第77話 荒れ地オークと、エラオーク
6階層は荒野。
ダンジョンなのに風が吹き荒れる。
荒野で草の塊が転がっていく。
「あれの名前、なんだっけ」
「タンブルウィードよ」
「俺は陸マリモだと思ってた」
【陸マリモ。言い得て妙だな】
【オー、この階層のオークはやせ型だな】
俺にも太ってないオークが見えた。
シロガネがハッスル。
素早い動きの敵が楽しかったらしい。
はふはふ、喜びながら、食らいついた。
2足歩行じゃ4つ足には敵わないよな。
特に狼系統は速い。
「あれはなんてオーク」
【ペンシル・オークで良いんじゃね】
【ミサイル・オークに一票】
【ロケット・オークだろ】
【忍者・オーク】
【ラピッド・クライマックス・オーク】
【じゃ、カム・クイック・オーク】
【ミニッツ・オーク】
どれも恰好良い名前だ。
オークには勿体ない。
何でおかしいのか分からなかったが、まあいいや。
【ここまで攻略した奴の命名は、荒れ地オークだ】
【面白くないな】
「荒れ地オーク、了解」
荒れ地オークはシロガネの良い玩具だった。
シロガネのストレス解消になったのなら嬉しい。
ボス部屋はすぐに見つかった。
というかシロガネが見つけてきた。
ボスは荒れ地オークエリートだった。
やっぱりシロガネの遊び道具。
まあそうなるよね。
7階層は、湖だった。
水深は浅いが、そのうち深い所が出てきたりするのだろう。
「ここの敵は?」
【半魚人オーク】
【俗称エラオーク】
「サンクス」
きっと水の中に隠れているのだな。
「任せて」
見ていたら、容器から液体を湖面に垂らした。
何も起きないなと思っていたら、水面にぷかぷかとオークが浮かんだ。
あの一滴でも付着すると死ぬという蜘蛛毒を流したんだな。
「毒を流す漁は禁止されてるんだぞ。良い子は真似しないように」
【えぐい】
【獲れたオークの肉は食べられないな】
「毒抜きすればワンチャンいけるかも」
【いけるか!】
【加護でコボルトとケットシーは問題ないんだろ。彼らに食わせてやればいい】
「いちおう考えられる毒抜きはする」
【好きにすれば】
【エラオークはどんな味?】
【魚っぽい豚肉。美味いらしい】
毒抜きは頭のいい
攻略も何もない。
毒を撒いて、死骸をアイテム鞄に収納するだけ。
ボス部屋へ簡単に辿り着いた。
ボスはでっかいエラオーク。
【ダゴンオークだな】
【SAN値チェックが必要か】
一瞬で浮かぶ死体となるダゴンオーク。
簡単だな。
「今日はここで終り。みんなありがとう」
【お疲れ】
【おっさんは何もしてないけど、お疲れ】
【ヤエちゃんに言っているのに決まってる】
【だな。お疲れ】
さあ、エラオークの肉の毒抜きだ。
「糠漬け、灰で煮る、塩漬け、茹でて水洗い。いろいろとあるわ」
【ヤエちゃん張り切っているけど、どれも味が落ちると思われる】
【スキルでなんとかしろよ】
「そうだな。解毒。肉をゴキブリに食わせてやってくれ。やつらなら死んでも心が痛まない」
「えー、ゴキブリ捕まえるの」
「捕まえたにゃ」
「きゃー、それをこっちに近づけないで」
「虫かごに入れろよ」
「はいにゃ」
【モチには一生、近寄らない】
【猫飼っているとGを捕まえてくるのはあるあるだぞ】
【おう、セミとかトカゲとか、驚いたのはモグラ】
【ケットシーは猫?】
ゴキブリに解毒した肉を与えたが平気だった。
「食ってよし」
コボルトとケットシーがエラオークの肉にかぶりつく。
誰も食中毒は起こさなかった。
【毒抜き成功なのか。考えたら加護って、おっさんの能力の範囲を出ないって事だよな。加護で無毒化されているなら、スキルでもできる】
【そういうことだな】
エラオークの肉はケットシーに大好評だった。
魚好きなのかな。
今度、干物とか大量に振る舞ってやろう。
コボルトの大好物は何かな。
言われなくても分かるけどな。
チーズだ。
コボルトはチーズ好き。
これの食い過ぎを獣医さんに注意されていた奴がいるぐらいだ。
おやつにはたまに食ってよしと言ってあるが、守ってないんだろうな。
血液検査して叱られると良い。
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