る】
【ずるいぞ。何で教えてくれなかった】
【みなさん騙されたらいけません。ノアフォロはちょっと変わった霊感商法です】
【いったん入ったら出られません】
【出れるだろ。監禁されてないんだし】
【俺が調べたところによると、うるさい親戚から隠れるために、接触を断っているらしい】
【まあ、俺でも、ダンジョンで討伐すると病気が治るなんて言ったら、止める】
【寄生の加護が大きいんだけどな】
【騙されてはいけません。こいつらの言っていることはでたらめです】
「要は自分の目で確かめりゃ良いってこった」
【まあ基本だな】
【それが手口です。入信させておいて絶対に脱会させません】
【そうなのか。お前脱会できなかったという人に会ったのか。ソースを出せ】
【人妻誘拐はどうなんだ。会わせてもらえないらしい】
【そりゃ、DV男と会うわけないだろ。逆上すれば命が危ない】
【弁護士を通してメッセージのやり取りは出来ます】
【そんなの捏造してるかも知れないだろ。俺は信じない】
「そっちの事情も俺は知らない。好きにしろと言ってある」
【離婚とか後腐れないように別れたい人に、弁護士費用をもってやっているだけだってな】
【別れたいなんて嘘だ。俺は信じない】
【女房に要らん知恵をつけさせやがって、許さん】
【接近禁止命令なんて知らん。無視してやる】
【俺、それやって、コボルトとケットシーに排除された。あいつらなんなんだ。殴っても笑っているんだぜ。絶対におかしい】
【コボルトとケットシーはモンスターだ。おっさんが操っている】
【名誉棄損発見】
「コボルトとケットシーをモンスター呼ばわりする奴は許さん」
【何の目的があって裁判費用を持っているんだ。おかしいだろ】
【おっさんだから】
【それをおっさんは悪の行使だと言っている】
「おう、家庭崩壊の手助けは心地いいぜ」
あっ、ボス部屋だ。
俺が何もしないで到達しちゃったな。
さあ、ボス戦だ。
おお、でかいモモンガリザード。
羽ばたいてないのにふわりと浮き上がったぞ。
俺の出番かな。
最後ぐらい締めるか。
レールガン、スタンバイ、発射。
ボスの頭が吹き飛んだ。
強いと言っても所詮トカゲ。
シロガネが不満そう。
空を飛んでるとシロガネは何にも出来ないからな。
よしよし、撫でてやるから、気分を直せ。
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