第54話 ボウガン
「おっちゃん、魔鉄製ボウガン100張な。矢じりはミスリルメッキで頼む」
俺は武器工房のおっちゃんに話し掛けた。
「今回はまともな注文だな。安い武器だがな。そうだな、全部で2000万どうだ」
「いいね」
【ボウガンか。ミスリルメッキは少し勿体ない】
【あのモンスターを倒すのだったらそれぐらいしないと。それでも倒せるかどうか】
とりあえず半日で4張の試作品ができ上がった。
それを持って3階層の森に行く。
アイアンモンキーと対峙した。
「シロガネは伏せ」
「ガウ」
遠距離攻撃の撃ち合いになった。
ミスリルメッキしてもアイアンモンキーには刺さらない。
【ボウガンで強敵が倒せるのならみんな使っている】
【Cランクになるまではボウガンは有効だぞ】
【女や子供にも使えるからな】
【遠距離で倒せるのならそれが良い】
「キー」
おっ死んだぞ。
みると目に矢が刺さっている。
目が弱点か。
【目が弱点はありがち】
【基本だな】
【鍛えようがないからね】
俺は寄生スキルで必中スキルが使える。
それを使えば簡単だ。
面白いようにアイアンモンキーが死んでいく。
よし、アイアントレントとやろう。
アイアントレントの弱点はどこかいな。
アイアントレントには矢が刺さった。
だが、効いてるふうがない。
目を狙うが平気だった。
口と鼻も平気みたいだ。
いったいどこよ?
【樹の目が物を見ているかは分からない】
【構造から言ってどうなんだろ】
【葉っぱが目という説がある。光を受ける部分だからな】
【すべての葉は落とせないな】
【特殊なスキルでもない限りな】
誰かの矢が、アイアントレントの額に当たる。
アイアントレントは地響きを立てて倒れた。
額が弱点か。
そこに脳みそがあるのかもな。
【額か。ありがちだな】
【脳みたいな部位があるのだろう】
【植物じゃないからな】
攻略はなった。
モチがアシッドの酸をミスリルの矢じりに付けて放った。
矢はアイアントレントを貫通した。
溶かしながら進むのか。
面白い使い方だ。
【反則だ。チートだ】
【ミスリルの体表を持った敵には敵わないと思われ】
「モチ、でかした」
「もっと褒めていいのにゃ。でも、総ミスリルメッキじゃにゃいと、軸が溶けるから難しいにゃん」
「切り札として使えるな。矢の値段が馬鹿高い事になりそうだが」
【ボス戦なら惜しくない】
【貫通付きの矢は基本】
【スキルの貫通とどう違うの?】
【スキルは樹を貫通する威力はないと思われ】
【貫通スキルでAランクモンスターが倒せれば、エースになれる】
俺、貫通スキル寄生で使えるよ。
大体30人ほどが持っているな。
じゃあ1人前だ。
でも、樹を貫通しないんじゃ使えないな。
魔力操作で、魔力をつぎ込めば何倍にも出来るけど、溜めが要る。
アシッドの酸の方が手っ取り早い。
コボルトとケットシーが強くなったことは確かだ。
ダンジョンから出ると、黒衣の集団が待ち構えていた。
「おお、神よ。我々に力を授けたまえ」
「へっ、俺が神様?」
「そうです。ダイヤモンドドラゴンを一撃で倒す映像を見ました。あれは神の所業です」
「悪人以外に悪事を働くなら、お前らは無視する」
「もちろん悪事は働きません。聞いた話によれば寄生されると力を授かれるとのこと」
「まあな」
「是非、寄生して下さい」
【こいつら馬鹿だ】
【でも大ダメージを受けないのなら価値はあるかも。癌だって治ったりしてな】
【可能性はある】
「いいだろう。だが覚えておけよ。俺の意に背いたら、若さを吸い取ってやる」
「それはもう分かってます」
「じゃあ、並べ」
集団に寄生してやった。
「お前ら集団の名前は」
「ノワールフォロワーです」
「ノアフォロね」
「はい、今日から略称はノアフォロです」
「とりあえず、ゴミ拾いには参加しろよ」
「ええもちろん」
【胡散臭いが、何かあっても若さを吸い取られたら堪らんだろう】
【こういうのは守銭奴の集団と決まってる。会費を訊くんだ】
「会費はいくらだ?」
「ただです」
「それ以外には?」
「もらってません」
【安いな】
【良い団体?】
【まだ安心できない】
「ぶっちゃけ、寄生させてもらって俺には得しかないんだけど。目的は?」
「我ら死を待つ集団なのです。元は末期癌患者の会です」
【やっぱり。裏があったか】
【癌は治るの?】
「で寄生して今の体調は?」
「すこぶる良いです。ねぇみなさん」
「はい」
「とっても」
「近年ないぐらいに」
「ありがたや」
「いまならマラソンもできます」
「ありがとう、これで孫の顔が見れる」
【癌も大ダメージのうちに入るのね】
【それなら良いんじゃね】
「奴隷ゲットだぜ」
「はい、我々はただいまから、あなたのしもべで奴隷です」
変な奴らだが、ウインウインなら別に良いだろう。
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