第53話 アイアントレント
2階層の魔鉄鉱石採取が始まった。
魔鉄鉱石は実入り的に美味しくないが、危険度も低い。
俺達は3階層の森にいる。
「今、樹が動いたような気がしたんだが」
シロガネが唸っている。
敵がいるようだ。
【気のせいじゃないよ。俺にも動いて見えた】
【ちょっと前に戻して確認したら、確かに動いてた】
「おー、サンキュ」
ということは樹のモンスターだな。
よく物語である樹の幹に顔の付いた奴。
何だったっけな。
「レンタカー」
【トレ○太くんじゃなくてトレントな】
【分かってボケたんだろ】
「そうトレント。トレントの弱点は火だが。ここの生き物は鉄みたいだから効き目がないような気もする」
銀色の肌をしているから、アイアントレントだな。
【鑑定するか、魔法で燃やしてみたら】
【まずは一当て】
「よし、それで行くか」
動いていたと思われる樹を前に魔法を行使する。
火球は樹に当たり火の粉を散らした。
【効いてないっぽい】
【鑑定だ】
アイアントレントの幹に顔が浮かび上がり、銀色の蔦が垂れ下がる。
鑑定する。
「火炎耐性を持っているな」
【樹は簡単に窒息死しないだろうし、どうする】
【斧で切り倒すしかないんじゃないの】
「任せて」
「だわん」
「右に同じく」
「ガウ」
幹に手を当てて浸透撃を放った。
シロガネは蔦の鞭に噛みついている。
だがダメージにはなってない。
「ギョワワー」
「みんな下がれ」
めんどくさい。
叩いて殺せば良いんだろ。
俺は鉄パイプの連撃を叩き込んだ。
樹が削られて、おがくずが飛ぶ。
そして、アイアントレントは倒れた。
「力技が一番だな」
【やっぱり連撃が一番か】
【おっさん強い】
さて、アイアントレントはどれぐらいで売れるかな。
安かったらこの森は迂回しよう。
俺はアイテム鞄にアイアントレントの死骸を入れた。
買取場に電話した。
「行ってもいい?」
『おう、お前らの血からスーパー抗体を抽出した。聞いて驚け。ほとんどのウイルスに効果がある。血液をもっと欲しいが良いか?』
「いくらくれる?」
『400ccで1000万』
「売った」
買取場に行く。
「お前、若返ったか? 薬草か? それともウイルスの影響か? まあいい血を採れば分かるだろう」
「若返ったのはスキルだよ」
「残念だ。そういう薬草か抗体なら、億の値段が付いたのにな」
「今回持って来たのは、大物だけど出していい?」
「ちょっと待て、場所を開ける。ほら、さっさと解体を終えて場所を空けろ。待ってる間に採血するぞ」
【トレントの買取値はいかほど?】
【100万は超えるだろう】
「採血は痛くなかった。これで1000万は美味しい」
【血が1000万?】
「言ってなかったな。何でも抗体というのが採れるらしい。それがスーパーなんだと。ほとんどのウイルスの病気が治るらしい」
【それが本当なら、1000万は安すぎ】
【億でも安いかも】
おっちゃんには世話になっているからな。
解体が終わったので、アイアントレントの死骸を出す。
「おお、トレントか。銀の木肌が美しいな。丸太のままでもオブジェになりそうだ」
「どれくらいかな?」
「前の木は500万だったが、今回のは1000万を超える。ミスリルを含んでいるからこの値段だ」
【うひょう、高値爆発】
【おっさん、結婚して下さい。愛してます】
【ダイアモンドの洞窟辺りのモンスターだとこのぐらい普通だ】
【1000人も養っていたら、これぐらい稼がないと】
アイアントレント乱獲決定だな。
その前に、アイアンモンキーとアイアントレントをコボルトとケットシーが安全に狩れる方法を考えないと。
そうだ、
血液を調べてもらったら、
キナコとモチにも。
ただ、キナコとモチの抗体を人間用に使うのは研究が必要とのこと。
アイアンモンキーの病気に罹って3人とも加護で治癒したんだな。
1分間耐えればいいらしいから、1000人のスキルがあれば平気なのかな。
アイアンモンキーと一般人は対峙させられないな。
ええと、何を考えていたっけ。
コボルトとケットシーのアイアンモンキーとアイアントレント対処法だ。
とりあえず、アイアンモンキーの病原菌は寄生スキルの敵じゃない。
アイアンモンキーはボウガン辺りでなんとかならないかな。
武器制作のおっちゃんに頼もう。
魔鉄辺りで作れば問題ないはず。
アイアントレントもボウガンでどうかな。
とりあえず試してみよう。
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