第74話 本日は晴天なり

 2階層はオークパーティだった。

 うちの庭ダンジョンのオークパーティを思い出した。

 気合を入れていくか。


 俺は鉄パイプを握り締め、オークに肉薄。

 オークの横っ面を叩いた。


 そして他のオークも叩いた。

 みんな一撃で沈んだ。

 あれっ、弱いな。


【オーバーキルを見た】

【オークの顎がなくなっているぞ】

【うん、グロいね】

【討伐配信なんてこんなもの】


弥衣やえ、任した」

「任されました」


「シロガネは奴らの足を噛んでやれ」

「わん」


 俺は弥衣やえ達の奮闘を見守った。

 シロガネが前衛でオークの足を噛んで機動力を奪う。

 足の止まったオークなど簡単な標的だ。

 ボウガンの矢が無慈悲に突き刺さる。


【オークはCランクなのにな】

【パーティだとBはある】

【シロガネって強い?】

【ええとコボルト達の説明によるとメタルフェンリルらしい】

【フェンリルってSランクじゃなかったか】

【そりゃ強いよな】


 あぶなげがないな。

 次のオークのパーティは戦士2体と射手2体だった。

 シロガネが素早く後ろに回り込み、射手の腕を噛む。

 シロガネ、優秀だな。

 どう動いたら効率が良いか分かっている。


 オーク戦士達は弥衣やえ達のボウガンであっさりやられた。

 射手は足を噛まれ動けない。

 止めの一撃がボウガンで加えられ勝負がついた。


【やっぱりシロガネが突出している】

【もうシロガネだけでいいんじゃね】

【パワーレベリングは基本だぞ】

【レベル上げイベントなわけか】


 次のパーティは戦士3体と魔法使い1体だった。

 戦士は魔法使いをがっちりガードしている。

 シロガネが回り込むことを諦めた。


 魔法使いの詠唱が終わり、火球が飛んで来る。

 シロガネはそれをブレスで打ち消した。


 弥衣やえ達のボウガンの矢が戦士達に突き刺さる。

 戦士は1体倒れ、2体倒れ、3体が倒れた。

 その時にはシロガネは魔法使いの喉元に食いついていた。


【うん、シロガネ強い】

【ヤエちゃんが弱いってわけじゃないよ】

【Sランクモンスターと比べるとね】

【お前ら酸の水鉄砲を忘れているぞ】

【貫通矢もな】


「俺の出番はないようだな」


【おっさんが寂しげ】

【気を落とすなよ】

【蜘蛛毒が活躍してないね】


「あれはな。使うと素材が駄目になる。いちおう備蓄はしているけど、出番があるかどうか」


【猿の糞は】

【バイオテロはやめろ】

【病原菌はしゃれにならない】

【触らぬ神だな】


 攻略はどんどん進み。

 ボス部屋に到着した。

 ボスは片目に傷のある歴戦の戦士風のオークだった。

 ボウガンの一斉射撃で沈んだ。


【近接職は遠くから射撃されるとどうしようもない】

【盾職や回復職がいるとまた違うのだけど】

【縮地とか持っていると違う】

【Bランク程度のオークが持っているわけはない】

【足遅いイメージだしな】


 さあ今日は終りだ。


 ダンジョンを出るとコボルトとケットシーの学校に行った。

 今ではコボルトとケットシーの子供達は小学校と中学校に通っている。

 この学校は塾代わりだ。

 学校の勉強についていけない子供達が真剣に学んでる。

 それと息抜きのフットサル。


 フットサルのコートに俊介しゅんすけ君の姿が見えた。

 笑い顔だった。

 元気になって良かったな。

 俺は声を掛けずにその場を後にした。


 おさむ君の様子を見にダンジョンへ行く。

 おさむ君は両親と一緒にアシッドの酸の採取をやっていた。

 もちろん防護服を着せたりはしない。

 おさむ君の仕事は空のミスリル容器を運ぶこと。

 こちらも笑顔だった。


 おさむ君の両親は息の合った仕事を見せる。

 父親がアシッドを追い詰めて、アシッドが吐いた酸を、母親がミスリルの洗面器で受け止める。


 その様子をおさむ君はニコニコして見てた。

 こちらもそっとその場を後にする。


 グラトニーの体採取の場に行った。

 ゴミが運ばれ、グラトニーがそれを消化して大きくなる。

 麻痺スキル持ちのケットシーが状態異常を掛ける。

 目をランランと輝かせた男達が群がり切り取った。


「3、2、1、0。ストップにゃ」


 今度は男達が一斉に離れた。

 そしてまたゴミが運ばれる。


 アイアンスネークの討伐も見に行った。

 こちらは分割して増やしたところで、魔力イレーサーDXを掛けると、もう増えない。

 俺は久しぶりに貯金通帳をチェックした。

 一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、一億、十億、百億。

 うおっ、百億を超えている。

 そう言えばこの間、10億のダンジョンコア取ったしな。

 当たり前か。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る