第89話 ポイズンリザード
トカゲの楽園の7階層。
出てきたのは紫色の液体を吐くトカゲ。
【今度こそおっさんの息の根を止めるんだ】
【なんてモンスター?】
【ポイズンリザードだな】
「何だ毒かよ」
毒は対処済みだ。
でも弱い毒だと加護による回復が発動しないかも。
「
【おっさんは盾なしか】
【毒喰らって苦しめば良い】
【いいかげん。誘拐した人たちを解放しろ】
【まるで一つ覚えだな】
【まったく違うことを言えないのか】
【妻を返せ】
【はいはい、DV夫ね】
DVの駆け込み寺は好調だ。
衣食住に掛かる金はある時払いの催促なしだからな。
離婚調停に掛かるお金も俺が立て替えている。
離婚が成立したら、ダンジョンで働きたい人は働けば良いと言ってある。
おっと毒が掛った。
【毒が効かないってGよりしぶといな】
【人妻誘拐野郎、氏ね】
【お前が誘拐した人は重病人なんだぞ。働けるわけないんだ】
【くそっ、裁判所から離婚調停の通知がきた。きっと騙されているんだ】
【こいつらなんで自分の都合しか考えないのかね】
【犯罪者を擁護する奴も同罪だ】
はいはい、キャメルクラッチ、ボキっとな。
キャメルクラッチしていると毒を浴びせまくられる。
もう体はベトベトだ。
【こいつなんなん】
【この毒って浴びたら死ぬってホームページに書いてあるのに】
【それがおっさんクオリティ】
【もう諦めろよ。遺産も手にできないし、DV夫の元に嫁は戻らない】
【俺は最後まで戦うぞ】
【くそっ、遺言書のコピーが送られて来た。お前には一銭もやらんだと、こんな遺言書は破り捨ててやる】
【離婚調停がなんだ。ごねまくってやる】
【くそう、傷害罪で告訴すると言ってきた】
【DV男ならそうなるわな。おっさんが裁判費用持つと言っているし】
【氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね】
【発狂者多数】
【なんだかちょっとメシウマになってきた】
【おう、おっさん頑張れ】
応援ありがとよ。
キャメルクラッチ、ボキっとな。
「ところでポイズンリザードの死骸って売れるの?」
【売れるぞ。毒が薬の材料になる】
【肉は食えるけど、ふぐを捌くときみたいに注意が必要】
【尻尾なら関係ないんじゃね】
【まあな】
【ここに集まるおっさん信者氏ね】
【もうモンスターには期待しない。おっさんを殺してやる】
【はい、ひとり告訴】
【馬鹿な奴だ。殺害予告は訴えられるのに】
【妻と会わせろ】
【監禁してる人間と面会させろ。話せば分かってくれるはずなんだ】
【警察は何してる。何で俺達が逆に訴えられる】
【妻をどこに隠している。場所を吐け】
キャメルクラッチ、ボキっとな。
攻略はサクサク進んだ。
毒さえ掛からなければ、ボウガンでも仕留められる相手だからな。
ボス部屋に到着。
「ボスはどんな奴?」
【デッドリィポイズンリザード。おっさんなら容易いはず】
さっそく毒を盛大に吐かれたが構わず馬乗り、キャメルクラッチ、ボキっとな。
あっさりと終わった。
ダンジョンから出るとマスコミがいた。
「ひとこと、警察からは何か言ってきましたか」
「ぜんぜん」
「家族を返すつもりは?」
「ないっていうか、嫌なら自分の判断で帰れば良い」
「監禁を認めたそうですが、そのことは?」
「札束と健康の檻で監禁してる。檻から出たければ破りゃいい」
「モンスター素材の不買運動に関しては?」
「俺はモンスター素材が毒なのか薬なのか全く分からない。そういうのを調べるのは偉い研究者さんがやれば良い。そして役に立つって研究者さんがいうのなら、その人が責任を持つべきだ。俺は欲しいというから売っているに過ぎない。要らなきゃ買わなければ良いんだ」
「警察から出頭要請があれば応じますか?」
「応じるよ。いいか言っておく。人の幸せを壊すような奴は、訴える隙があればこっちから告訴してやる。震えて眠れ」
俺は背中を向けた。
「もう一言」
俺は振り返った。
「訴えるのはマスコミもだ。無責任な発言は許さない。じゃあな」
弁護士事務所は大忙しだな。
キャパシティオーバーにならないのかと思ったら、仕事が多過ぎると他所の事務所に回しているらしい。
横のつながりもあるようだ。
過労死がでないみたいでほっとした。
しかし、DV夫を傷害罪で訴えることのなんと多いことか。
民事と刑事、両方で訴えているから刑事が不起訴になっても大丈夫だ。
証拠集めもばっちりだ。
そういう奴は訴えられるとか考えてないから、隙がある。
痣とかを診察した医者の診断書をつければほとんど1発だ。
そういうのが無くても友人の証言とかでもいける。
複数の人間が知っている場合がほとんどだからな。
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